鹿 ロク・しか・か・しし 鹿部
解字 鹿の姿をえがいた象形。甲骨文字は角を描き写実的だが、金文から変化しはじめ、現代字は角も消えて鹿のおもかげをとどめていない。しいて言えば、鹿の足が比となって残っているくらいか。
意味 (1)しか(鹿)。シカ科の哺乳動物の総称。「鹿(か)の子」「鹿角ロクカク」「神鹿シンロク」(神の使いとして神社で飼う鹿)「鹿鳴ロクメイ」(賓客を迎えてもてなす音楽や宴) (2)帝王の位のたとえ。「逐鹿チクロク」(帝位を争う) (3)しし(鹿)。鹿・猪などの総称。
イメージ
「しか」(鹿・麓・塵・麤)
「ロクの音」(轆・漉)
音の変化 ロク:鹿・麓・轆・漉 ジン:塵 ソ:麤
し か
麓 ロク・ふもと 木部
解字 「林(はやし)+鹿(しか)」の会意形声。鹿がすむ林。鹿は草原や森林にすみ、山の急な斜面にすまないことから、山のふもとの山林をいい、ふもとの意となる。
意味 (1)ふもと(麓)。山のすそ。「山麓サンロク」「岳麓ガクロク」 (2)はやし。
塵 ジン・ちり 土部
解字 正字は、「土(つちぼこり)+麤ソ(鹿三匹・しかの群れ)」の会意。鹿の群れが移動するとき立ちのぼる土ぼこり。現代字は鹿がひとつになった。
意味 (1)ちり(塵)。ほこり。ごみ。「塵芥ジンカイ」「砂塵サジン」「後塵コウジン」(人々や車馬の走ったあとに立つ塵)「後塵を拝す」(後れをとる) (2)わずらわしい。俗世間。「塵界ジンカイ」「俗塵ゾクジン」
麤[麁] ソ 鹿部
解字 「鹿+鹿+鹿」の会意。鹿の群れの意。鹿の群れがよく走るさまをいう。鹿は一団とならず、競って奔(はし)ることから、「あらい・あらあらしい」意がある。また同音の粗ソ(あらい・粗末)と通用する。麁ソ(ク+鹿)は異体字。
意味 (1)あらい(麤い・麁い)。あらあらしい。あらっぽい。「麤豪ソゴウ」(あらあらしく強い)「麤猛ソモウ」(あらあらしい) (2)あらい(=粗い)。粗末な。「麤茶ソチャ」(=粗茶)「麤飯ソハン」(=粗飯。粗末な飯)「麤略ソリャク」(=粗略。いいかげんなこと)「麤景ソケイ」(=粗景。粗末な景品) (3)古代の蝦夷(えみし)の三種の一つ(日本書紀斉明五年(659)七月条)「天子(唐の皇帝:高崇)は問いて曰く。蝦夷(えみし)は幾種(いくくさ)ぞや。遣唐使は謹んで答う。類(たぐひ)、三種(みくさ)有り。遠き者をば都加留(つがる)と名(なづ)け、次は麁蝦夷(あらえみし)、近き者をば熟蝦夷(にきえみし)と名(なづ)く。今しこれは(今居るこの者は)熟(にき)蝦夷なり。歳毎(としごと)に本国(日本)の朝(みかど)に入貢(貢ぎ物を持って来る)する)
ロクの音
轆 ロク 車部
解字 「車(くるま)+鹿(ロク)」の形声。ロクは日本語の発音からは想像しにくいが、車が回転する音の擬声語だという。「ギィ~」といったところか。そこから、車輪状のものがギィ~ギィ~と回転する意に使われる。
意味 (1)「轆轤ロクロ」に使われる字。轆轤とは、回転運動をする機械で、①木地細工で丸い挽き物を作る工具。②井戸などの滑車。③陶器を作る回転台。等をいう。ちなみに轤ロとは、「車+盧ロ(円い器)」で、回転する円い物の意。(2)車が走る響き。「轆轆ロクロク」
漉 ロク・こす・すく 氵部
解字 「氵(水)+鹿(ロク)」の形声。ロクは淥ロク(こす)に通じ、水をこしてきれいにすること。彔ロクは、こぼれおちるイメージがあり、これに氵(水)がついた淥ロクは水がぽたぽたと落ちる意から、布などで水をこす意味になる。日本では紙をすく意にも使う。
意味 (1)水などがゆっくりとしみ出す。したたる。「漉漉ロクロク」(汗などがしたたるさま) (2)こす(漉す)。水や酒をこす。液体を紙や布にとおして混じり物を取り除く。「漉酒ロクシュ」(酒を漉す)「漉し餡こしあん」(小豆を潰してから漉して豆の種皮を取り除いた餡子あんこ⇔粒餡つぶあん) (3)[国]すく(漉く)。紙をすく。「手漉和紙てすきわし」(手で漉いた和紙)
麗 レイ <うるわしい>
麗 レイ・うるわしい・うららか 鹿部
解字 甲骨文から篆文まで、立派な2本の角をもつ鹿の象形。立派な二本の角をもつ鹿から転じて、美しい・うるわしい意となる。また、角がならぶことから、ならぶ意となる。現代字は、「丽(立派な二本の鹿の角)+鹿(しか)」の麗となった。
意味 (1)うるわしい(麗しい)。美しい。「麗人レイジン」(みめ麗しい女のひと)「華麗カレイ」(華やかで美しい) (2)うららか(麗らか)。おだやか。「麗日レイジツ」 (3)ならぶ。つらなる。「麗沢レイタク」(連なる二つの沢)
イメージ
「うるわしい・美しい」(麗・驪)
立派な鹿の角が2本「ならぶ」(儷)
音の変化 レイ:麗・儷 リ:驪
うるわしい・美しい
驪 リ・レイ・くろうま 馬部
解字 「馬(うま)+麗(うつくしい)」の会意形声。うつくしい毛の馬。とくに黒毛の馬をいう。
意味 (1)くろうま(驪)。「驪馬リバ」(黒色の馬)「驪竜リリュウ」(黒い竜) (2)地名。「驪山リザン」(陝西省にある山。北麓に秦の始皇帝の墓がある。また山麓に温泉があり、ここに唐の玄宗が楊貴妃と遊んだ宮殿がある)「驪宮リキュウ」(驪山の麓に玄宗が建てた華清宮をいう) (3)人名。「驪姫リキ」(春秋時代、晋シンの献公の夫人)
ならぶ
儷 レイ・ならぶ イ部
解字 「イ(ひと)+麗(ならぶ)」の会意形声。人がならぶ形から「つれあい」の意。また、人にかぎらずならぶ意となる。
意味 (1)ならぶ(儷ぶ)。ふたつならぶ。「駢儷ベンレイ」(駢も儷も、ならぶ意)「四六駢儷体シロクベンレイタイ」(四字および六字の対句を基本とした文体。=駢儷体)(2)つれあい。夫婦。「儷匹レイヒツ」(夫婦)「伉儷コウレイ」(夫婦。つれあい。伉も儷も、つれあいの意)「栄諧伉儷エイカイコウレイ」(仲良くして栄える夫婦)
<紫色は常用漢字>
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解字 鹿の姿をえがいた象形。甲骨文字は角を描き写実的だが、金文から変化しはじめ、現代字は角も消えて鹿のおもかげをとどめていない。しいて言えば、鹿の足が比となって残っているくらいか。
意味 (1)しか(鹿)。シカ科の哺乳動物の総称。「鹿(か)の子」「鹿角ロクカク」「神鹿シンロク」(神の使いとして神社で飼う鹿)「鹿鳴ロクメイ」(賓客を迎えてもてなす音楽や宴) (2)帝王の位のたとえ。「逐鹿チクロク」(帝位を争う) (3)しし(鹿)。鹿・猪などの総称。
イメージ
「しか」(鹿・麓・塵・麤)
「ロクの音」(轆・漉)
音の変化 ロク:鹿・麓・轆・漉 ジン:塵 ソ:麤
し か
麓 ロク・ふもと 木部
解字 「林(はやし)+鹿(しか)」の会意形声。鹿がすむ林。鹿は草原や森林にすみ、山の急な斜面にすまないことから、山のふもとの山林をいい、ふもとの意となる。
意味 (1)ふもと(麓)。山のすそ。「山麓サンロク」「岳麓ガクロク」 (2)はやし。
塵 ジン・ちり 土部
解字 正字は、「土(つちぼこり)+麤ソ(鹿三匹・しかの群れ)」の会意。鹿の群れが移動するとき立ちのぼる土ぼこり。現代字は鹿がひとつになった。
意味 (1)ちり(塵)。ほこり。ごみ。「塵芥ジンカイ」「砂塵サジン」「後塵コウジン」(人々や車馬の走ったあとに立つ塵)「後塵を拝す」(後れをとる) (2)わずらわしい。俗世間。「塵界ジンカイ」「俗塵ゾクジン」
麤[麁] ソ 鹿部
解字 「鹿+鹿+鹿」の会意。鹿の群れの意。鹿の群れがよく走るさまをいう。鹿は一団とならず、競って奔(はし)ることから、「あらい・あらあらしい」意がある。また同音の粗ソ(あらい・粗末)と通用する。麁ソ(ク+鹿)は異体字。
意味 (1)あらい(麤い・麁い)。あらあらしい。あらっぽい。「麤豪ソゴウ」(あらあらしく強い)「麤猛ソモウ」(あらあらしい) (2)あらい(=粗い)。粗末な。「麤茶ソチャ」(=粗茶)「麤飯ソハン」(=粗飯。粗末な飯)「麤略ソリャク」(=粗略。いいかげんなこと)「麤景ソケイ」(=粗景。粗末な景品) (3)古代の蝦夷(えみし)の三種の一つ(日本書紀斉明五年(659)七月条)「天子(唐の皇帝:高崇)は問いて曰く。蝦夷(えみし)は幾種(いくくさ)ぞや。遣唐使は謹んで答う。類(たぐひ)、三種(みくさ)有り。遠き者をば都加留(つがる)と名(なづ)け、次は麁蝦夷(あらえみし)、近き者をば熟蝦夷(にきえみし)と名(なづ)く。今しこれは(今居るこの者は)熟(にき)蝦夷なり。歳毎(としごと)に本国(日本)の朝(みかど)に入貢(貢ぎ物を持って来る)する)
ロクの音
轆 ロク 車部
解字 「車(くるま)+鹿(ロク)」の形声。ロクは日本語の発音からは想像しにくいが、車が回転する音の擬声語だという。「ギィ~」といったところか。そこから、車輪状のものがギィ~ギィ~と回転する意に使われる。
意味 (1)「轆轤ロクロ」に使われる字。轆轤とは、回転運動をする機械で、①木地細工で丸い挽き物を作る工具。②井戸などの滑車。③陶器を作る回転台。等をいう。ちなみに轤ロとは、「車+盧ロ(円い器)」で、回転する円い物の意。(2)車が走る響き。「轆轆ロクロク」
漉 ロク・こす・すく 氵部
解字 「氵(水)+鹿(ロク)」の形声。ロクは淥ロク(こす)に通じ、水をこしてきれいにすること。彔ロクは、こぼれおちるイメージがあり、これに氵(水)がついた淥ロクは水がぽたぽたと落ちる意から、布などで水をこす意味になる。日本では紙をすく意にも使う。
意味 (1)水などがゆっくりとしみ出す。したたる。「漉漉ロクロク」(汗などがしたたるさま) (2)こす(漉す)。水や酒をこす。液体を紙や布にとおして混じり物を取り除く。「漉酒ロクシュ」(酒を漉す)「漉し餡こしあん」(小豆を潰してから漉して豆の種皮を取り除いた餡子あんこ⇔粒餡つぶあん) (3)[国]すく(漉く)。紙をすく。「手漉和紙てすきわし」(手で漉いた和紙)
麗 レイ <うるわしい>
麗 レイ・うるわしい・うららか 鹿部
解字 甲骨文から篆文まで、立派な2本の角をもつ鹿の象形。立派な二本の角をもつ鹿から転じて、美しい・うるわしい意となる。また、角がならぶことから、ならぶ意となる。現代字は、「丽(立派な二本の鹿の角)+鹿(しか)」の麗となった。
意味 (1)うるわしい(麗しい)。美しい。「麗人レイジン」(みめ麗しい女のひと)「華麗カレイ」(華やかで美しい) (2)うららか(麗らか)。おだやか。「麗日レイジツ」 (3)ならぶ。つらなる。「麗沢レイタク」(連なる二つの沢)
イメージ
「うるわしい・美しい」(麗・驪)
立派な鹿の角が2本「ならぶ」(儷)
音の変化 レイ:麗・儷 リ:驪
うるわしい・美しい
驪 リ・レイ・くろうま 馬部
解字 「馬(うま)+麗(うつくしい)」の会意形声。うつくしい毛の馬。とくに黒毛の馬をいう。
意味 (1)くろうま(驪)。「驪馬リバ」(黒色の馬)「驪竜リリュウ」(黒い竜) (2)地名。「驪山リザン」(陝西省にある山。北麓に秦の始皇帝の墓がある。また山麓に温泉があり、ここに唐の玄宗が楊貴妃と遊んだ宮殿がある)「驪宮リキュウ」(驪山の麓に玄宗が建てた華清宮をいう) (3)人名。「驪姫リキ」(春秋時代、晋シンの献公の夫人)
ならぶ
儷 レイ・ならぶ イ部
解字 「イ(ひと)+麗(ならぶ)」の会意形声。人がならぶ形から「つれあい」の意。また、人にかぎらずならぶ意となる。
意味 (1)ならぶ(儷ぶ)。ふたつならぶ。「駢儷ベンレイ」(駢も儷も、ならぶ意)「四六駢儷体シロクベンレイタイ」(四字および六字の対句を基本とした文体。=駢儷体)(2)つれあい。夫婦。「儷匹レイヒツ」(夫婦)「伉儷コウレイ」(夫婦。つれあい。伉も儷も、つれあいの意)「栄諧伉儷エイカイコウレイ」(仲良くして栄える夫婦)
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