福岡市政の課題。いよいよ今回が最終回。最後はやはりこれしかない。高島市長が軽視する二元代表制。それが露になったのが、福岡空港出資問題。おそらく今年の重大ニュースのトップを飾るのではないだろうか。(ちなみに昨年1位は陥没事故)福岡空港新会社への出資を巡り、議会は出資すべきとの結論を三度出した。にもかかわらず、高島市長はそれを不服として、61年ぶりとなる「再議」を発動した。結果は、副市長や財界を使って議員へ圧力をかけた、高島市長が制した。
市長が議員を恫喝するなどあってはならないことだが、それ以上に問題なのは、高島市長が自ら申し立てた再議の審議中に、「出席説明の必要性がわからない」「法的根拠がない」などと言い、議会(議長)が要請した常任委員会への出席を拒んだことだ。地方自治法第121条には、「地方自治体の首長は、議会の審議に必要な説明のため、議長の要求に応じて出席しなければならない」との規定がある。それを反故にしたのだから、首長としての資格はない。委員会に出席しなかったのは、議員へ圧力をかけていたことがバレてしまうからだろう。そもそも、この問題は、昨年10月に出資しないことを国に伝えた後で、市議会に報告するという、議会軽視から始まっている。
地方自治体では、首長と議会議員を共に住民が直接選挙で選ぶという「二元代表制」をとっている。それゆえ「車の両輪」に例えられる。ひとつが外れれば車は動かない。福岡市は今、そのひとつが外れかかっている。福岡市議会は、今月1日、議会基本条例制定に向けて識者から意見を聞くため、参考人を招致した。出席された東大金井教授の話の中で繰り返し出てきた言葉は「独裁」だった。最近、首長が住民の過激な気持ちを煽って選挙で当選し、それを錦の御旗にして独走することが目立っている。教授はそのような首長をポピュリストと表現し、議会はポピュリストの暴走に歯止めをかけるための砦であり、重要な存在なのだと力説されていた。そして、首長が「独裁」であるかどうかが、議会基本条例を制定する目安になると。つまり、今の福岡市にとって、条例はなくてはならない代物なのである。
条例が制定されれば、高島市長がどんな言い訳をしようが、議会の求めを拒否することはできない。もちろん目的はそれだけではないが、福岡市民のためにも、一日も早く条例が制定されることを望まずにはいられない。今回、西日本新聞『福岡市政の課題~市長選まで1年』記事をもとにいろいろと課題を追ってみたが、改めて高島市政の危うさを認識する結果となった。高島市長は、来年11月の市長選に出馬するかどうかを明らかにしていない。だが、少なくともあと1年は高島市政が続く。福岡市議会には、高島市長の独走を止めるためにも、ぜひ議会改革を進めていってほしい。もっと市民に寄り添った市長が誕生することを願いつつ。
西日本新聞2017年12月2日朝刊より
西日本新聞のインタビューに答える高島市長
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