皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

松の内から松過ぎへ

2020-01-14 21:51:11 | 風の習わし時を超え

 早いもので一月も半ばを迎え、正月もすでに過去のこと。門松のある期間を「松の内」正月の門松を片付けたあとを「松過ぎ」と呼ぶそうだ。明日15日は小正月で左義長として正月飾りを焼くところも多い。地域によって異なるというが関東では松の内は7日まで、関西では15日が風習となっている。

門松は松や竹を用いた正月飾りで、歳神を家に迎え入れるという依り代の役割があるという。「松は千歳を契り、竹は万代を契る」とも言われ松と竹で依り代が永遠に続くように願う。

 松は冬でも青々とした常緑樹で「祀る」に通じ、中国から平安期にこうした風習が伝わったようだ。中国では正月に松を飾る地域は限られていて、邪気を払う桃や札が飾られるそうだ。

 門松の中心には竹が目立つがこれは鎌倉以降のこと。また興味深いのは「削ぎ」と 「寸胴」の2種類があること。

古くは寸胴型で現在でも銀行など金融機関のまえに飾られることが多いという。

節で区切られることによって「中身が詰まっている」「お金がたまる」との願いが込められるという。

一方竹を組み合わせて斜めに削いだのは一説によればあの徳川家康だといわれている。

「三方ヶ原の戦い」(1572)で敗れた後、「竹(武田信玄)を袈裟切りにする」という意味を込めたという。

門松を片付けることを松下ろし、松払い、松送りなどとよぶ。松にしろ竹にしろ節目を重んじてきた日本人の気風が表れているようで面白い。今年は暖冬で寒さも緩いが、松が過ぎれば大寒で、節分へと季節も流れていく。

 

 


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