秋の浜辺に少女がひとり、行く夏を惜しむようにたたずみ、水平線の彼方
をじっと見つめている。
夏の浜辺の喧騒から取り残されたように、秋の浜辺はシーンと静まり返っ
ている。
ただ寄せては返す、さざ波の音だけが繰り返しくりかえし、心安らぐリズム
を奏で続けている。
それもほんのひと時・・・少し季節が移ろうと、怒涛の海へと姿を変え、人を
寄せ付けることもない。
やがて水温む頃、浜ぼうふうが浜の砂の中から芽吹いて来ると、またひね
もすのたりの海が還ってくる。
四季それぞれに姿を変えるこの浜辺、ときどき、この波音を聞きにくる人が
いる。
「浜辺の歌」
あした浜辺を さまよえば ゆうべ浜辺を もとおれば
昔のことぞ 忍ばるる 昔の人ぞ 忍ばるる
風の音よ 雲のさまよ 寄する波よ 返す波よ
寄する波も 貝の色も 月の色も 星の影も
~今日も、良い一日でありますように~