藁の楯 (講談社文庫) | |
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講談社 |
♪「藁の楯」木内一裕著 講談社文庫
幼い少女の連続惨殺殺人犯清丸。二人目の犠牲者の祖父であり、日本でも指折りの資産家蜷川は、逃走中の清丸に10億円の懸賞金を掛けた。その条件は、清丸を殺害すること。
あらゆる日本人が10億円に目が眩み、清丸を狙い始めた。匿ってくれた知人に殺されそうになった清丸は、身の危険を感じ、福岡県警に自首する。警察庁と警視庁は威信をかけて清丸の東京への護送を、SPと捜査一課の刑事たちに命ずる
。
斯して、福岡から東京までの大護送作戦がスタートした。金に目が眩んだ一般市民はまだ大したことはない。しかし目が眩んだ訓練されて武装した警察官、機動隊員は始末が悪い。SPの銘苅や白岩は、捜査本部の刑事たちと疑心暗鬼の護送を開始する…。
犯人の清丸が、どうしようもなく嫌な奴でまさに人間の屑。その清丸に護送途中でこれでもかと民間人や警察官関係者が襲ってくる。「なんでこんな最低最悪で人間の屑を、自分の命をかけて守らなければならないのか」と自問自答しながら、護送任務にあたる銘苅たち。
殺人犯を殺したら10億円という設定に、最初のうちちょっと違和感があったが、作者の巧みな筆致によりスラスラ読めた。ミステリーなので、あまりストーリーには触れないけれど、犯人清丸の憎々しい態度、それに腹わたが煮えくり返りながらも誤送の任務を全うしようとするSPや刑事。
伏線にある銘苅の亡き妻への思いに、胸が詰まる。久しぶりに遅読オヤジが2日間で読んだ。
ただ、惜しむらくはラスト。なんで蜷川は心変わりしたの?あの一言で?犯人殺害に10億円というシナリオを書いた人物は何者?なんかよく分からなかった。その辺が読後に腹落ちしないのは残念。
作者の木内氏は、「ビーバップハイスクール」を描いた漫画家で、小説はこの作品が処女作とか。うーん、最初だから詰めの甘さは仕方がないか。
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小説が面白かったので、映画「藁の楯」も観た。主役の大沢たかおや松嶋奈々子が良かったね。
映画の話はまた別途!