「楓蔦黄候(もみじつたきばむ)」11月2日頃
10月30日には炉の準備も終盤を迎え
風炉の道具から炉の道具入れ替え
これで一息できました
開炉にあたり「利休道歌」をふりかえると
『冬の釜囲炉裏縁より六七分高く据えるぞ習いなりけり』
『姥口は囲炉裏縁より六七分低く据えるぞ習いなりけり』
『羽箒は風炉に右羽よ炉の時は左羽をば使ふとぞ知る』
『炉のうちは炭斗瓢柄の火箸陶器香合ねり香と知れ』
『客になり底取るならばいつにても囲炉裏の角を崩し尽くすな』
開炉の時「瓢の炭斗」「織部の香合」「伊部の水指」
三べが揃うと縁起がよい?
茶人の遊び心、ごろ合わせとお聞きします
利休道歌によると、かつては炉のうちは
炭斗は『瓢』が常用ということですね
開炉はまずは初炭を
半年ぶりの炉の初炭は風炉と違い、炭も大きくなり
桑柄の火箸、羽箒は左羽、香合は陶器に練り香・・・
風炉と違って良く炭が熾ります
陰陽五行では亥は「水性の陰」として開炉に相応しい日
(火難を免れる)であるので亥の月、亥の日に炉を開きます
又、多産であるいのししにあやかり子孫繫栄を願いますが
水の卦、極陰に当たるので善哉や亥の子餅など陽のものを
皆でいただきお祝いをいたします
開炉では初炭の後は善哉です
温かいお善哉は皆さんの顔を笑顔にそして
身体、心まで暖めてくれますね
小餅
五人揃った六日の日曜日、善哉をいただき
「三友之式」をいたしました
花を入れ、香を焚き、菓子付花月
『茶の湯には梅寒菊に黄葉み落ち青竹枯木あかつきの霜』
『茶の湯とはただ湯を沸かし茶をたてて
飲むばかりなる事と知るべし』
何かと行事の多い霜月ですが
開炉に当たって利休道歌を振り返ってみる事も
大切ではないかと思いました
先日の18日午後3時頃、夫に誘われ笠置寺に紅葉狩りに
笠置山には巨岩が散在し、弥生時代からの信仰の地
その山頂付近に笠置寺があり、天智天王の皇子が彫られた
という伝説がある15mの「弥勒摩崖仏」がご本尊です
日本最大の摩崖仏ですが、1130年、1331年、1398年と
3度の戦乱などで焼失している
レーザー測量にて明らかになった像
礼拝堂の正月堂内
この笠置寺には役行者や良弁和尚の名が・・・
そして実忠和尚が東大寺二月堂での現在も続く「お水取り」
の起源となる修二会を始められた
1193年には興福寺の解脱坊貞慶上人が入山され
笠置寺の隆盛期を迎えている
だが1331年元弘の乱で、後醍醐天皇が南朝の仮皇居にされ
半年ほどの戦乱のなかで、後醍醐天皇が詠まれた歌
「うかりける 身を秋風に さそわれて
思わぬ山の もみじをぞ見る」
行在所跡の歌碑
だが旧暦の1331年9月29日に全山焼亡となる
30年ほど前、笠置寺宝蔵坊跡に元弘戦600年を記念し
80本ほど植えられた「もみじ公園」です
静かで、ぐるりと紅葉のグラデ-ション、
天井は青空に紅葉
今度、是非是非、茶箱と茣蓙を携えてお薄一服いただきたい