気軽に茶道をしてます。

日々のお稽古とともに、できるだけ手作りのお菓子で
お茶を楽しんでいる様子や、四季折々の変化もお伝えします。

大和文華館の漆工芸・特別出陳:酒井抱一下絵・原羊遊斎作蒔絵作品も

2018-07-26 18:57:37 | 大和文華館
酷暑日が続く毎日、台風12号の動き次第では暑さも和らぐかも。
 
7月6日から8月19日まで、奈良・大和文華館では特別企画展として
大和文華館の日本漆工展、酒井抱一下絵‣原羊遊斎作 蒔絵作品も

HPによると
漆工芸は、漆の樹液を精製して器物に塗り、装飾を施すもの。
漆の樹は主にアジアで育つため漆工芸はアジア独特の工芸として
知られており、日本でも古くから漆工芸が発展し、祭器から日常
品まで多くの作品が生み出されました。

漆は、他の塗料にはない艶やかな輝きが大きな魅力ですが、
貝や金属の薄片を模様の形に切って貼る螺鈿や金貝など、様々な
装飾が工夫されました。特に日本では、漆の上に金や銀の粉を
蒔いて模様をあらわす蒔絵の技法が発展します。

工芸品には作者の署名がないことが多く、漆工芸に携わる人々も
そのほとんどが、歴史に名を残していません。しかし、
経済活動が盛んになる江戸時代に入り、代表的な蒔絵師の名前が
知られるようになります。その一人が江戸時代後期に活躍した
原羊遊斎です。羊遊斎の大きな特色は、伝統的な作品に学ぶと
共に、同時代の人気絵師であった酒井抱一の下絵を積極的に用い
流行に応える繊細華麗な作品の数々を生み出した点にあります。
本展観では、館蔵品より奈良時代から江戸時代にいたるまでの
漆工芸の多彩な展開を紹介するとともに、特別出陳の原羊遊斎
作品よりその洗練された世界をお楽しみいただけ・・・。

出陳品は83件で、重要文化財3件、重要美術品1件を含みます。

左側「79春草蒔絵螺鈿印籠」金地に高蒔絵や螺鈿で菫‣蕨‣土筆を
  四季花鳥図巻等で抱一が好んだ組み合わせ、抱一の名はない
「80.紅葉蒔絵印籠」黒漆地に金銀蒔絵で木枯らしの紅葉を 
   どちらも原羊遊斎作 江戸時代後期 大阪市立美術館蔵
 

中央「78.枕形硯箱」酒井抱一下絵・原羊遊斎作 1820年 個人蔵
表は悪夢を食べる獏(バク)、裏面に難転に通じる「南天」が蒔絵で


右側60「沃懸地青貝金貝蒔絵群鹿文笛筒」伝本阿弥光悦作 江戸前期
光悦の指導の斬新な器形、大胆な意匠、多彩な装飾を「光悦蒔絵」と
呼び、木地に金粉を敷き詰め、高蒔絵、青貝、金貝で23頭の鹿を描く


さあはじめから見てみましょう。
【日本漆工の展開】
2.黒漆八足机(重要美術品)
黒漆八足机

8.根来塗天目台
9.根来塗茶入
10.根来塗茶杓
20.秀衡塗片口
21.津軽塗鉢
22.鎌倉彫屈輪香合
24.「鎌倉彫牡丹文大香合」室町時代
鎌倉彫牡丹文大香合

32.堆黒蟹文香合
34.象牙象嵌梅文八角香合
36.「銅板地螺鈿花鳥文説相箱」 平安時代 重要文化財
銅板地螺鈿花鳥文説相箱

41.「青貝蒔絵草花文洋櫃」 桃山時代


45.「金貝蒔絵鳳凰唐草文鏡巣」 鎌倉時代


51.蒔絵歌絵鏡巣 室町時代


54.「蒔絵籬菊文机」 室町時代 重要文化財
 

61.蒔絵うんすんかるた文香合
63.蒔絵枝垂桜文棗 嵯峨棗 江戸時代
73.蒔絵阿亀文枕形根付 松翠作 江戸時代
74.黒漆墨形根付 柴田是真作 江戸時代

【特別出陳:酒井抱一下絵・原羊遊斎作蒔絵作品】
76.竹製蒔絵椿柳文茶入 酒井抱一下絵・原羊遊斎作 江戸時代後期
 

77.「草花蒔絵五つ組杯」酒井抱一下絵・原羊遊斎作 江戸後期
                   大阪市立美術館蔵
 大きい順に、菊、稲、梶、菖蒲と蓬、桃の文様で、陰影や
 グラデーションで抱一の繊細な描写を見事に反映されている。


81.「蒔絵秋草文刀」原羊遊斎作 江戸時代後期 個人蔵
鞘部分は金銀の蒔絵で萩と撫子、柄部に鈴虫と蝶、江戸琳派の好み


82.蒔絵菊桐文炉縁 原羊遊斎作 江戸時代後期 個人蔵
 黒漆地に金蒔絵と絵梨子地で菊と桐文を表した炉縁で
 高台寺蒔絵に多く見ることから意識し、それ以上の繊細さが
 菊の十六枚の花弁も3枚、3枚、2枚の形8枚と規則性をもつ 


83.螺鈿蒔絵梅文合子 尾形光琳・乾山合作 原羊遊斎模造
                江戸時代後期
 黒漆塗の合子に梅を密に配し梅の花や蕾は螺鈿、枝は金平蒔絵


素晴らしさに言葉が出ません。
梅苑に下る谷間には、ヤマユリの香りが満ち癒してくれますよ。
 

大和文華館の水墨画、雪村七作品一挙公開中

2018-05-31 12:27:20 | 大和文華館
今日も厚い雲の覆われた朝、大気が不安定で昼過ぎから雨に、
気温も低く梅雨寒なのでは、でも梅雨入りはいまだに。
8時

このような色あいで描かれる絵画に水墨画がありますね。
自在な描線とともに、墨の濃淡やぼかしなどを用いることで、
見えないもの、動き、音や香り、さらに色までもが不思議と
脳裏に浮かび、精神性までもが伝わってまいります。

現在奈良の大和文華館では所蔵する水墨画の名品が展示され、
中国・唐時代に成立し、日本に伝わったは鎌倉時代、そして
室町時代には代表絵画になり、さらに個性溢れる画家が登場
する江戸時代まで、水墨画の流れがたどれるでしょう。
なお所蔵された7件の雪村作品も一挙公開され、7月1日までに。


展示作品は38件(重要文化財8件、重要美術品1件含む)
いつもの様に、展示室正面の三作品は
左:光琳筆銹絵菊図角皿 尾形乾山作 江戸中期
  鉄と呉須で描き透明釉を、文字は花中 真隠逸・・
中:雲龍図扇面(扇面貼交手筥 懸子裏)尾形光琳筆 江戸中期
  重要文化財、金色の渦巻きが
左:光琳筆銹絵山水文四方火入 尾形乾山作 1711年頃
  青々光琳の落款 

Ⅰ.【鎌倉・南北朝時代】
1.羅漢図 三幅 眉間寺旧蔵 鎌倉時代
 16羅漢図から三幅で、南宋から元の羅漢図に基づき南都で制作
 眉間寺は奈良佐保路にあったが廃寺に、
 右手に竹杖を持った羅漢、巻貝に乗られた羅漢、椅子に腰かけ
 左手で指差し、従者とともに見上げる場面。 
  羅漢図

2. 白衣観音図 愚谿右慧筆 南北朝時代
 前は洗練された筆で、後方の背景は粗い筆遣い

白衣観音図

3. 竹雀図 可翁筆 南北朝時代 重要文化財
 中世水墨画の名作、右側が切れており空間はもっと広かった
 竹の動きを見つめる雀が自己の精神性を写し出すようにも
竹雀図

Ⅱ.【室町時代】
5.松梅佳処図 蘭坡景し天隠竜沢賛 室町時代
 歳寒三友の題材、老松と老梅、岩に笹そして水が


6. 維摩居士像 文清筆 室町時代 重要文化財
  細線と淡隅の上から淡朱で肉身を表し、表情は真に迫る
維摩居士像

7. 山水図屏風 伝周文筆 室町時代 重要文化財
 周文は相国寺の画僧、如拙に学び雪舟の師
左隻一部 右隻一部

11.雪舟像 雪舟落款 室町時代
12.瀟湘八景図画帖 鑑貞筆 室町時代
15.奔湍図 伝狩野元信筆 室町時代 重要美術品
水の轟音が聞こえませんか
奔湍図

16.瀑布図 伝狩野元信筆 室町時代

Ⅲ.【雪村作品一緒公開】 七作品
18.呂洞賓図 雪村周継筆 室町時代 重要文化財
 張りのある太い濃墨線で衣装が細筆で顔を、薄墨、濃墨は
 龍に動きがみられます。
呂洞賓図

19.花鳥図屏風 雪村周継筆 室町時代 六曲一双 重文
 右隻には早春で動を、左隻には夏の夜で静が表される。
 花鳥図屏風一部

20.潭底月図 雪村周継筆 1583年 室町時代
  大胆な描き方で
21.自画像 雪村周継筆 室町時代 重要文化財
 上空の月が冷たく輝いておりますね。
自画像

22.楼閣山水図 雪村周継筆 室町時代 
23.書画図  雪村周継筆 室町時代 
24.孔子観欹(イ)器図 雪村周継筆 室町時代  

Ⅳ.【江戸時代】
25.雪舟写山水図 尾形光琳筆 江戸時代
26.鶴図 尾形光琳筆 江戸中期
30.釣瓶に鶏図 伊藤若冲筆 江戸時代
31.鱈図 円山応挙筆 江戸時代
  大胆に鱈がはみ出して描かれております。
33.澗泉松声図 浦上玉堂筆 江戸時代

参考出品
37.書状 上嶋源之丞宛 尾形光琳筆 江戸中期
 絵画は日常の書状のように伸びやかに描くべきだと
書状

38.墨蹟 無相居士像賛 大慧宗杲筆1157年中国南宋 重文
墨蹟 無相居士像賛

最後にユーモラスなカエルさまの登場、さすが南岳
32.殿様蛙行列図屏風 渡辺南岳筆 江戸時代
笑ってしまいますね。
これで記憶が飛んだようで思い出せず、もう一度?

大和文華苑のササユリは終盤に

2018-05-30 14:06:07 | 大和文華館
今朝から雨のなか、スムージー用の野菜を採りに庭へでると、
最後の大山蓮華の蕾が一枚めくれ上がり・・・昼前には開花に
来年も楽しみにしていまから御礼肥やしを上げなくては。

伸び盛り、花盛り特にオオムラサキツユクサの株が大きくなり
よく見ると萩の若芽にモンシロチョウが雨宿り、
横のホタルブクロが傘代わりなのでしょうか。
  
カラーにも虫が・・・雨宿りが出来ないのに。

探せば、かなりの虫たちが隠れているのでしょう。
そしてシダが葉を広げて、胞子を出す準備?

梅雨を迎える庭の一時、これからも愉しめますね。

昨日も花々を見てきました。場所は「大和文華館」のお庭
『大和文華苑』、十日はまだ蕾、17日に開花した「ササユリ」
24日には見頃を迎え、早く見に行きたかったのですが・・・
ササユリの無料開放日に合わせて伺うことが出来ました。


門を入ると支柱に支えられたササユリ数本がお出迎え
 
そしてまだ紅い花の石楠花、薊やタニウツギ、そして
柘榴の花と小さな実の両方見ることが出来ました。
 
本館の前にも4本のササユリ、花に鼻を近づけ匂われる人も
『偽りのなき香を放ち山の百合』
          飯田龍太 
 
   
ササユリの谷では、カメラを抱えた人たちなどにむかって
つんっとして楚々とうつむきがちに立っておりました。
百合の花折られぬ先にうつむきぬ
               其角 
  
でも終わりかけ、6月の下旬には山百合に。

帰り際、「栴檀」の花が風に舞い散っておりました。
 
万葉集では『楝(あうち)』とよぶの花、脇役になりますが、
散り際の美学なのでしょうか。
大和文華苑の主役は、これからは『紫陽花』に。

大和文華館・尾形光琳筆「中村内蔵助像」と人物表現の魅力展

2018-05-11 12:33:56 | 大和文華館
今朝は6.4℃まで冷え込みましたが、遅霜はなかったよう、
若草山も今朝は夏の光を浴びて日々緑色に変化がみられます。


現在『尾形光琳筆「中村内蔵助像」と人物表現の魅力』展が
5月20日まで、大和文華館で開催中。HPによると
”人物画は東洋の伝統的な画題です。人物の姿は、肖像画や
 風俗画はもちろんのこと、仏画や物語絵、歌仙絵など・・・
 時代の関心を鋭く反映した多様な人物表現をお楽しみ下さい”

当館所蔵品にて7部で構成され、
50作品、国宝1件、重要文化財4件、重要美術品2件を含む。
本館に入ると、いつもの様に3作品が展示されており、
左:6『源氏物語浮舟帖』鎌倉時代、重要文化財(以後重文)
  浮舟の後半部が書写されており、雲母(きち)をひいた
  光沢のある料紙に、白と黒のみからなる画面に情緒感が
源氏物語浮舟帖

中:19『小大君像』佐竹本三十六歌仙絵断簡 鎌倉時代、重文
  元は上下二巻、1919年佐竹家を離れる時に分断された。
  大和絵の伝統、写実的で内面の感情が溢れています。
  絵は藤原信実、書は九条良経の筆と伝えられる。後ろの歌
「岩橋の夜の契りも絶えぬべし明くるわびしき葛城の神」と
小大君像

右:5『病草紙断簡やまいぞうしだんかん』平安後期
  
Ⅰ.【神仏】
1.『金胎仏画帖』 12図 平安後期
  本来は九十五尊、描線が柔らかく美しい

2.『小厨子扉絵』4画 鎌倉時代
  高貴な女性の守り本尊とされ、法華経・陀羅尼品より
 
 

4.『多武峰曼荼羅図』藤原鎌足像 室町時代
  鎌足と長男定恵(俗名、真人)二男の不比等と三人を描く
 
Ⅱ.【物語】
7.『伊勢物語下絵梵字経』鎌倉時代
  白描という墨線を主体とする大らかな表現で、隣に経典を
  除いた8.白描の三井田久子さんの模写もあり面白いです。


9.『平治物語絵巻断簡』六波羅合戦巻 鎌倉時代
14.『源氏物語図帖』伝土佐光吉筆 桃山~江戸時代前期
15.『伊勢物語図色紙』伝俵屋宗達 六段 芥川 江戸前期
伊勢物語図色紙

Ⅲ.【歌仙】
20.『僧形歌仙図』 俵屋宗達筆 江戸前期
21.『三十六歌仙絵敦忠像』伝岩佐又兵衛筆 江戸前期
僧形歌仙図

Ⅳ.【唐人物】
22.『寿老人図』 秋月等観筆 室町時代 雪舟の弟子
23.『古画縮図(人物)』狩野探幽筆 江戸前期
24.『維摩居士像』狩野山雪筆 江戸前期 立像は珍しい
25.『寒山図』 俵屋宗達筆 江戸時代前期
26.『林和靖図』伝宮崎友禅斎筆 江戸中期 友禅染考案者

Ⅴ.【肖像】
29.『一休宗純像』伝曽我蛇足筆 一休賛 室町時代
  円窓内に緻密な顔と粗い衣の描線で
一休宗純像

30.『龍湫周澤像』1423年 古憧周勝賛 室町時代
  顔や体そして袈裟に精緻な表現  重要美術品
龍湫周澤像 

32.『婦人像』 桃山時代  重要文化財
  能面のように理想化され、内に秘めた強い精神力が
  伝わります。狩野派による作品でしょうか  
婦人像

33.『中村内蔵助像』尾形光琳筆 江戸中期 1704年重文
  琳派の数少ない肖像画として貴重で、張りのある描線
  「瘦けれと 腹にこめたり 春の山」
中村内蔵助像

Ⅵ.【風俗】
36.『輪舞図屏風』
  本館定番の作品で、風俗がよく判ります。  
輪舞図屏風

37.『婦女遊楽図屏風』松浦屏風  江戸時代前期 国宝
婦女遊楽図屏風
39.『美人図』宮川長春筆1797年川上不白後賛 重要美術品
  「佛は法をうり 祖師は佛をうる・・・」沢庵の偈
  艶やかな流し目であるが媚びてはいない、繊細な線描は
  円熟し、理想の美人画か。大和絵の伝承する気概も
美人図

40.『美人画』司馬江漢筆 江戸後期
  39の長春との相違が面白い
42.『海浜漁夫図』司馬江漢筆 1799年 西洋画の影響が

Ⅶ.【近代】
48.『撫子花図下絵屏風』 土田麦僊筆 1934年
49.『洗髪図』 土田麦僊筆 昭和時代
  白指で一部(耳目、足先など)に朱を

よく見る作品もありますが、忘れがち、復習しなくては。

大和文華苑のササユリに蕾が

2018-05-10 14:40:17 | 大和文華館
今朝の奈良は8.2℃と冷え込み、寒気による雲の空模様ですが
明日の朝の遅霜が心配になります。

40日ぶりに大和文華館へ訪れると、門からの眺めは緑一色、
門の前にはもう、「ササユリ」の蕾が顔を。
    
今年はササユリの群落へと鑑賞後に足を伸ばすと、
蕾が多く首をもたげております。
  
昨年の開花は5月23日、今年は17日頃には・・・ということは
開催中の『尾形光琳筆「中村内蔵助像」と人物表現の魅力』展
最終日の5月20日までは見られるかも。

さあ始めに戻り本館への坂を上りはじめますと
赤い「シャクナゲ」がさらに進むと赤い花びらが落ちており、
「タニウツギ」が満開で散り始め、
  
道の谷側の奥に「ササユリ」の群落があるのですが・・・
坊さんが頭巾をかぶっているような「ヤマボウシ」がお出迎え


そして本館付近には
  
今年も見事に咲いた「枝垂桜(三春滝桜)」は、葉桜どころでは
 
四月の下旬に咲いた「奈良の八重桜」は、可愛いサクランボが

蝋梅(ロウバイ)にも大きな実がたわわに。
 

梅の小道の山側がササユリの群落で、青梅が見られ

地面には、熟し落ちた梅が・・・烏が梅を頂く?・・・
 

「カラタネオガタマ」や「朴の木(ほうのき)」にも花が
 
 
門近くにある『橘』、忘れ去られたおりますが、
今年も実を付けてくれるでしょう

よく探すと、まだまだ花を見つけられますよ。
大和文華苑の主役はこれからササユリそして紫陽花へと。 

大和文華館「生命の彩いろどり-花と生きものの美術-」展へ

2018-03-29 12:50:01 | 大和文華館
『大和文華館』の前庭に移植された「三春瀧桜」見事に満開、
  
館内も中国、日本、朝鮮における花と動物の美術作品で彩られた
特別企画展『生命の彩いろどり-花と生きものの美術-』開催中

特集陳列として、2017年春に修理を終え、修理後初公開となる
重要文化財・伝毛益筆「蜀葵遊猫図・萱草遊狗図」南宋時代
(当館蔵)は江戸初期には伝来し、狩野派を始めとする画家達に
より模写され、猫と犬の図様の広がりに大きな影響を、
更には、近年再発見され、約80年ぶりの公開となる明時代の
宣宗皇帝筆「麝香猫図」(個人蔵)なども展示されています。

3部門構成、展示数42作品中重要文化財2件、重要美術品1件で
入り口にいつもの様に三作品が並んでおり
左に39.梅雀六角筥 平福百穂筆 昭和
中は3.狗図 伝李迪筆 中国・南宋時代 個人蔵
右に15.白磁青花彩陽刻十長生文六角瓶 京畿道広州郡分院里窯
六角形に面取りされた白磁に鮮やかな青花で文様が、胴部は
白土を盛り上げた十長生文(鶴亀鹿松竹‣岩‣霊芝‣太陽‣水‣雲)
細部は線刻されている。


特集陳列 伝毛益筆「蜀葵遊猫図・萱草遊狗図」と東アジア
1.蜀葵遊猫図 伝毛益筆 中国・南宋時代
 立葵もとに、親猫と子猫達、蝶を見上げ、じゃれ合う子猫
音通が猫は耄(ボウ)70歳、蝶は耋(テツ)80歳、長生を現す。
蜀葵遊猫図

2.萱草遊狗図 伝毛益筆 中国・南宋時代
 萱草は男子誕生を祈る吉祥画で、親狗と仔狗の愛らしさも
萱草遊狗図

5.春苑遊狗図 紀鎮筆 中国・明時代 黒川古文化研究所蔵
春苑遊狗図

7.双狗子図 李厳筆 朝鮮王朝・朝鮮王朝時代 個人蔵
双狗子図

8.芭蕉竹仔犬図屏風 渡辺始興筆 日本・江戸時代
金字山水図屏風(楷体)の裏側に水墨(行体)で描かれたおり、
夏の陽だまりに仔犬が遊んでいる。芭蕉や岩は勢いのある筆で
墨の流れた滲みも見られ、静と動が表されています。
左一部 右一部

9.乳狗図 渡辺崋山筆 日本・江戸時代 黒川古文化研究所蔵

【百花百獣の彩】
11.蓮池図 揮寿平筆 中国・清時代
  大輪の蓮に、たわむ蓮の軸に動きがあり、
  二匹の魚や蓮の間の子虫も絵は描かれております。
12.秋渓群馬図 沈銓筆 中国・清時代
13.桐下遊兎図 伝余崧筆 中国・清時代
14.群鹿図 朝鮮王朝・朝鮮王朝時代
15. ライオン図 宋紫石筆 日本・江戸時代
 南蘋(なんぴん)派、賛に平賀源内が秘蔵する本より
ライオン図

19.輪墨随身帖 田能村竹田筆 12図 江戸後期
20.桜図 俵屋宗達筆 江戸前期
  没骨描写、たらし込技法が
22.瓶花図 酒井抱一筆 1815年江戸後期
 尾形光琳百回忌に優美に描かれ、柔らかな描線と明るい彩色に
瓶花図

23.蘭石図屏風 与謝蕪村筆 四曲一双 江戸後期
  夜半翁(亭)は俳号、謝寅(しゃいん)は画号に

【花鳥の彩】
25.竹燕図 馬遠筆 中国・南宋~元時代
  水辺の磐と竹に戯れる燕
竹燕図

27.梅花牡丹小禽図 孫億筆 中国・清時代
  寿石に梅、牡丹が・・・
31.鶴図 尾形光琳筆 江戸中期
36.釣瓶に鶏図 伊藤若冲筆 1795年江戸後期
38.晩秋図 菱田春草筆 明治時代

【参考出展】見ものです。
40.古画縮図(花鳥)狩野探幽筆
  素晴らしい筆遣いにうっとりします。
41.唐絵手鑑 伝狩野安信筆 膳56図 江戸前期
42.和漢名画苑 6冊のうち大岡春ト編1750年 江戸中期

自宅稽古の後で、生命あるものの彩に癒されました。

三春の瀧桜の咲く大和文華館へ

2018-03-28 11:05:12 | 大和文華館
昨日は朝から自宅稽古、富山から帰ってくると近所の桜も満開、
玄関の色紙は「吉野龍田図屏風」部分(根津美術館蔵版1996)
 
全山埋め尽くす吉野の桜、その枝にかかる短冊に、春の曙の題に
建仁二年(1202)の千五百番歌合歌の一部が、
ほのぼのと花の横雲あけそめて桜にしらむみ吉野の山
          西園寺太政大臣(公経)(玉葉194)
訳)花の色合をした横雲がうっすらと明るくなり始め、
 吉野山は全山埋め尽くす桜によって白じらと姿を現してくる。

*なお吉野町の開花情報によれば、満開は中の千本で4月4日と

奈良の一番桜は、氷室神社の枝垂桜、25日に満開とのこと
奈良の二番桜?大和文華館の『三春の瀧桜』、
20日に咲き始め、25日にはもう満開になったそうで、
今年はあてになりませんね。でも早くいかないと・・・。

この親木は、エドヒガン系のベニシダレザクラで、1922(大正11)年
に国の天然記念物の指定を受け、 日本三大桜のひとつで
樹齢1000年以上とされる福島県三春町の『三春瀧桜
開花は4月10日と予報されており、現在は蕾堅しですね。


一足早く、例年より三足早くなりますが自宅稽古終了後に
大和文華館の三春瀧桜を訪れますと、なめこ壁に映る滝桜、
風情がありますね。でもこの暖かさ、今週いっぱいが見納め?。
  

門からのプロムナードにも滝桜の孫株が・・・
  上から

またミツバツツジや白木蓮と思いきやコブシ
 

園内には白木蓮がもう散り始め、

なおレンギョウやミズキは撮り忘れ
雪柳と桜、そして木瓜も
 

菊桃も咲き出しそうですね。

地面には菫?・・・

庭内は花盛りの「大和文華苑」になり、現在大和文華館では
特別企画展『生命の彩(いろどり)-花と生きものの美術-』
百花百獣の彩、花鳥の彩の数々が館内を彩っておりました。

大和文華館「文人のまなざし 書画と文房四宝」展へ

2017-09-21 15:55:53 | 大和文華館
雲が多く涼しい朝を迎え、

秋らしい天気になりそうな予感
朝8時
庭ではやっと秋冬野菜のためゴーヤや獅子唐がたおされ、
明るさの増した小畑、糠をいれたのでしょうか?
掘りおこした畝に、何羽ものすずめが啄んでおります。
網戸越し

先日伺った曼珠沙華の咲きだした大和文華館
『文人のまなざし-書画と文房四宝』展も残す事十日に
 
さあ、なまこ壁の本館へ

当展はHPによると(抜書きです)
”文人は文化の重要な担い手で、友人との語らいや
 名勝への旅など、日々の感慨に応じて墨を磨って筆を
 とっており、特に硯・墨・筆・紙は「文房四宝」され
 中国、日本、朝鮮における文人の書画と書斎道具から、
 文人達が愛した秋の季節に、東アジア文人の豊かな
 精神生活を感じて下さい。”と

エントランスを抜けると、竹の中庭を背景に3作品が
左:「翰墨随身帖」田能村竹田 江戸後期
壇ノ浦の奇石図と蟹図に
翰墨随身帖
中:「秋塘図」 伝趙令穣筆 中国・北宋時代 重文
江南山水画で柔らかい自然な空気感を着色から薄墨で
秋塘図
右:「黄地紫彩花卉人物文尊式瓶」景徳鎮窯 明後期
黒の輪郭線で文様で、外を黄釉、内を紫釉のコントラスト
素三彩の技法の先駆に
黄地紫彩花卉人物文尊式瓶

四部から構成されており、60作品から
Ⅰ.【文房の美-文人の書斎道具-】
「五彩荷葉硯」景徳鎮窯 中国・明時代
五彩荷葉硯
「龍図墨」 程君房作 中国・明時代
龍図墨
「螺鈿花卉文筆」 中国・明時代
竹管の筆が
螺鈿花卉文筆
「青花透彫蛙蓮華算木文角水滴」朝鮮王朝時代
中の蛙に水が溜まり、四辺の一つに小さな穴が
青花透彫蛙蓮華算木文角水滴

「赤絵龍文柏葉形筆洗」奥田潁川作 京焼

Ⅱ.【筆墨の美】
「七絶詩」 文徴明筆 中国・明時代
「墨竹図」景鳳筆 1591年 明時代
墨竹図
「賞楓図」 張風筆 中国・清時代
賞楓図
「葡萄図」李継祜筆 朝鮮中期
葉は、たらしこみに似た技法、実は墨の濃淡で凹凸を
葡萄図
「墨蘭図」 鄭燮筆 中国・清時代
墨蘭図
「葫芦図」呉俊卿筆 1920年 中華民国

Ⅲ.【山水の美】
「秋塘図」伝趙令穣筆 中国・北宋時代 重文
「冬景山水図」 陸治筆 中国・明時代
「山水図」 程邃筆 1657年 中国・清時代
加工を加えない紙に焦墨で描く、墨と紙の素材の美しさ
山水図
「秋林罷釣図」 徐枋筆 中国・清時代
「澗泉松声図」 浦上玉堂筆 日本・江戸時代後期
墨をあまり含ませないで強く筆を擦る(さっぴつ)の技法

Ⅳ.【文人の日々-書・旅・友-】
「聴松図巻」 王翬・楊晋合作 中国・清時代
流れ落ちる滝と、松林を吹き抜ける風を聞く高潔な士

「山水図冊」 方士庶筆 中国・清時代
「春林書屋図」 呉春筆 日本・江戸時代後期
「冠岳夕嵐図」鄭善攵筆 朝鮮後期
 朝鮮独自の画風に注目
「梅華満開夜図」富岡鉄斎筆 1911年 明治
淡彩で、寒い日が続き梅の花を
梅華満開夜図
「寒月照梅華図」富岡鉄斎筆 1911年 明治
墨一色で月光に映える梅木を画面いっぱいに
寒月照梅華図

大和文華苑の紅白は彼岸花、萩と酔芙蓉?

2017-09-19 15:00:13 | 大和文華館
明日20日は彼岸の入りで、旧暦8月朔日に当たります。
先週末から近所でも待っていたかのように彼岸花が
咲き始め、季節の移り変わりを感じました。

でも昨日伺った大和文華館
 
アプローチの右端では白彼岸花は咲き、
一筋の白極まりし彼岸花
         正木和子
 
左右の彼岸花は紅い蕾が殆どで、
品種?それとも日当たりなのでしょうか?
 

さらに左側には紅・白の萩の花も。
萩の中に猶白萩のあはれなり
          正岡子規
  

もう一つ紅白の花が・・・
酒を飲むと顔色がだんだんと赤みを帯びるように
朝方は純白、午後には淡い紅色、夕方から夜に紅色に
変わる八重咲きの変種の「酔芙蓉」もあったはず?
訪れたのは午後二時頃ですから淡い紅色のはず・・・
見過ごしてしまったようです。残念
同じ日のHPにこんな名写真がアップされておりました。

【上から午前10時、午後1時、午後4時の撮影です。】
”本館前の酔芙蓉が徐々に咲き始めてきています。
 台風一過の今日は時折陽射しものぞく中、白い花が
 時間を経るごとに徐々に紅く染まっていました♪

でも本館前には薄紅色と紅色の一重が特徴の「芙蓉」が、
花は5弁で一日花になりますね。
  
物かげに芙蓉は花をしまいたる 
           高浜虚子

そして本館右横に、薄~紅色をつけた大きな実が、
「柘榴」です。でもまだ固く熟していないようですね。
 
もっと紅くならないと、割れないのでは!
刻々と緋を溜めてゐる柘榴の実
            飯田龍太
なお大和文華館では、10月1日まで
「文人のまなざし-書画と文房四宝-」展が開催中です。

大和文華館「文人のまなざし-書画と文房四宝-」

2017-08-26 17:10:15 | 大和文華館
大和文華館では「文人のまなざし-書画と文房四宝」展が
昨日25日から10月1日までで、中国、日本、朝鮮における
文人の書画と書斎道具を展示されております。

駐車場で、お終いな鉄砲百合が出迎えてくれ、

本館へのアプローチをあがります。、
  
花は少なく木槿、百日紅や芙蓉そして遅咲きの山吹が

なめこ壁の本館に到着です。

「文房四宝」と呼ばれる硯・墨・筆・紙からなる展示品は
重要文化財は1件を含む60件で、4部から構成されており、
見応えのある展示で、簡単に紹介します。

Ⅰ.文房の美-文人の書斎道具-
「五彩荷葉硯」景徳鎮窯 中国・明時代
五彩荷葉硯
「龍図墨」 程君房作 中国・明時代
龍図墨
「螺鈿花卉文筆」 中国・明時代
螺鈿花卉文筆
「青花透彫蛙蓮華算木文角水滴」京畿道広州郡分院里釜
               朝鮮・朝鮮王朝時代
青花透彫蛙蓮華算木文角水滴
蓮の花に潜む蛙、内部は空洞で上から注がれた水が溜まる

Ⅱ.筆墨の美
「墨竹図」詹景鳳筆 1591年 中国・明時代
墨竹図
風を受けて揺れる竹と元に戻る竹の二つの描写がされ
行書の名手、悟りは「黙して空山に座せば花、天に墜つ」

「賞楓図」張風筆 中国・清時代
賞楓図
奥から手前に吹き抜ける風を感じてください。
高士 の内面の高潔さが現れておりませんか。
「筆であり墨あるは、この幅紙の甚だ佳なるを  
       似てなり、椿先生もと文房第一に居る」

Ⅲ.山水の美
「秋塘図」 伝趙令穣筆 中国・北宋時代 重要文化財
秋塘図
目の細かい絹上に夕刻の一瞬が描かれており、
林は重ねられた細い線で描かれ、夕霧忍び寄っており
着色から淡墨の水墨画への変化が良いですね。

「山水図」程邃筆 1657年 中國・清時代
山水図
殆ど加工されていない紙に焦墨で描かれており、
墨と紙本来の素材の美しさが味わえます。

Ⅳ.文人の日々-書・旅・友-
「聴松図巻」王翬・楊晋合作 中国・清時代
聴松図巻
松籟を聞きながら座る高士が描かれております。

「山水図冊、第5図」方士庶筆 1728年 中国・清時代
山水図冊、第5図
薄墨の美しさが際立っています。

蕪村さんや富岡鉄斎も・・・

一見地味な印象を受けますが、
一足早く、秋の風情を感じられる展示内容になります。