甬 ヨウ
解字 上部に掛ける所のある筒型の器の象形。桶トウ(おけ)の原文。この器については柄のついた鐘という説もある。甬を音符に含む字は、中が空洞であることから「空洞」、さらに空洞部分を「つらぬく」イメージを持つ。
意味 垣を築き外から見えなくした道。「甬道ヨウドウ」
イメージ
筒型の器から「筒型・空洞」(甬・桶・俑・蛹)
空洞部分を「つらぬく」(通・樋・痛・勇・踊・涌・湧・誦)
音の変化 ヨウ:甬・俑・蛹・踊・涌 ショウ:誦 ツウ:通・痛 トウ:桶・樋 ユウ:勇・湧
筒型・空洞
桶 トウ・おけ 木部
解字 「木(き)+甬(筒型の)」の会意形声。木製の筒型のおけ。
意味 おけ(桶)。筒型になったまるい桶。「水桶みずおけ」「鮨桶すしおけ」「棺桶かんおけ」(棺に用いる桶)
※桶は貯蔵を目的としない手桶・風呂桶・すし桶などで蓋がない。樽は貯蔵を目的とする容器で蓋がある。
俑 ヨウ イ部
解字 「イ(人)+甬(空洞の)」の会意形声。人の形をした空洞の人形。
意味 ひとがた。死者を葬るとき副葬する土の人形。「兵馬俑ヘイバヨウ」「陶俑トウヨウ」「人物俑ジンブツヨウ」
蛹 ヨウ・さなぎ 虫部
解字 「虫(昆虫)+甬(筒型の)」の会意形声。外側が筒のような形の固くなった虫。
意味 さなぎ(蛹)。昆虫の幼虫が成虫になる前に、食物をとらずじっとして固くなっている段階。「蚕蛹サンヨウ」(かいこのさなぎ)「蛹化ヨウカ」(幼虫が蛹に変態すること)
つらぬく
通 ツウ・ツ・とおる・とおす・かよう 之部
解字 「之(ゆく)+甬(つらぬく)」の会意形声。ある場所をつらぬいて行くこと。
意味 (1)とおる(通る)。とおす(通す)。つきぬける。「通過ツウカ」「貫通カンツウ」「通夜ツヤ」 (2)かよう(通う)。行き来する。「通商ツウショウ」「交通コウツウ」 (3)皆に知らせる。「通知ツウチ」「内通ナイツウ」
樋 トウ・ひ・とい 木部
解字 「木(き)+通の旧字(とおる)」の会意形声。木や竹などでつくった水を通す水路。
意味 (1)ひ(樋)。かけひ。水を流し送る竹や木で作った管。「樋口ひぐち」(樋の水の出口) (2)とい(樋)。屋根の雨水を受けて流す半円筒の装置。「雨樋あまどい」
痛 ツウ・トウ・いたい・いたむ・いためる 疒部
解字 「疒(やまい)+甬(つらぬく)」の会意形声。体を突き抜けるような激しい痛み。
意味 (1)いたい(痛い)。いたむ(痛む)。いためる(痛める)。「激痛ゲキツウ」「疼痛トウツウ」(ずきずきとうずくような痛み) (2)いたく。とことんまで。「痛飲ツウイン」「痛切ツウセツ」
勇 ユウ・いさむ 力部
解字 旧字は 「力(ちから)+甬(とおる)」の会意形声。力が全身を通ってみなぎること。新字体は甬の部分が「マ+田」に変化する。
意味 (1)いさむ(勇む)。いさましい。「勇敢ユウカン」「勇気ユウキ」「武勇ブユウ」 (2)思い切りのよい。「勇断ユウダン」
踊 ヨウ・ユウ・おどる・おどり 足部
解字 「足(あし)+甬(=勇。いさむ)」の会意形声。勇んで足でとびあがること。原義は足で跳びあがること。転じて、おどる意となる。踴ヨウ・ユウと同字。
意味 (1)あがる。はねあがる。「踊貴ヨウキ」(物価がはねあがる)「踊躍ヨウヤク」(おどりあがる) (2)おどる(踊る)。おどり(踊)。「舞踊ブヨウ」
涌 ヨウ・ユウ・わく 氵部
解字 「氵(みず)+甬(つらぬく)」の会意形声。水が地面からつらぬいて出てくること。
意味 (1)わく(涌く)。わきでる。湧とも書く。「涌泉ヨウセン」「涌出ヨウシュツ・ユウシュツ」 (2)姓。「涌井わくい」
湧 ユウ・ヨウ・わく 氵部
解字 「氵(水)+勇(=甬。つらぬく)」の会意形声。水が下からつらぬいて出てくること。同じ原理の字に、涌ユウ・ヨウ(わく・水がわきでる)があるが、日本では湧がよく使われる。
意味 わく(湧く)。水がわきでる。「湧出ユウシュツ」「湧水ユウスイ」
誦 ショウ・となえる 言部
解字 「言(ことば)+甬(とおる)」の会意形声。言葉が口を通って出ること。声を出して節をつけて読む。
意味 (1)となえる(誦える)。よむ(誦む)。声に出して節をつけてよむ。「誦経ショウキョウ」(声を出して経文をよむ) (2)そらよみする。「暗誦アンショウ」(そらで覚えて口に出してとなえる)「誦詠ショウエイ」(節をつけて詩歌を暗誦する)
<紫色は常用漢字>
お知らせ
漢字をすべて音符順にならべた、『音符順 精選漢字学習字典 ネット連動版』石沢書店(2020年)発売中です。
解字 上部に掛ける所のある筒型の器の象形。桶トウ(おけ)の原文。この器については柄のついた鐘という説もある。甬を音符に含む字は、中が空洞であることから「空洞」、さらに空洞部分を「つらぬく」イメージを持つ。
意味 垣を築き外から見えなくした道。「甬道ヨウドウ」
イメージ
筒型の器から「筒型・空洞」(甬・桶・俑・蛹)
空洞部分を「つらぬく」(通・樋・痛・勇・踊・涌・湧・誦)
音の変化 ヨウ:甬・俑・蛹・踊・涌 ショウ:誦 ツウ:通・痛 トウ:桶・樋 ユウ:勇・湧
筒型・空洞
桶 トウ・おけ 木部
解字 「木(き)+甬(筒型の)」の会意形声。木製の筒型のおけ。
意味 おけ(桶)。筒型になったまるい桶。「水桶みずおけ」「鮨桶すしおけ」「棺桶かんおけ」(棺に用いる桶)
※桶は貯蔵を目的としない手桶・風呂桶・すし桶などで蓋がない。樽は貯蔵を目的とする容器で蓋がある。
俑 ヨウ イ部
解字 「イ(人)+甬(空洞の)」の会意形声。人の形をした空洞の人形。
意味 ひとがた。死者を葬るとき副葬する土の人形。「兵馬俑ヘイバヨウ」「陶俑トウヨウ」「人物俑ジンブツヨウ」
蛹 ヨウ・さなぎ 虫部
解字 「虫(昆虫)+甬(筒型の)」の会意形声。外側が筒のような形の固くなった虫。
意味 さなぎ(蛹)。昆虫の幼虫が成虫になる前に、食物をとらずじっとして固くなっている段階。「蚕蛹サンヨウ」(かいこのさなぎ)「蛹化ヨウカ」(幼虫が蛹に変態すること)
つらぬく
通 ツウ・ツ・とおる・とおす・かよう 之部
解字 「之(ゆく)+甬(つらぬく)」の会意形声。ある場所をつらぬいて行くこと。
意味 (1)とおる(通る)。とおす(通す)。つきぬける。「通過ツウカ」「貫通カンツウ」「通夜ツヤ」 (2)かよう(通う)。行き来する。「通商ツウショウ」「交通コウツウ」 (3)皆に知らせる。「通知ツウチ」「内通ナイツウ」
樋 トウ・ひ・とい 木部
解字 「木(き)+通の旧字(とおる)」の会意形声。木や竹などでつくった水を通す水路。
意味 (1)ひ(樋)。かけひ。水を流し送る竹や木で作った管。「樋口ひぐち」(樋の水の出口) (2)とい(樋)。屋根の雨水を受けて流す半円筒の装置。「雨樋あまどい」
痛 ツウ・トウ・いたい・いたむ・いためる 疒部
解字 「疒(やまい)+甬(つらぬく)」の会意形声。体を突き抜けるような激しい痛み。
意味 (1)いたい(痛い)。いたむ(痛む)。いためる(痛める)。「激痛ゲキツウ」「疼痛トウツウ」(ずきずきとうずくような痛み) (2)いたく。とことんまで。「痛飲ツウイン」「痛切ツウセツ」
勇 ユウ・いさむ 力部
解字 旧字は 「力(ちから)+甬(とおる)」の会意形声。力が全身を通ってみなぎること。新字体は甬の部分が「マ+田」に変化する。
意味 (1)いさむ(勇む)。いさましい。「勇敢ユウカン」「勇気ユウキ」「武勇ブユウ」 (2)思い切りのよい。「勇断ユウダン」
踊 ヨウ・ユウ・おどる・おどり 足部
解字 「足(あし)+甬(=勇。いさむ)」の会意形声。勇んで足でとびあがること。原義は足で跳びあがること。転じて、おどる意となる。踴ヨウ・ユウと同字。
意味 (1)あがる。はねあがる。「踊貴ヨウキ」(物価がはねあがる)「踊躍ヨウヤク」(おどりあがる) (2)おどる(踊る)。おどり(踊)。「舞踊ブヨウ」
涌 ヨウ・ユウ・わく 氵部
解字 「氵(みず)+甬(つらぬく)」の会意形声。水が地面からつらぬいて出てくること。
意味 (1)わく(涌く)。わきでる。湧とも書く。「涌泉ヨウセン」「涌出ヨウシュツ・ユウシュツ」 (2)姓。「涌井わくい」
湧 ユウ・ヨウ・わく 氵部
解字 「氵(水)+勇(=甬。つらぬく)」の会意形声。水が下からつらぬいて出てくること。同じ原理の字に、涌ユウ・ヨウ(わく・水がわきでる)があるが、日本では湧がよく使われる。
意味 わく(湧く)。水がわきでる。「湧出ユウシュツ」「湧水ユウスイ」
誦 ショウ・となえる 言部
解字 「言(ことば)+甬(とおる)」の会意形声。言葉が口を通って出ること。声を出して節をつけて読む。
意味 (1)となえる(誦える)。よむ(誦む)。声に出して節をつけてよむ。「誦経ショウキョウ」(声を出して経文をよむ) (2)そらよみする。「暗誦アンショウ」(そらで覚えて口に出してとなえる)「誦詠ショウエイ」(節をつけて詩歌を暗誦する)
<紫色は常用漢字>
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