新田次郎原作『剱岳 点の記』の映画化で、剱岳登山ブームを巻き起こした木村監督が、ふたたび立山連峰を撮る。題材は、立山連峰の小屋を舞台にした『春を背負って』。原作は、作家・笹本稜平の同名小説。亡き父から山小屋の経営を引き継いだ青年を主人公に、自分の家族や山小屋にやって来た同世代の女性、父の旧友らとの交流をつづるというもの。原作は奥秩父が舞台だが、撮影は立山連峰最高峰大汝山(標高3015m)周辺で行うらしい。(下写真)
ところで剱岳といえば、今年正月、小窓尾根で数名のパーティーが雪崩に遭い遭難したままだが、捜索は打ち切られた。現場は雪崩が起きやすい場所、雪解けまで捜索は困難と判断したようだ。昨年だったか、三ノ窓で中高年者のパーティーが遭難、その時は全員無事保護されたが、ここ数年、剱岳では中高年者による遭難事故が相次いでいる。一つに、メディアによる過剰宣伝があるのではないかと思う。2年前の立山山行の際、『剱岳 点の記』に関係したツアー登山者と遭遇した。装備(服装)も不十分で山の知識も全くなく、一歩間違えれば遭難するのではといった感じの方々だった。『春を背負って』の報道を目にして、ふとその時の光景が目に浮かんだ。映画は楽しみだが、登山者にどういう影響を与えることになるのか。少し心配だ。
大汝山山頂、正面右に剱岳(2010年7月撮影)
大汝休憩所、ここで撮影?(2010年7月撮影)
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「再び立山を撮る」=「剱岳 点の記」の木村監督-富山県(時事通信社 2013.1.18)
※2010年7月の山行記録を動画にしています。よろしければご覧ください。
・立山~剱~仙人 (立山の山々)
・立山の花 (登山道で出会った花たち)