昨夜(20日)のNHKニュースが目を引いた。今月5日から7日にかけて九州西海上を北上した台風10号の勢力が強くならなかった要因に、本来、暖かい海水を届ける黒潮が関与していたという。先行した台風9号がかき混ぜたことで低くなった海水を200キロ以上も広げる役割を果たしていたというもの。九州大学応用力学研究所の広瀬直毅教授の解析よって判明した。なんと、一時的に暖流が寒流になっていたというのだ。食料品や飲料水を買い漁っていた頃、自然界では信じられないようなことが起きていたのだ。
先日(16日)、気象庁は台風10号の検証結果を発表したが、勢力が弱まった要因については、東シナ海から乾燥した空気が流入したためだとして、多くの専門家が指摘していた台風9号による海面水温の低下については限定的だとしていた。この時、専門家の見解とずれがあったので怪訝に思っていたが、昨夜のニュースで腑に落ちた。
海面水温のデータは、気象庁の台風予報に使われているが、それは数週間分のデータを平均する形となっているため、今回のように短期間で起きる海面水温の極端な変動は組み込むことができないという。つまり、正確なデータが得られない状況なのだ。それゆえ「限定的」と判断していたのではないか。台風のメカニズムに詳しい琉球大学の伊藤耕介准教授は「気象庁はシミュレーションなど活用し、より現実に近い海面水温のデータを把握する仕組み作りに取り組むべきだ」と注文をつけている。確かに、気象庁の情報は不確かなことが多い。
と言っていたら、台風12号が発生した。今後、南の海上を北上し、台風の北側にのびる秋雨前線の活動も活発になるため、24日頃には西日本や東日本に大雨をもたらすおそれがあるという。台風シーズン、まだまだ油断はできない。
海面水温 -今月2日、台風9号が通過した日- (気象庁資料より)
この時、九州西海上の海水温は30℃だった
海面水温 -今月5日、台風10号が通過した日-
海水温は27℃まで下がっていた
暖流黒潮が低い温度の海水を広めていた、、(20日、NHKニュースより)
《21日正午、台風12号発生》
台風の記事を書いている最中に台風発生、、
《関連記事》
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・台風12号ドルフィン発生 連休明けに西日本・東日本で大雨のおそれ(tenki.jp 2020.9.21)
《関連資料》
・気象庁。令和2年台風第10号における予報の検証(速報)(2020.9.16)
《参考資料》