工 コウ・ク・たくみ 工部
解字 工具の形の象形。甲骨文はノミの形とされる。上が柄、下が刃先となる。いずれも工作のことを表わす字である。工は部首になるとともに音符にもなる。工を音符に含む字は、「工具」のほか、「つらぬく」イメージを持つ。
意味 (1)物をつくる。たくむ。しごと。わざ。「工作コウサク」「細工サイク」 (2)物を作る人。たくみ(工)。「大工ダイク」「職工ショッコウ」
イメージ
「工具」(工・攻・訌・功)
ノミを使って穴をあけることから「つらぬく」(江・鴻・虹・貢・槓・熕・項・肛)
「形声字」(紅・汞)
音の変化 コウ:工・攻・訌・功・江・鴻・虹・貢・槓・熕・項・肛・紅・汞
工具
攻 コウ・せめる 攵部
解字 「攵ボク(打つ)+工(工具)」の会意形声。攵ボクは棒を手にもつ形で、打つ意。それに工をつけた攻は、工具を打ちつけて加工すること。加工する作業が原義。軍事に使われるとき、城壁などを打ち壊して攻める意となり、また広くものを学び究める意ともなる。
意味 (1)つくる。なおす。みがく。「攻玉コウギョク」(玉をみがく) (2)せめる(攻める)。「攻撃コウゲキ」「攻略コウリャク」(攻めて奪い取る)「難攻不落ナンコウフラク」 (3)おさめる。学ぶ。「専攻センコウ」(専門的に学ぶ)
訌 コウ 言部
解字 「言(ことば)+工(=攻。せめる)」の会意形声。言葉で攻めること。言い争いをする意で、内輪でもめることをいう。
意味 (1)仲間同士で言い争うこと。内輪もめ。「内訌ナイコウ」(内部の乱れ。うちわもめ。内乱)「訌争コウソウ」(内輪の争い。=内訌。内紛) (2)みだれる。内部からくずれる。
功 コウ・ク・いさお 力部
解字 「力(ちから)+工(工具を用いる)」の会意形声。力を込めて工具を用いて仕事し、その結果が認められること。人の働き全般に及ぼして用いる。
意味 てがら。いさお(功)。「功績コウセキ」「成功セイコウ」「功名コウミョウ」
つらぬく
江 コウ・え 氵部
解字 「氵(水)+工(つらぬく)」の会意形声。中国大陸の華中地域を東西につらぬいて流れる川である長江をいう。
意味 (1)中国の長江(揚子江)。 (2)大きな川。「江湖コウコ」(川と湖)(3)[国]え(江)。いりえ。海や湖などが陸地に入り込んでいる所。「入江いりえ」
鴻 コウ・おおとり 鳥部
解字 「鳥+江(おおきな川)」の会意形声。大きな川に棲む水鳥。大型の水鳥をいう。
意味 (1)おおとり(鴻)。大型の水鳥。「鴻毛コウモウ」(水鳥の羽毛。極めて軽いものの例え)「鴻鵠コウコク」(大型の鳥。鵠は白鳥) (2)大きい。広い。「鴻恩コウオン」(大きな恩)
虹 コウ・にじ 虫部
解字 甲骨文第1字は双頭の竜を描いた象形。虹を、空にかかる双頭の竜とみなす信仰があった。第2字は異体字で「虫(へび)+工(つらぬく)」の会意形声。大空をつらぬいてかかる大きなヘビの意。篆文に、この字が継承された。
意味 にじ(虹)。雨上がりに空にかかる七色の光の帯。(にじを、空をつらぬく虫[ヘビ]に見立てた)「虹橋コウキョウ」(虹の橋)「虹彩コウサイ」(虹のような彩りの意。目の瞳孔ドウコウ(黒目)のまわりにある輪状の膜をいい、人種によってさまざまな色を呈することからいう)「虹霓コウゲイ」(にじ。虹は雄のにじ、霓は雌のにじとされたことから)
貢 コウ・ク・みつぐ 貝部
解字 「貝(財貨)+工(つらぬく・直通する)」の会意形声。財貨を直接届けること。
意味 (1)みつぐ(貢ぐ)。みつぎもの。「貢物コウブツ」「貢献コウケン」 (2)人材を推薦する。「貢士コウシ」(人物を推薦する)
槓 コウ・てこ 木部
解字 「木(き)+貢(=工。つらぬく)」の会意形声。物の隙間に木の棒をつらぬき通して、物をうごかす棒。
意味 てこ(槓)。レバー(lever)。重いものの隙間に入れて、手でこじ上げて動かす棒。梃子・梃とも書く。「槓杆コウカン」(てこ。槓も杆も、てこの意)
熕 コウ・おおづつ 火部
解字 「火(ひ)+貢(=工。つらぬく)」の会意形声。火薬の爆発力で筒をつらぬいて大きな弾(砲弾)をとばす大砲をいう。
意味 おおづつ(熕)。大砲。「砲熕ホウコウ」(おおづつ)
項 コウ・うなじ 頁部
解字 「頁(あたま)+工(つらぬく)」の会意形声。頭の後ろを肩にかけて下へ貫くくびすじ。くびの後ろの部分をいう。また、分類の条目のひとつに当てて用いられる。
意味 (1)うなじ(項)。くびすじ。「項垂(うなだ)れる」「項縮コウシュク」(首がすくむ・恥じ入る) (2)分類の条目。事柄の一つ一つ。「項目コウモク」「事項ジコウ」「要項ヨウコウ」
肛 コウ 月部にく
解字 「月(からだ)+工(つらぬく)」の会意形声。体をつらぬいた出口。
意味 尻の穴。「肛門コウモン」
形声字
紅 コウ・ク・べに・くれない 糸部
解字 「糸(ぬの)+工(コウ)」の形声。コウは烘コウ(赤いかがり火)に通じ、絹布の色が赤いこと。
意味 (1)くれない(紅)。あかい。「紅顔コウガン」「紅炎コウエン」 (2)べに(紅)。化粧用のべに。「紅花べにばな」「口紅くちべに」 (3)女性に関する事を表わす言葉。「紅一点コウイッテン」
汞 コウ・みずがね 水部
解字 「水(みず)+工(コウ)」の形声。コウという名の水で水銀をいう。
意味 みずがね(汞)。水銀。金属元素の一種。元素記号Hg。主鉱物は辰砂シンシャで、これを焼いて得る。常温で液体である唯一の金属。有毒。金・銀・スズなど多くの金属とアマルガムをつくる。「昇汞ショウコウ」(塩素と水銀の化合物である塩化水銀のこと。=甘汞カンコウ)「雷汞ライコウ」(起爆薬の一。水銀を濃硝酸に溶かし,アルコールを加えて得る白色針状結晶)「汞和金コウワキン」(アマルガム。水銀と他の金属との合金の総称)
<漢字音符>
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解字 工具の形の象形。甲骨文はノミの形とされる。上が柄、下が刃先となる。いずれも工作のことを表わす字である。工は部首になるとともに音符にもなる。工を音符に含む字は、「工具」のほか、「つらぬく」イメージを持つ。
意味 (1)物をつくる。たくむ。しごと。わざ。「工作コウサク」「細工サイク」 (2)物を作る人。たくみ(工)。「大工ダイク」「職工ショッコウ」
イメージ
「工具」(工・攻・訌・功)
ノミを使って穴をあけることから「つらぬく」(江・鴻・虹・貢・槓・熕・項・肛)
「形声字」(紅・汞)
音の変化 コウ:工・攻・訌・功・江・鴻・虹・貢・槓・熕・項・肛・紅・汞
工具
攻 コウ・せめる 攵部
解字 「攵ボク(打つ)+工(工具)」の会意形声。攵ボクは棒を手にもつ形で、打つ意。それに工をつけた攻は、工具を打ちつけて加工すること。加工する作業が原義。軍事に使われるとき、城壁などを打ち壊して攻める意となり、また広くものを学び究める意ともなる。
意味 (1)つくる。なおす。みがく。「攻玉コウギョク」(玉をみがく) (2)せめる(攻める)。「攻撃コウゲキ」「攻略コウリャク」(攻めて奪い取る)「難攻不落ナンコウフラク」 (3)おさめる。学ぶ。「専攻センコウ」(専門的に学ぶ)
訌 コウ 言部
解字 「言(ことば)+工(=攻。せめる)」の会意形声。言葉で攻めること。言い争いをする意で、内輪でもめることをいう。
意味 (1)仲間同士で言い争うこと。内輪もめ。「内訌ナイコウ」(内部の乱れ。うちわもめ。内乱)「訌争コウソウ」(内輪の争い。=内訌。内紛) (2)みだれる。内部からくずれる。
功 コウ・ク・いさお 力部
解字 「力(ちから)+工(工具を用いる)」の会意形声。力を込めて工具を用いて仕事し、その結果が認められること。人の働き全般に及ぼして用いる。
意味 てがら。いさお(功)。「功績コウセキ」「成功セイコウ」「功名コウミョウ」
つらぬく
江 コウ・え 氵部
解字 「氵(水)+工(つらぬく)」の会意形声。中国大陸の華中地域を東西につらぬいて流れる川である長江をいう。
意味 (1)中国の長江(揚子江)。 (2)大きな川。「江湖コウコ」(川と湖)(3)[国]え(江)。いりえ。海や湖などが陸地に入り込んでいる所。「入江いりえ」
鴻 コウ・おおとり 鳥部
解字 「鳥+江(おおきな川)」の会意形声。大きな川に棲む水鳥。大型の水鳥をいう。
意味 (1)おおとり(鴻)。大型の水鳥。「鴻毛コウモウ」(水鳥の羽毛。極めて軽いものの例え)「鴻鵠コウコク」(大型の鳥。鵠は白鳥) (2)大きい。広い。「鴻恩コウオン」(大きな恩)
虹 コウ・にじ 虫部
解字 甲骨文第1字は双頭の竜を描いた象形。虹を、空にかかる双頭の竜とみなす信仰があった。第2字は異体字で「虫(へび)+工(つらぬく)」の会意形声。大空をつらぬいてかかる大きなヘビの意。篆文に、この字が継承された。
意味 にじ(虹)。雨上がりに空にかかる七色の光の帯。(にじを、空をつらぬく虫[ヘビ]に見立てた)「虹橋コウキョウ」(虹の橋)「虹彩コウサイ」(虹のような彩りの意。目の瞳孔ドウコウ(黒目)のまわりにある輪状の膜をいい、人種によってさまざまな色を呈することからいう)「虹霓コウゲイ」(にじ。虹は雄のにじ、霓は雌のにじとされたことから)
貢 コウ・ク・みつぐ 貝部
解字 「貝(財貨)+工(つらぬく・直通する)」の会意形声。財貨を直接届けること。
意味 (1)みつぐ(貢ぐ)。みつぎもの。「貢物コウブツ」「貢献コウケン」 (2)人材を推薦する。「貢士コウシ」(人物を推薦する)
槓 コウ・てこ 木部
解字 「木(き)+貢(=工。つらぬく)」の会意形声。物の隙間に木の棒をつらぬき通して、物をうごかす棒。
意味 てこ(槓)。レバー(lever)。重いものの隙間に入れて、手でこじ上げて動かす棒。梃子・梃とも書く。「槓杆コウカン」(てこ。槓も杆も、てこの意)
熕 コウ・おおづつ 火部
解字 「火(ひ)+貢(=工。つらぬく)」の会意形声。火薬の爆発力で筒をつらぬいて大きな弾(砲弾)をとばす大砲をいう。
意味 おおづつ(熕)。大砲。「砲熕ホウコウ」(おおづつ)
項 コウ・うなじ 頁部
解字 「頁(あたま)+工(つらぬく)」の会意形声。頭の後ろを肩にかけて下へ貫くくびすじ。くびの後ろの部分をいう。また、分類の条目のひとつに当てて用いられる。
意味 (1)うなじ(項)。くびすじ。「項垂(うなだ)れる」「項縮コウシュク」(首がすくむ・恥じ入る) (2)分類の条目。事柄の一つ一つ。「項目コウモク」「事項ジコウ」「要項ヨウコウ」
肛 コウ 月部にく
解字 「月(からだ)+工(つらぬく)」の会意形声。体をつらぬいた出口。
意味 尻の穴。「肛門コウモン」
形声字
紅 コウ・ク・べに・くれない 糸部
解字 「糸(ぬの)+工(コウ)」の形声。コウは烘コウ(赤いかがり火)に通じ、絹布の色が赤いこと。
意味 (1)くれない(紅)。あかい。「紅顔コウガン」「紅炎コウエン」 (2)べに(紅)。化粧用のべに。「紅花べにばな」「口紅くちべに」 (3)女性に関する事を表わす言葉。「紅一点コウイッテン」
汞 コウ・みずがね 水部
解字 「水(みず)+工(コウ)」の形声。コウという名の水で水銀をいう。
意味 みずがね(汞)。水銀。金属元素の一種。元素記号Hg。主鉱物は辰砂シンシャで、これを焼いて得る。常温で液体である唯一の金属。有毒。金・銀・スズなど多くの金属とアマルガムをつくる。「昇汞ショウコウ」(塩素と水銀の化合物である塩化水銀のこと。=甘汞カンコウ)「雷汞ライコウ」(起爆薬の一。水銀を濃硝酸に溶かし,アルコールを加えて得る白色針状結晶)「汞和金コウワキン」(アマルガム。水銀と他の金属との合金の総称)
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