鼠 ソ・ねずみ 鼠部
解字 甲骨文は口を開けた頭部に胴と足と尾をつけた形に3点がつく。3点は小(ちいさい)で口を開けた小さな齧歯類ゲッシルイ(物をかじるのに適した歯と顎をもつ動物で、ビーバー・リス・ネズミなど)で、齧歯類の小動物であるネズミの意[甲骨文字辞典を参照]。篆文は頭部が臼に変化し(齧かじるための門歯の奥にある臼歯の意か)、下部は巤リョウ(けもの)の下部とまったく同じ作りで両脚としっぽを表す鼠になった。
ネズミの歯。右が門歯、左が臼歯。
意味 ねずみ(鼠)。ネズミ科の哺乳動物。「鼠算ねずみザン」「鼠盗ソトウ」(鼠のようにこそこそと盗みをする泥棒)「鼠賊ソゾク」(=鼠盗)
イメージ
「ねずみ」(鼠・竄)
音の変化 ソ:鼠 ザン:竄
竄 ザン・サン・のがれる・かくれる 穴部
解字 「穴(あな)+鼠(ねずみ)」の会意。ねずみが穴に逃げかくれること。これを人に移して言う。転じて、もとの字を隠して別の字を書く意味にも使う。
意味 (1)のがれる(竄れる)。かくれる(竄れる)。にげる。「竄入ザンニュウ」(逃げ込む。誤って紛れ込む)「奔竄ホンザン」(走ってかくれる)「逃竄トウザン」(逃げかくれる)(2)あらためる。書き換える。「改竄カイザン」(文章の字句を書き直してしまうこと。悪用する場合に使う)
巤[鼡] リョウ <けもの>
巤[鼡] リョウ 巛部
解字 けもの(獣)をかたどった象形。たてがみがついた頭部に足と尾をつけた形。鼡は巤を簡略化した形で、新字体で用いられる。
意味 (1)たてがみ。 (2)「鼡」は日本で鼠(ねずみ)の異体字として使われることがある。
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「けもの」(猟・鬛)
けものはえものを「さがし求める(猟)」(蝋・臘)
音の変化 リョウ:猟・鬛 ロウ:蝋・臘
けもの
猟 リョウ・かる・かり 犭部
解字 旧字は獵で「犭(犬)+巤(けもの)」の会意形声。犬を使ってけものを狩りすること。新字体は巤⇒鼡に変化した猟になった。
意味 (1)かる(猟る)。かり(猟り)。鳥獣をとる。「狩猟シュリョウ」「猟師リョウシ」「猟犬リョウケン」 (2)あさる。さがし求める。「渉猟ショウリョウ」(広くわたり歩いてさがし求める。転じて、書物を読みあさる)「猟奇リョウキ」(異様なものを探し求める)
鬛 リョウ・たてがみ 髟部
解字 「髟(長いかみ)+巤から巛(かみのけ)を取った形」 の会意形声。髟ヒョウは「镸(長の変形)+彡(細かいものがたくさん並んでいるさま)」 で、長く豊かな髪の毛の意。これに巤から巛を取った形)がついた鬛は、けものの髪の毛で、たてがみをいう。また、ひげの意でも用いる。
意味 (1)たてがみ(鬣)。「馬鬛バリョウ」(馬のたてがみ)「鬣鬣リョウリョウ」(たてがみがなびくさま)「鬣尾リョウビ」(たてがみと尾) (2)ひげ。「鬚鬛シュリョウ」(鬚は、あごひげ、鬛はひげ)「長鬛チョウリョウ」(長いひげ)
さがし求める(猟)
蠟[蝋] ロウ 虫部
解字 「虫(はち)+巤(=猟。さがし求める)」の会意形声。ミツバチが材料をさがし求めて作った蜂の巣。巣をとかして作るのが蠟である。新字体に準じた蝋が一般に使われる。
意味 (1)ろう(蝋)。みつろう。ミツバチの巣を加熱・圧縮して採取したろう。ロウソクなどに利用する。「蜜蝋ミツロウ」(蜜蜂の巣から作った蝋)「蝋燭ロウソク」(より糸を芯とし、そのまわりに蝋をつけ円柱状にしたもの。灯火用とする)「木蝋モクロウ」(ハゼの実から採った蝋)「蝋人形ロウニンギョウ」「蝋石ロウセキ」(蝋のように光沢のある石)(2)その他。「蝋梅ロウバイ」(ロウバイ科ロウバイ属の落葉広葉低木。早春に葉が出る前に枝に黄色い花を咲かせる。「臘梅ロウバイ」とも書く)
臘 ロウ 月部にく
解字 「月(にく)+巤(=猟。かりをする)」の会意形声。狩りをした動物の肉。猟の獲物を先祖の百神にそなえること。
意味 (1)冬至後の第三の戌(いぬ)の日に猟の獲物を先祖百神にそなえ年をおくる祭。「臘祭ロウサイ」 (2)年の暮。陰暦12月の異称。「臘月ロウゲツ」(陰暦12月)「臘日ロウジツ」(大晦日)「旧臘キュウロウ」(昨年の12月) (3)[国]仏教寺院の僧侶の年功によって得られる身分。地位の称。また、宮女の高位のものをいう。「法臘ホウロウ」(僧侶の出家受戒後の年数)「夏臘ゲロウ」(=法臘。夏の修行である夏安居ゲアンゴを一回終えると法歳を一つ加えることから)(4)「臘梅ロウバイ」(ロウバイ科ロウバイ属の落葉広葉低木。蝋梅とも書く)
<紫色は常用漢字>
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解字 甲骨文は口を開けた頭部に胴と足と尾をつけた形に3点がつく。3点は小(ちいさい)で口を開けた小さな齧歯類ゲッシルイ(物をかじるのに適した歯と顎をもつ動物で、ビーバー・リス・ネズミなど)で、齧歯類の小動物であるネズミの意[甲骨文字辞典を参照]。篆文は頭部が臼に変化し(齧かじるための門歯の奥にある臼歯の意か)、下部は巤リョウ(けもの)の下部とまったく同じ作りで両脚としっぽを表す鼠になった。
ネズミの歯。右が門歯、左が臼歯。
意味 ねずみ(鼠)。ネズミ科の哺乳動物。「鼠算ねずみザン」「鼠盗ソトウ」(鼠のようにこそこそと盗みをする泥棒)「鼠賊ソゾク」(=鼠盗)
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「ねずみ」(鼠・竄)
音の変化 ソ:鼠 ザン:竄
竄 ザン・サン・のがれる・かくれる 穴部
解字 「穴(あな)+鼠(ねずみ)」の会意。ねずみが穴に逃げかくれること。これを人に移して言う。転じて、もとの字を隠して別の字を書く意味にも使う。
意味 (1)のがれる(竄れる)。かくれる(竄れる)。にげる。「竄入ザンニュウ」(逃げ込む。誤って紛れ込む)「奔竄ホンザン」(走ってかくれる)「逃竄トウザン」(逃げかくれる)(2)あらためる。書き換える。「改竄カイザン」(文章の字句を書き直してしまうこと。悪用する場合に使う)
巤[鼡] リョウ <けもの>
巤[鼡] リョウ 巛部
解字 けもの(獣)をかたどった象形。たてがみがついた頭部に足と尾をつけた形。鼡は巤を簡略化した形で、新字体で用いられる。
意味 (1)たてがみ。 (2)「鼡」は日本で鼠(ねずみ)の異体字として使われることがある。
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「けもの」(猟・鬛)
けものはえものを「さがし求める(猟)」(蝋・臘)
音の変化 リョウ:猟・鬛 ロウ:蝋・臘
けもの
猟 リョウ・かる・かり 犭部
解字 旧字は獵で「犭(犬)+巤(けもの)」の会意形声。犬を使ってけものを狩りすること。新字体は巤⇒鼡に変化した猟になった。
意味 (1)かる(猟る)。かり(猟り)。鳥獣をとる。「狩猟シュリョウ」「猟師リョウシ」「猟犬リョウケン」 (2)あさる。さがし求める。「渉猟ショウリョウ」(広くわたり歩いてさがし求める。転じて、書物を読みあさる)「猟奇リョウキ」(異様なものを探し求める)
鬛 リョウ・たてがみ 髟部
解字 「髟(長いかみ)+巤から巛(かみのけ)を取った形」 の会意形声。髟ヒョウは「镸(長の変形)+彡(細かいものがたくさん並んでいるさま)」 で、長く豊かな髪の毛の意。これに巤から巛を取った形)がついた鬛は、けものの髪の毛で、たてがみをいう。また、ひげの意でも用いる。
意味 (1)たてがみ(鬣)。「馬鬛バリョウ」(馬のたてがみ)「鬣鬣リョウリョウ」(たてがみがなびくさま)「鬣尾リョウビ」(たてがみと尾) (2)ひげ。「鬚鬛シュリョウ」(鬚は、あごひげ、鬛はひげ)「長鬛チョウリョウ」(長いひげ)
さがし求める(猟)
蠟[蝋] ロウ 虫部
解字 「虫(はち)+巤(=猟。さがし求める)」の会意形声。ミツバチが材料をさがし求めて作った蜂の巣。巣をとかして作るのが蠟である。新字体に準じた蝋が一般に使われる。
意味 (1)ろう(蝋)。みつろう。ミツバチの巣を加熱・圧縮して採取したろう。ロウソクなどに利用する。「蜜蝋ミツロウ」(蜜蜂の巣から作った蝋)「蝋燭ロウソク」(より糸を芯とし、そのまわりに蝋をつけ円柱状にしたもの。灯火用とする)「木蝋モクロウ」(ハゼの実から採った蝋)「蝋人形ロウニンギョウ」「蝋石ロウセキ」(蝋のように光沢のある石)(2)その他。「蝋梅ロウバイ」(ロウバイ科ロウバイ属の落葉広葉低木。早春に葉が出る前に枝に黄色い花を咲かせる。「臘梅ロウバイ」とも書く)
臘 ロウ 月部にく
解字 「月(にく)+巤(=猟。かりをする)」の会意形声。狩りをした動物の肉。猟の獲物を先祖の百神にそなえること。
意味 (1)冬至後の第三の戌(いぬ)の日に猟の獲物を先祖百神にそなえ年をおくる祭。「臘祭ロウサイ」 (2)年の暮。陰暦12月の異称。「臘月ロウゲツ」(陰暦12月)「臘日ロウジツ」(大晦日)「旧臘キュウロウ」(昨年の12月) (3)[国]仏教寺院の僧侶の年功によって得られる身分。地位の称。また、宮女の高位のものをいう。「法臘ホウロウ」(僧侶の出家受戒後の年数)「夏臘ゲロウ」(=法臘。夏の修行である夏安居ゲアンゴを一回終えると法歳を一つ加えることから)(4)「臘梅ロウバイ」(ロウバイ科ロウバイ属の落葉広葉低木。蝋梅とも書く)
<紫色は常用漢字>
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