- "Django" - 5:47
- "The Cylinder" (Milt Jackson) - 5:18
- "The Martyr" (Jackson) - 8:43
- "Really True Blues" (Jackson) - 5:39
- "Odds Against Tomorrow" - 8:53
- "The Jasmine Tree" - 4:42
- "Monterey Mist" (Jackson) - 4:05
- "Bags' New Groove" (Jackson) - 4:15
- "Woody 'n' You" (Dizzy Gillespie) - 3:47
※曲目が間違っていました。修正しました。 |
108分間。彼等の言葉と熱に圧倒され続けた。生きる考える行動をする意味が明確に与えられた時代。承認欲求に溺れるような真逆の50年後。同じ場所とは思えない。
海あり山ありで、なかなか雰囲気のあるいいコースだ。ただ、最後の「歴史を紡ぐ林道」から「大高森」までは、歩いたのが雨上がりだったこともあり、足場が悪く、本当に難儀な歩きだった。
宮城オルレの中では、一番の難コースだろう。アップダウンが激しく、起伏に富んだコースは、歩き人の体力を奪うに十分である。ただ自然豊かで、御崎付近でカモシカに遭遇することもしばしばであり、美しい海の眺望は本当に素晴らしい。最後の笹浜漁港からの登坂はハードであり、オプションコースの半造~巨釜~半造は、疲れた身体にはちょっと厳しい。達成感があるので、私は4度歩いた。
前半の、古の出羽街道を巡るコースは、自然豊かで雰囲気があり本当に楽しく歩ける。ただ、熊が出没するらしく、多くのハイカーが熊鈴をつけて歩いていた。後半は舗装された道が多く、膝にはやや厳しい。大した距離ではないが、最後の温泉街への坂道は疲れた身体にはちょっときついかもしれない。妻と一緒に休憩しながら歩いたこともあり、5時間近くを要した。
私にはちょっと不満の残るコースだった。全体的に平板であり、舗装された道が多く、足には優しくない。楽しみにしていた北上川沿いに歩く道も、そんなに長くはなく、木々のためにほとんど川は見えなかった。最後の平筒沼いこいの森は疲れた身体にはややハードだが、自然豊かで、暗い森の雰囲気を味わうことができ、なかなか良かった。
「ウォーキン」を聴きながら(それはマイルズが録音した中ではいちばんハードで攻撃的な「ウォーキン」だ)、自分がいま、身体の中に何の痛みも感じていないことを知った。少なくともしばらくのあいだ、マイルズがとり憑かれたようにそこで何かを切り裂いているあいだ、僕は虚無感覚でいられるのだ。
●今日の一枚 406●
Michel Petrucciani
MICHEL PETRUCCIANI
坂本光司『日本で一番大切にしたい会社』という本の中で、従業員の約七割を知的障がい者が占める日本理化学工業という会社が紹介されています。その中に、幸福とは①人に愛されること、②人に褒められること、③人の役に立つこと、④人に必要とされることであり、このうちの②③④は施設では得られず、働くことによって実現できる幸せなのだ、というこの会社の社長さんの話が紹介されています。障がい者の就労や社会参加を考える上でまことに示唆に富んだ言葉ではないでしょうか。ダストレスチョークの三割のシェアを誇るこの会社は、このような考え方で、もう50年以上も障がい者の雇用を続けているのだそうです。
ちょっと恥ずかしいが、数年前に地域の障害者支援団体の広報誌に寄稿した私の文章の一部である。私と同じ1962年の生まれで、1999年に亡くなったフランスのピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニの人生は、その意味では幸福だったというべきなのだろう。もちろん、骨形成不全症という重い障害をもち、わずか36歳の若さで逝ってしまった彼自身にしてみれば、もっと自由に、そしてもっと長い時間生きたかったに違いない。やりたかったことももっともっとたくさんあっただろう。ただ、人に愛され、人に褒められ、人の役に立ち、人から必要とされるという観点においては、ペトルチアーニの生涯は完全にその要件を満たしていると思うのだ。
ペトルチアーニの1981年録音盤の『ミシェル・ペトルチアーニ』である。年の同じ私が大学に入学した年の作品だ。まだ自分自身が何ものかも知れず、蹉跌の日々を送っていたその頃の私を顧みれば、まったく恥ずかしい限りである。18歳の若者の清新な気風に満ちた、素晴らしいアルバムだ。ピアノの音が鮮明である。響きが素晴らしい。録音がいいのだろうか。ペトルチアーニのタッチの技術が素晴らしいのだろうか。いずれにしても、硬質で芯のある、曖昧さのない音だ。論理の国フランスらしい、明晰な音の響きというべきだろうか。アルバム全体にわたって、清々しさ、爽やかさが充溢している。いい作品だ。
40代の、あるいは50代のペトルチアーニを聴いてみたかったと痛切に思う。彼自身も悔しかったに違いない。けれど、彼の生きた証は、こうやって私たちに感動を与え、何かを伝え続ける。これからも、ずっとずっとそうだ。
●今日の一枚 400●
Miles Davis
Bags Groove
朝起きて、何か聴こうかなとCDの棚を物色していてたまたま目についた。それにしてもかっこいいジャケットである。文字だけで構成されたジャケットだが、ポップでお洒落だ。文字というものが意味情報の伝達だけでなく、絵画的なデザインの役割も果たしている格好の例だろう。1954年録音の、マイルス・ディヴィス『バグス・グルーヴ』である。
しばらくぶりに聴いたが、内容の方も全編が良質なかっこよさに満ちいてる。ホレス・シルヴァーがピアノを担当する③以降はいつもながらの普通に素晴らしいマイルス。非常にブルージーな演奏である。セロニアス・モンクがピアノを務める①及び②のBags Grooveの2つのテイクは、モンクとマイルスの掛け合いが手に取るように伝わってくる、臨場感あふれる演奏だ。この時の演奏で、マイルスがモンクに対して自分がソロを吹いているときは伴奏をつけないよう指示したことから、「ケンカ・セッション」といわれているようだ。確かに、モンクのピアノはマイルスを挑発しているようにも聞こえる個性的なものだ。特に、②の方は強烈である。アーマッド・ジャマルの影響を受けて新しいサウンドの方向性をめざしていたマイルスにとって、モンクの個性はあまりにアクが強く、大き過ぎたということなのであろう。
1954年のクリスマスイヴにマイルスが行ったレコーディングは、この『バグス・グルーヴ』と『マイルス・ディヴィス・アンド・モダンジャズ・ジャイアンツ』の2枚に分散収録されているが、モンクとの共演は『モダンジャズ・ジャイアンツ』に6曲、『バグス・グルーヴ』に2曲が収められている。『モダンジャズ・ジャイアンツ』の「ザ・マン・アイ・ラブ」収録中にモンクがソロパートを弾くのを途中でやめてしまったことや、このレコーディングの後、モンクとマイルスは再び共演することがなかったことから、因縁のセッションというジャズの「伝説」が生まれたようだ。