夏はたいてい、居間の床のトルコ絨毯(谷中のザクロで購入)
の上に寝おちている。
上方の窓をあけ放し、扇風機は回しているが
エアコンは稼働せずに何とかなったのはこの2階建ち貸家の1階
だから、幾分涼しいためだ。
妻子4名の寝る、上の六畳敷きは、成長により
僕が加わると隙間にS字に眠らなければならない。
2階は、何か有効利用できないかと案じているほど
屋根の下で熱されているため、夜間は冷房を流している。
一方、自然で氣らくな階下では、隅なるカゴのうさぎの、
シュリシュリと草を食んでいる。
好みでないのか、しゅっとした稲科の普通の草を
頑として食べず、飢えないか困っていたが、
そのままおいたら、しぶしぶかじりはじめた。
面白いことに、逆にこれまで大好物だった
葛(マメ科)に口をつけなくなった。
葛は栄養価のたかい馳走だが、ウサギも齢を経て、
質素な夏草の佳さを知ったものか。
捨てうさぎをひろったため、年齢不詳だ。
たとえばコトリ飼いは、やさしい十姉妹からはじめ、
文鳥やインコ、カナリアと色彩や鳴き声や個性に
惹かれてカゴをふやしながらも、
さいごはふたたび、素朴で飽きないジュウシマツに戻るという。
日本人もふろしきからはじまったとして、
そこから革のカバンや帆布のトートバッグ、ビーズバッグ、
ブランド店の紙袋、透明なビニルバッグなどいろいろ
たのしんだ後に、やがてシンプル志向に還って
風呂敷のひろさと深さにほっとできるかもしれない。
でも、風呂敷もその氣になれば、いくらでも色や柄を
派手にできるし、それでも四角い定形が、暮らしと
調和させてしまうものだ。
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