皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

神社庁さきたま支部勉強会~神宮大麻と忌伏について①

2022-03-11 23:00:49 | 生涯学習

埼玉県神社庁さきたま支部勉強会「神宮大麻と忌服」に参加しました。
近年神社会も大きく変わり、研修や会議についてもオンラインで行われるようになりました。兼業を理由にこうした神社庁主催の行事に出向くことはありませんでしたが、オンライン(zoom)での開催、主催である埼玉県神社庁さきたま支部の役員の方から重ねて参加要請をいただき、せっかくですので始めて参加してみることにしました。

冒頭の写真は私の書斎の部屋から見える田園風景です。こうした景色を見ながら、自宅にて研修、勉強会に参加できる時代となり、感慨深くもあり、複雑な気持ちでいました。変えて行くべきものと変えてはならないもの。会議という役割は変えて行くべき対象だったのだと改めて思います。

勉強会の講師を勤めていらっしゃったのは、秩父神社宮司薗田稔先生です。確か国学院大学に限らず、京都大学も教えていらっしゃったと思います。前段として近年における県内の神宮大麻頒布数の推移、埼玉県の地域別の課題、別表神社の役割について述べられました。
埼玉県においても毎年の神宮大麻の頒布数は平成21年を境に現象傾向にあります。人口の減少が始まったのは平成20年頃といわれていますので、ほぼ重なる統計です。ただしその減少率は人口比にたいして顕著に減っているようです。埼玉県特有の問題として「南北格差」があるといわれます。東京圏と呼ばれる県南区域においては、単身者世帯が多く、人口は差ほど減っていないのに、神宮や神社に対する意識が薄い。一方秩父地域を含む県北区域は三世帯家族も多く、高齢化による自然減少はあるものの、世帯の頒布率は高いとされます。それだけ個人の生活基盤の差によって、神社や仏閣地域の風習や伝統的行事に対する意識は南低北高のようです。ただし人口の絶対数は南高北低は間違いなく、その差は大きくなる一方です。

非常に面白いと感じたのは、神社といえども民間企業と同じように数字上のデータを分析し、比率で考えている点です。絶対数だけ追っていると分析に生かせないことがわかります。支部別の頒布率を取り上げていて、人口の多い北足立支部(さいたま市、川口市など)は世帯頒布率5.2%なのにたいし、秩父支部は60.8%です。(秩父地区3万7千世帯にたいし、北足立は200万世帯ですのでそもそも分母が違いますが)特に秩父支部においては三峯、秩父、宝登山という秩父三社の部別表神社が信仰と大麻頒布に大きな役割を果たしていると考えられています。北足立にももちろん氷川神社、調神社など有名な神社は多数ありますが、土地柄をよく反映しているのでしょう。
分析にたいして薗田先生は「別表神社こそ地域と共にあるべき」と結んでいました。
神社庁の神宮大麻頒布運動も非常にまるで民間機企業のような言葉がならんでいました。
「ワンポイント作戦」「神職一人一体増運動」
こうした地道な努力を重ねることで、神社会が神宮大麻に対する啓発運動をしていこう。神社庁のこれまでの運動や方針につて触れていました。私はもちろん神社庁傘下の神社の代表役員ですので、こうした取り組みにたいしてあまり積極的ではなかったことは非常に反省すべきことです。ですがなぜか自分自身温度差を感じるところもありました。
平成28年度に神宮に対する意識調査の数字です。
神宮大麻を知っていますか?
70%が知らないと答えたそうです。これはまさに頒布という方法論で解決する問題ではなくそもそも神社と神宮の関係、日本の歴史、戦後の神社界の歩みなど総論としてとらえ、改善して行く事柄です。ですがやはり総論展開では差し迫った神宮大麻減少傾向という課題に対処できない。だから今出来うることを積極的にやっていこう。私はそう理解しました。
そう民間企業と変わらないんです。もちろんよい意味で。自分達の企業理念の実現のために中長期の政策目標を短期目標の積み重ねで実現していくということです。(②に続きます)

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