タカちゃんの絵日記

何気ない日々の感動を、スケッチと好きな音楽と、そして野鳥写真を。。。

「このみちや いくたりゆきし われはけふゆく」  山頭火

2013-06-17 | その他

先日、テレビ放映していた映画「あなたへ」を久々に観ました。

名優高倉健が6年間の長い沈黙を破ってスクリーンに登場、01年「ホタル」で

共演した田中裕子と、今回もしっとりと息の合った夫婦役を演じています。

~元刑務官であった倉島(健さん)は、愛する妻洋子(田中裕子)をガンで亡く

す。

その妻が残した手紙(遺言)をしばらく経ってから、人づてに手にするが、それ

には「遺骨は、故郷長崎の海に散骨して欲しい」、そしてもう一通は長崎の郵

便局で受け取って・・・・・というものであった。

 倉島は、生前妻と一緒に旅行する為に買ったキャンピングカーで、遺骨を抱

いて崎に向かい旅立つ。

旅の途中、様々な出会いがあり、様々な悩みや思いに触れて、まだ元気だっ

た頃の、妻との思い出が頭をよぎって行く。

旅の途中で出会った人々との「一期一会」は、今は亡き、妻洋子が巡り合わ

せてくれたのではなかったのか・・・・・

子供もなく、他に身寄りもない倉島にとって、一期一会の出会いや様々な人生

は一層心に沁みて来るのだった。

長崎の郵便局で受け取ったもう一通の手紙には、ただ「さよなら」と、記されて

いた。

人の一生は、いつも伝え切れない切ない思いを、つむぎつむぎながら旅をし

いる様なもの。

真面目で不器用な生き方しかできなかった夫に、妻洋子がこの手紙を託した

本当の願い(想い)は、旅の終わりに手にした「さよなら」の五文字の手紙に、

その全てが優しく込められていたのではないでしょうか。

ラストシーンに「このみちや いくたりゆきし われはけふゆく」と言う、放浪の

俳人種田山頭火の句が出てきます・・・よく人生は旅に例えられます。

ビートたけしが口にした「このみちを たどるほかない 草のふかくも」、山頭

の句集「草木塔」に載せられており、この機会に読んでみました。

           ~今日も良い一日を~