選挙権を得て早四半世紀以上経つが、これまで国政、地方選挙ともほとんど投票に行っている。仕事柄投票日は休めない為、事前投票がほとんどだ。政治には興味があるが、実際に自分の思いがどれほど反映されているかあまり考えたことはない。ただ投票を棄権するというのだけは、しないようにしてきたつもりだ。
本務社での平成最後の新嘗祭の当日、夕刻に県議会議員を目指す政治家の活動報告会があった。皿尾ふるさと館が新築されて初めてのことだ。前回の選挙では残念ながら惜敗し、「今度こそ」を合言葉に日々街頭活動をしている。SNSを通じご挨拶させていただくことはあったが、お会いするのは初めてだった。
政治家の地元は谷郷地区。春日神社の氏子さんだ。皿尾地区にようこそお越しくださいましたとご挨拶申し上げると、「祭事のお忙しい中、ありがとうございます」と笑顔で返していただいた。私より四つも若く、市会議員も経験した志高い政治家だ。プロフィールには幼稚園からの記載があった。私も子供たちも同じ幼稚園に通っていた。通っていた幼稚園の目標に「三つのできる」という理念がある。「自分からすすんで挨拶できる」「人の話を聞くことができる」「自分の気持ちを言葉で表現できる」というものだ。人として大事なことは意外と子供の頃に身につけるものだ。多くの人の声を聴き、政治家としてその受け皿になりたいと語っていた。そして政治家としての自分の施策や方向性を自分の言葉で語っていた。
今回皿尾地区での活動報告会は、政治家の後援会長の職場での先輩が皿尾地区にいて世話役になっていた。私も子供のころからかわいがってもらっている方だ。とても穏やかで、人の世話を買って出る親心を合わせ持った人だ。実は私が結婚した際、地区のでの小さな披露宴をした時に、司会をしてもらったことがある。私にとっても本当に近所の恩人だ。人と人とのつながりは必ず広がるもので、そうした縁を感じて仕方なかった。話はそれるが、候補者のキャッチフレーズである「早く芽を出せ柿の種」というのは、埼玉県の上田知事がつけたものらしい。政党の枠を超え、理念を同じくする人のつながりがある。
会館でのこうした集会は稀でましてや隣地区出身の政治家であったことから、どれほど人が集まるのかと思っていた。ところが定刻には満席となり、途中退出する人もなく最後まで熱心に聞き入っていた。これほどの数の人が神社の祭事で集まることはないのが少し寂しいところではあるが、やはり人をひきつける熱意があるのだろう。
集会の最後は政治家のご婦人のお父様がハーモニカ演奏を披露した。市内公民館等で活動されていて、かなりの腕前だ。なつかしい選曲に、集まった人たも盛んに拍手を送っていた。
報告会が終わると、一人一人候補者本人と握手し「頑張ってください」「応援しています」といった言葉をかけていた。活動報告会の案内の中に「静かに見守っていても何も変わりません」「活発な意見交換をさせていただきたい」と記されていた。その通りで、選挙についても投票する側、される側それぞれ自分の意志を自分で表明しなければならないものだ。人任せにはできないのだ。
私自身も柿沼さんと別れ際に握手し、こうした集会を開いていただいたお礼を申し上げた。「声を上げなければなにも変わらない」そう気づかせてもらたっこと本当に感謝している。だからあえて選挙の常套句である「頑張ってください」などとはとは申し上げなかった。なぜならこの地域でさらに頑張らなくてはならないのはこちらの方だから。
柿色のオレンジのネクタイが輝き、益々地域のために活動され、県政との懸け橋になることを心から願っている。
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