桜の開花を迎え、至る所で桜ソングが流れている。2000年代頃から桜を題材にした楽曲が盛んに創作され、ジャンルを問わず多くの支持をあつめ、社会現象となったという。福山雅治の「桜坂」が発売されたのは2000年4月のこと。
ところでそれよりもずっと前にある演歌歌手が夜桜を歌った名曲を発表したのは1994年平成6年9月のこと。第36回日本レコード大賞優秀賞に選ばれ何度もNHK紅白でも歌われてきた。
坂本冬美の「夜桜お七」。昨年令和の御代を迎える前に平成の名曲集として、社内で盛んに流れていた曲だ。あるフレーズがずっと心に残っている。自己主張の強い女性像をある歴史人物になぞらえているという。
赤い鼻緒がぷつりと切れた
すげてくれる手ありゃしない
置いて堀を蹴飛ばして
駆け出す指に血がにじむ
さくら さくら いつまでたっても来ぬ人と
死んだ人とは同じこと
さくらさくら 花吹雪
燃えて燃やした肌より白い花
浴びて私は 夜桜お七
さくらさくら 弥生の空に
さくらさくら 花吹雪
口紅をつけてティッシュをくわえたら
涙がぽろり もうひとつぽろり
熱い唇おしあててきた
あの日のあんたもういない
たいした恋じゃなかったと
すくめる肩にかぜが吹く
さくらさくら いつまで待っても来ぬ人と
死んだ人とは同じこと
さくらさくら花吹雪
抱いて抱かれた 二十歳の夢のあと
おぼろ月夜の 夜桜お七
さくらさくら 花吹雪
さくらさくら さよならあんた
さくらさくら花吹雪
一番2番ともAメロとして「さくらさくらいつまでたっても来ぬ人と 死んだ人とは同じこと」とある。
昨年毎日のように聞きながら衝撃的な歌詞であった。どんなに思っていても会えぬ相手は死んだと思え。そんな意味だと思っていた。一年後のいま調べてみるとお七自体が江戸期のある女性をモデルとしていたことを知った。
江戸時代の浮世草子、井原西鶴「好色五人女」の恋草からげし八百屋物語に登場する八百屋のお七という女性であった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます