(1)10年後のレストランのメニューは、今と様変わりしている(はずだ)。
輸入依存度の高い食品の価格は、9~10年前と比べて軒並みに単価が上がっている。
消費者に、実感はないかもしれない。しかし、蒲焼き用のウナギや、イクラ(寿司ネタの定番)の価格は2倍近く上昇している。今後もこのベースで価格が上がれば、日本では食べられなくなってしまう。
最大の価格上昇要因は、新興国での消費拡大だ。
中国は、一見、農地面積が大きそうだが、実際は乾燥地帯が多く、農家の規模も日本より小さい。ために、国内での生産拡大では賄いきれない。輸入を急増させている。
いまや、世界で貿易される大豆の6割は中国が輸入している。中国は、大豆を飼料にして、豚を育てている。育てられている豚は、世界の生産量の半分に達するのだが、それでも足りず、中国は豚肉を輸入している。
人類は、肥料や農薬の革新によって穀物を増産し、人口の増加分をカバーしてきた。
地球温暖化、水不足といった新たなリスクが出てくる中、2050年までの半世紀で食料需要は1.6倍に膨らむ。この需要を満たせるのか。穀物が足りなければ、畜産物も満足に生産できない。
「食」がテーマのミラノ万博では、未来の食として「昆虫食」が提案されている。未来のメニューの主役は、蜂の子やイナゴになるか。
(2)状況。
(a)国内農業の弱体化リスク。カロリーベースで4割を切った。
(b)気候変動リスク。頻発する寒波、干ばつ。
(c)中国・新興国の爆食による買い負けリスク。2000年代初頭に、1人当たり年間肉類消費量が、日中逆転。
(d)資源の枯渇・動物の病気リスク。米国産牛肉輸入量はBSEショックで激減。
(3)人気の定番メニューの未来。
(a)寿司盛り合わせ・・・・
①マグロ:輸入依存度45% キロ単価630円→889円
②サケ:輸入依存度63% キロ単価493円→746円
③アジ:輸入依存度23% キロ単価121円→213円
④カニ:輸入依存度73% キロ単価828円→1,474円
⑤イクラ:輸入依存度35% キロ単価1,674円→3,307円
(b)高級ワイン・・・・2017年までの5年間での消費量5%増。中国の消費量が2.3倍になって高給ワインの買い負けが増加。
(c)ラーメン(中華麺用小麦)・・・・世界の小麦輸出量に占める日本向け割合が5.1%→3.6%。輸入国としての地位低下。ラーメンやうどんに最適な品種を指名しても、断られる可能性あり。
(d)チーズ(乳製品)・・・・国内生乳生産量828万トン→733万トン。
(e)牛丼(脂身が多い牛バラ肉)・・・・牛丼並盛の価格280円→380円。中国の動向でバラ肉の価格が乱高下。中国が米国産を買っていた2014年には1,000円/kg超。2015年になって買わなくなると4割安に。
(f)うな重(蒲焼き用のウナギ加工品)・・・・輸入ウナギ加工品キロ単価1,347円→2,587円。養殖するウナギの稚魚が減少し価格高騰。2014年、ニホンウナギが絶滅危惧種に指定され、輸出入が規制される可能性が高まる。
(g)ジンギスカン(ラム肉)・・・・輸入ラム肉キロ単価1,191円→2,504円。中国が大量に消費。羊は草原の根っこまで食べるため砂漠化の原因に。環境保護のため生産に制約がある。
(h)まつたけ炭火焼き・・・・国内まつたけ生産量71トン→38トン。輸入品に国産並みの香りは期待できない。
(j)味噌汁(大豆)・・・・世界の大豆輸出量に占める日本向け割合6.8%→2.5%に。米国産の大豆の9割は遺伝子組み換え(GM)。非GMの調達が難しくなる。
□記事「あなたの食卓から消える! 人気の定番メニュー」(「週刊ダイヤモンド」2015年8月29日号)
↓クリック、プリーズ。↓

輸入依存度の高い食品の価格は、9~10年前と比べて軒並みに単価が上がっている。
消費者に、実感はないかもしれない。しかし、蒲焼き用のウナギや、イクラ(寿司ネタの定番)の価格は2倍近く上昇している。今後もこのベースで価格が上がれば、日本では食べられなくなってしまう。
最大の価格上昇要因は、新興国での消費拡大だ。
中国は、一見、農地面積が大きそうだが、実際は乾燥地帯が多く、農家の規模も日本より小さい。ために、国内での生産拡大では賄いきれない。輸入を急増させている。
いまや、世界で貿易される大豆の6割は中国が輸入している。中国は、大豆を飼料にして、豚を育てている。育てられている豚は、世界の生産量の半分に達するのだが、それでも足りず、中国は豚肉を輸入している。
人類は、肥料や農薬の革新によって穀物を増産し、人口の増加分をカバーしてきた。
地球温暖化、水不足といった新たなリスクが出てくる中、2050年までの半世紀で食料需要は1.6倍に膨らむ。この需要を満たせるのか。穀物が足りなければ、畜産物も満足に生産できない。
「食」がテーマのミラノ万博では、未来の食として「昆虫食」が提案されている。未来のメニューの主役は、蜂の子やイナゴになるか。
(2)状況。
(a)国内農業の弱体化リスク。カロリーベースで4割を切った。
(b)気候変動リスク。頻発する寒波、干ばつ。
(c)中国・新興国の爆食による買い負けリスク。2000年代初頭に、1人当たり年間肉類消費量が、日中逆転。
(d)資源の枯渇・動物の病気リスク。米国産牛肉輸入量はBSEショックで激減。
(3)人気の定番メニューの未来。
(a)寿司盛り合わせ・・・・
①マグロ:輸入依存度45% キロ単価630円→889円
②サケ:輸入依存度63% キロ単価493円→746円
③アジ:輸入依存度23% キロ単価121円→213円
④カニ:輸入依存度73% キロ単価828円→1,474円
⑤イクラ:輸入依存度35% キロ単価1,674円→3,307円
(b)高級ワイン・・・・2017年までの5年間での消費量5%増。中国の消費量が2.3倍になって高給ワインの買い負けが増加。
(c)ラーメン(中華麺用小麦)・・・・世界の小麦輸出量に占める日本向け割合が5.1%→3.6%。輸入国としての地位低下。ラーメンやうどんに最適な品種を指名しても、断られる可能性あり。
(d)チーズ(乳製品)・・・・国内生乳生産量828万トン→733万トン。
(e)牛丼(脂身が多い牛バラ肉)・・・・牛丼並盛の価格280円→380円。中国の動向でバラ肉の価格が乱高下。中国が米国産を買っていた2014年には1,000円/kg超。2015年になって買わなくなると4割安に。
(f)うな重(蒲焼き用のウナギ加工品)・・・・輸入ウナギ加工品キロ単価1,347円→2,587円。養殖するウナギの稚魚が減少し価格高騰。2014年、ニホンウナギが絶滅危惧種に指定され、輸出入が規制される可能性が高まる。
(g)ジンギスカン(ラム肉)・・・・輸入ラム肉キロ単価1,191円→2,504円。中国が大量に消費。羊は草原の根っこまで食べるため砂漠化の原因に。環境保護のため生産に制約がある。
(h)まつたけ炭火焼き・・・・国内まつたけ生産量71トン→38トン。輸入品に国産並みの香りは期待できない。
(j)味噌汁(大豆)・・・・世界の大豆輸出量に占める日本向け割合6.8%→2.5%に。米国産の大豆の9割は遺伝子組み換え(GM)。非GMの調達が難しくなる。
□記事「あなたの食卓から消える! 人気の定番メニュー」(「週刊ダイヤモンド」2015年8月29日号)
↓クリック、プリーズ。↓


