先日、テレビ放映していた映画「あなたへ」を久々に観ました。
名優高倉健が6年間の長い沈黙を破ってスクリーンに登場、01年「ホタル」で
共演した田中裕子と、今回もしっとりと息の合った夫婦役を演じています。
~元刑務官であった倉島(健さん)は、愛する妻洋子(田中裕子)をガンで亡く
します。
その妻が残した手紙(遺言)をしばらく経ってから、人づてに手にするが、それ
には「遺骨は、故郷長崎の海に散骨して欲しい」、そしてもう一通は長崎の郵
便局で受け取って・・・・・というものであった。
倉島は、生前妻と一緒に旅行する為に買ったキャンピングカーで、遺骨を抱
いて長崎に向かい旅立つ。
旅の途中、様々な出会いがあり、様々な悩みや思いに触れて、まだ元気だっ
た頃の、妻との思い出が頭をよぎって行く。
旅の途中で出会った人々との「一期一会」は、今は亡き、妻洋子が巡り合わ
せてくれたのではなかったのか・・・・・
子供もなく、他に身寄りもない倉島にとって、一期一会の出会いや様々な人生
は一層心に沁みて来るのだった。
長崎の郵便局で受け取ったもう一通の手紙には、ただ「さよなら」と、記されて
いた。
人の一生は、いつも伝え切れない切ない思いを、つむぎつむぎながら旅をして
いる様なもの。
真面目で不器用な生き方しかできなかった夫に、妻洋子がこの手紙を託した
本当の願い(想い)は、旅の終わりに手にした「さよなら」の五文字の手紙に、
その全てが優しく込められていたのではないでしょうか。
ラストシーンに「このみちや いくたりゆきし われはけふゆく」と言う、放浪の
俳人種田山頭火の句が出てきます・・・よく人生は旅に例えられます。
ビートたけしが口にした「このみちを たどるほかない 草のふかくも」、山頭
火の句集「草木塔」に載せられており、この機会に読んでみました。
~今日も良い一日を~