語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】甘いが低カロリー、偏食に要注意 ~果物~

2016年07月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)健康にいいと思われがちな果物だが、最近は果物に含まれる果糖が吸収されやすいため、むしろ太りやすい、糖尿病によくない、などの悪玉説もある。
 果物と野菜を比べると、野菜のほうがカロリーが少ないという先入観が働くが、実際はどうか。100g当たりを見ると、
   リンゴ・・・・57kcal
   ゴボウ・・・・65kcal
   ワサビ・・・・88kcal
 味覚で感じる甘さとカロリーは直接の関係はない。果物のカロリーはだいたい30~70kcalだ。
 むろん、ナスやほうれん草など果物より低カロリーの野菜も多いが、野菜はそのままではなかなか食べない。ドレッシングをかけるなどすることを思えば、何もかけない果物のほうが圧倒的に低カロリーだ。

 (2)果物は品種改良で昔より甘くなっているから太りやすいか。
 否、1982年と2010年を比べても、リンゴは4kcal増えただけ。キウイフルーツは3kcal減った。

 (3)確かに果糖はすぐに分解されて肥満の原因になることが懸念されるが、果糖を含むリンゴを摂取すると中性脂肪が減少するという研究結果もある。
 「食事バランスガイド」(農林水産省および厚生労働省、2005年)で初めて果物の摂取目標が定められた。それまでは野菜摂取量を増やそうと告知されるだけで、果物には触れていなかった。果物の1日の適量は、
   温州ミカン、柿、桃・・・・2個
   リンゴ、梨・・・・1個
   ブドウ・・・・1房
 日本の場合、1日当たり野菜は350g、果物は200gを目標としている。対してWHOでは、果物と野菜を分けていない。心臓病や脳卒中を減らせるとして1日当たり600g摂取するのがよいと勧告している。果物も野菜と同様に効果があると考えられている。

 (4)夏バテ防止には、水分の多い梨やスイカなどがよい。夏はそうめんや冷麦など淡泊な食事になりがちなので、ビタミンやミネラルが豊富な桃、ブドウを一緒に食べると栄養価が高まる。
 二日酔いを和らげるにはタンニンを含む柿が最適。
 注意も必要だ。果物に含まれる果糖は代謝が早く、満腹感も得られやすい。そのため他の食べ物が食べられなくなって食が偏る原因になることもある。食後に食べるのがよい。 

□柳堀栄子(編集部)「甘いが低カロリー 偏食には要注意 ~食べていい・悪いの境界線~」(「AERA」2016年7月25日号)
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 【参考】
【食】1日3杯までなら死亡リスクを低下させる ~コーヒー善玉説~
【食】トランス脂肪酸は10年前の10分の1 ~マーガリン~
【食】グルテンの中毒性、仮説を明確に否定 ~パンやうどん~
【食】野菜は水にさらし、炒めるより蒸す ~アクリルアミド~
【食】毎日ハム5枚は多すぎ、気にすべきは量 ~亜硝酸ナトリウム~

【食】1日3杯までなら死亡リスクを低下させる ~コーヒー善玉説~

2016年07月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)コーヒーは、最近の研究で健康によいことがわかってきた。
 WHOは、2016年6月、「コーヒーは癌を引き起こす可能性がある」とした1991年の発表を取り下げ、「コーヒーに発癌性はなく、逆に癌を抑制する可能性がある」と発表した。
 日本では、国立がん研究センターによる9万人を対象とする追跡調査で
   「1日4杯までであれば、飲む量が増えるほど死亡リスクが低下する」
   「1日3~4杯飲む人の死亡リスクは、全く飲まない人に比べて24%も低い」
ことが明らかになっている。特に心疾患、脳血管疾患などの死亡リスク低下が顕著だ。

 (2)別の研究では、コーヒー摂取が肝癌リスクを低下させるのは「ほぼ確実」で、子宮体癌についても低下させる「可能性あり」という結果も出ている。
 コーヒーは糖尿病を抑制するという報告もある。肝癌や子宮体癌は、糖尿病になるとかかりやすくなる癌。つまり、コーヒーによって糖尿病リスクが下がり、肝癌や子宮体癌のリスクを下げているとも考えられる。

 (3)コーヒーがさまざまな病気の発症を抑えるメカニズムはまだよくわかっていない。ただ、ポリフェノールの一種、クロロゲン酸の抗酸化作用が関係していると考えられる。
 スターバックスなどのチェーン店だけでなく、コンビニも挽きたてのコーヒーが飲めるようになり、日本国内のコーヒー消費量は2015年、過去最高を記録した。
 だが、たくさん飲めばよい、ということではない。カフェインの大量摂取は危険。事実、2015年、エナジードリンクを頻繁に飲んでいた男性がカフェイン中毒で死亡した。
 体に悪影響を及ぼさないカフェインの1日最大摂取量について日本には基準がないが、海外では健康な大人であれば400mgとされ、コーヒーだと3杯程度。癌リスクを下げる効果と、カフェインの悪影響と、双方を考えると1日3杯までが適量といえそうだ。
 エナジードリンクのカフェイン含有量は1本当たり80~180mgなので、エナジードリンクを飲む日はコーヒーを控えめに。
 また熱い飲み物は食道癌のリスクを「ほぼ確実に上げる」とされているので、熱々を飲むのも避けたほうがいい。
  
□石臥薫子・柳堀栄子(編集部)「コーヒー善玉説に一日3杯までが○ ~食べていい・悪いの境界線~」(「AERA」2016年7月25日号)
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 【参考】
【食】トランス脂肪酸は10年前の10分の1 ~マーガリン~
【食】グルテンの中毒性、仮説を明確に否定 ~パンやうどん~
【食】野菜は水にさらし、炒めるより蒸す ~アクリルアミド~
【食】毎日ハム5枚は多すぎ、気にすべきは量 ~亜硝酸ナトリウム~

【食】トランス脂肪酸は10年前の10分の1 ~マーガリン~

2016年07月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)マーガリンの中に含まれているトランス脂肪酸が健康被害を引き起こすとの報道がよく見られる。
 トランス脂肪酸摂取量が総エネルギーの2.8%に達する人は1.3%の人に比べて冠動脈性心疾患のリスクが1.3倍増加したという米国の調査もあり、心筋梗塞の原因になると考えられている。ただ、トランス脂肪酸が直接の原因だとする根拠は不明だ。

 (2)米国ではトランス脂肪酸を多く含む部分水素添加油脂を食品にするには2018年から新たに米国食品医薬局(FDA)の承認が必要になる。
 1990年を過ぎたころから米国ではマーガリンの使用量が大きく減少している。代わりに安価なパーム油に置き換わっているようだが、パーム油の安全性も確立していない。

 (3)日本人のトランス脂肪酸平均摂取量は、総エネルギー比の0.3%。「マーガリン害悪説」が影響してか、摂取量は低下傾向にある。WHOが目標値としている1%より少ない。

 (4)マーガリン類を販売している各メーカーによれば、トランス脂肪酸の含有量は商品10g当たり0.06~0.3g。企業努力によって、10年前に比べて10分の1程度と大幅に減少している。
 トランス脂肪酸には、①工業経由のものと②反芻動物経由のものの2種類がある。 
 ①は、コーンや大豆、菜種などの植物油脂などに水素を添加して硬さを調整したも硬化油の製造時に生じるもの。マーガリンなどに含まれる。
 ②は、反芻動物の胃で微生物によりつくられたもの。バター、チーズにも含まれる。
 ①に心筋梗塞リスクがあるとされる。
 リスクがあるかもしれないので摂取は少なくしたほうがいいという現状だが、心筋梗塞のリスクを考えるとタバコは5倍もある。禁煙、受動喫煙防止の徹底が先だ。

 (5)トランス脂肪酸はビスケット類、マヨネーズ、クリーム類などにも含まれている。知らず知らず多量に摂取してしまう可能性もある。
 原材料名には、ファストスプレッド、ホイップクリーム、植物油脂などとあるが、何かわかりにくい。原料の植物油が大豆なのか、菜種なのか、油種名も分からず、表記には問題がある。
 日本でもマーガリンの材料にコーン油や大豆油、菜種油、パーム油が使われているが、そのリスクもある。
 最近では、対図油や菜種油の水素添加の過程でビタミンK1が変化し、ジヒドロ型ビタミンK1がつくられ、それが糖尿病や動脈硬化などの原因になることがわかってきた。実は悪いのは植物油のほうなのであった。

□石臥薫子・柳堀栄子(編集部)「トランス脂肪酸は10年前の10分の1 ~食べていい・悪いの境界線~」(「AERA」2016年7月25日号)
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 【参考】
【食】グルテンの中毒性、仮説を明確に否定 ~パンやうどん~
【食】野菜は水にさらし、炒めるより蒸す ~アクリルアミド~
【食】毎日ハム5枚は多すぎ、気にすべきは量 ~亜硝酸ナトリウム~