金 キン・コン・かね・かな 金部
解字 甲骨文は銅の延べ棒二つを積んだ形の象形。中国では春秋時代まで金属器は銅(青銅)にほぼ限られていた。(青銅は、銅と錫(すず)の合金で、多くの銅鉱石は錫を同時に含むので自然に青銅が得られた。)青銅は、本来、淡い金色をしており、当時の最高級の金属原料であった。その後、戦国時代中期以降に鉄や金銀の加工技術が普及し、やがて「金」は、金属の総称、また黄金を指して使われるようになった[甲骨文字小字典]。
金文第一字は、「A(やね)+二印(銅の延べ棒)+王(王様)」の会意で、王が倉庫で保管している銅の延べ棒を表す。金文第二字は、A と王が合体して全の形になり、そこに二点が入りこんだ形。篆文は王の字形が変化し、二印が左右に分かれて入りこんだ。現代字は、金文第二字の二点が両側に分かれて入った形の「金」になった。なお、銅の字は金が黄金の意になってから作られた字で、「金+同」は、金と同じような色をしている銅の意。
意味 (1)きん(金)。こがね(金・黄金)。「黄金オウゴン」「金塊キンカイ」 (2)かね(金)。かな(金)。金属の総称。「金属キンゾク」 (3)ぜに。通貨。かね(金)。おかね。「金額キンガク」「金融キンユウ」 (4)りっぱな。美しい。「金言キンゲン」 (5)五行(木・火・土・金・水)。七曜(日・月・火・水・木・金・土)の一つ。「金星キンセイ」「金曜キンヨウ」
イメージ
「黄金・金属」(金・錦・銜)
「形声字」(欽)
音の変化 キン:金・錦・欽 カン:銜
黄金・金属
錦 キン・にしき 金部
解字 「帛ハク(きぬ織物)+金(金糸)」の会意形声。帛は「白+巾」で白い絹布のこと。錦は、金糸や色糸を織り込んだ美しい模様を織り出した絹織物。なお、重さが黄金と等しい値打ちがある色糸の絹織物との説もある。金は部首でかつ音符になっている。
意味 (1)にしき(錦)。金糸や銀糸・色糸などを織り込んだ美しい織物。「錦旗キンキ」(錦のみはた。①官軍の標章。②自分の行為・主張を権威づけること) (2)にしきのように美しい。「錦絵にしきえ」「錦秋キンシュウ」
銜 カン・ガン・くつわ・ふくむ 金部
解字 「行(ゆく)+金(金具)」の会意。馬の口を横に行き(ゆく・わたす)、くわえさせる金具。馬のくつわをいう。会意のため金は発音に関係しない。
馬銜バカン(ネットの乗馬商品より)
意味 (1)くつわ(銜)。くつばみ。轡くつわとも書く。馬の口にくわえさせて手綱をつける金具。「馬銜バカン」(馬のくつわ)「銜勒ガンロク」(銜も勒も、くつわの意)(2)(馬がくつわを)くわえる(銜える)。ふくむ(銜む)。「銜枚カンバイ」(馬の口に枚[薄い木片]をくわえさせ声を出させない)「銜哀致誠ガンアイチセイ」(哀を銜み誠を致す。人の死を弔う語)
形声字
欽 キン・つつしむ 欠部
解字 金文と篆文は「欠(口をあけて声を出す)+金(キン)」の形声。この字の成り立ちについて納得できる解字が見つからない。古典の意味は、「詩経・小雅」に「鐘(かね)を鼓(こ)すること欽欽キンキンたり」とあり鐘の音のなるさまを表現していることから、[漢字源流字典](中国)は、金を鐘の略体とみなし、鐘の音を聞いた人が声を出して感動し、天を敬いあおぐ意とする。さらに、敬う意から天皇の行為に対する敬称の意になった。
意味 (1)鐘の音の形容。「欽欽キンキン」(鐘の音の鳴るさま) (2)うやまう。「欽仰キンギョウ」(相手をうやまいあおぐ)「欽慕キンボ」(うやまいしたう) (3)天皇に関する事柄につけ敬意を表す。「欽定キンテイ」(天子が制定する)「欽命キンメイ」(天子の命令。また、その使者)「欽差キンサ」(天子や天皇の命により使者として差しつかわす)「欽差大臣」(皇帝の全権委任を得て対処する大臣。清朝の官職名) (4)つつしむ(欽む)。「欽明文思キンメイブンシ」(つつしみ深く、道理に明るく、文を理解し、思慮深い。古代の聖王・尭ギョウをほめたたえた語。[書経・尭典])
<紫色は常用漢字>
参考 金は部首「金きん」になる。字の偏(左)に付き、常用漢字で33字ある。
常用漢字
金キン・かね (部首) 33字
鋭エイ・するどい(金+音符「兌エイ」
鉛エン・なまり(金+音符「㕣エン」)
鍋カ・なべ(金+音符「咼カ」)
鑑カン・かんがみる(金+音符「監カン」)
鏡キョウ・かがみ(金+音符「竟キョウ」)
錦キン・にしき(「金+帛」、金は部首で音符)
銀ギン(金+音符「艮コン」)
鍵ケン・かぎ(金+音符「建ケン」)
錮コ(金+音符「固コ」)
鉱コウ(金+音符「広コウ」)
鋼コウ・はがね(金+音符「岡コウ」)
鎖サ・くさり(金+音符「𧴪サ」)
錯サク(金+音符「昔セキ」)
銃ジュウ(金+音符「充ジュウ」)
鐘ショウ・かね(金+音符「童ドウ」)
錠ジョウ(金+音符「定テイ」)
針シン・はり(金+音符「十ジュウ」)
銭[錢]セン・ぜに(金+音符「戔セン」)
鍛タン・きたえる(金+音符「段ダン」」
鋳チュウ・いる(金+音符「寿ジュ」)
釣チョウ・つる(金+音符「勺シャク」)
鎮チン・しずめる(金+音符「真シン」)
鉄テツ(「金+失シツ」の会意
銅ドウ(金+音符「同ドウ」)
鈍ドン・にぶい(金+音符「屯トン」)
鉢ハチ(「金+本ホン」の会意
釜フ・かま(金+音符「父フ」)
銘メイ・しるす(金+音符「名メイ」)
鈴レイ・すず(金+音符「令レイ」)
鎌レン・かま(金+音符「兼ケン」)
錬レン・ねる「金+音符「柬カン」
録ロク・しるす「金+音符「彔ロク」」
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
解字 甲骨文は銅の延べ棒二つを積んだ形の象形。中国では春秋時代まで金属器は銅(青銅)にほぼ限られていた。(青銅は、銅と錫(すず)の合金で、多くの銅鉱石は錫を同時に含むので自然に青銅が得られた。)青銅は、本来、淡い金色をしており、当時の最高級の金属原料であった。その後、戦国時代中期以降に鉄や金銀の加工技術が普及し、やがて「金」は、金属の総称、また黄金を指して使われるようになった[甲骨文字小字典]。
金文第一字は、「A(やね)+二印(銅の延べ棒)+王(王様)」の会意で、王が倉庫で保管している銅の延べ棒を表す。金文第二字は、A と王が合体して全の形になり、そこに二点が入りこんだ形。篆文は王の字形が変化し、二印が左右に分かれて入りこんだ。現代字は、金文第二字の二点が両側に分かれて入った形の「金」になった。なお、銅の字は金が黄金の意になってから作られた字で、「金+同」は、金と同じような色をしている銅の意。
意味 (1)きん(金)。こがね(金・黄金)。「黄金オウゴン」「金塊キンカイ」 (2)かね(金)。かな(金)。金属の総称。「金属キンゾク」 (3)ぜに。通貨。かね(金)。おかね。「金額キンガク」「金融キンユウ」 (4)りっぱな。美しい。「金言キンゲン」 (5)五行(木・火・土・金・水)。七曜(日・月・火・水・木・金・土)の一つ。「金星キンセイ」「金曜キンヨウ」
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「黄金・金属」(金・錦・銜)
「形声字」(欽)
音の変化 キン:金・錦・欽 カン:銜
黄金・金属
錦 キン・にしき 金部
解字 「帛ハク(きぬ織物)+金(金糸)」の会意形声。帛は「白+巾」で白い絹布のこと。錦は、金糸や色糸を織り込んだ美しい模様を織り出した絹織物。なお、重さが黄金と等しい値打ちがある色糸の絹織物との説もある。金は部首でかつ音符になっている。
意味 (1)にしき(錦)。金糸や銀糸・色糸などを織り込んだ美しい織物。「錦旗キンキ」(錦のみはた。①官軍の標章。②自分の行為・主張を権威づけること) (2)にしきのように美しい。「錦絵にしきえ」「錦秋キンシュウ」
銜 カン・ガン・くつわ・ふくむ 金部
解字 「行(ゆく)+金(金具)」の会意。馬の口を横に行き(ゆく・わたす)、くわえさせる金具。馬のくつわをいう。会意のため金は発音に関係しない。
馬銜バカン(ネットの乗馬商品より)
意味 (1)くつわ(銜)。くつばみ。轡くつわとも書く。馬の口にくわえさせて手綱をつける金具。「馬銜バカン」(馬のくつわ)「銜勒ガンロク」(銜も勒も、くつわの意)(2)(馬がくつわを)くわえる(銜える)。ふくむ(銜む)。「銜枚カンバイ」(馬の口に枚[薄い木片]をくわえさせ声を出させない)「銜哀致誠ガンアイチセイ」(哀を銜み誠を致す。人の死を弔う語)
形声字
欽 キン・つつしむ 欠部
解字 金文と篆文は「欠(口をあけて声を出す)+金(キン)」の形声。この字の成り立ちについて納得できる解字が見つからない。古典の意味は、「詩経・小雅」に「鐘(かね)を鼓(こ)すること欽欽キンキンたり」とあり鐘の音のなるさまを表現していることから、[漢字源流字典](中国)は、金を鐘の略体とみなし、鐘の音を聞いた人が声を出して感動し、天を敬いあおぐ意とする。さらに、敬う意から天皇の行為に対する敬称の意になった。
意味 (1)鐘の音の形容。「欽欽キンキン」(鐘の音の鳴るさま) (2)うやまう。「欽仰キンギョウ」(相手をうやまいあおぐ)「欽慕キンボ」(うやまいしたう) (3)天皇に関する事柄につけ敬意を表す。「欽定キンテイ」(天子が制定する)「欽命キンメイ」(天子の命令。また、その使者)「欽差キンサ」(天子や天皇の命により使者として差しつかわす)「欽差大臣」(皇帝の全権委任を得て対処する大臣。清朝の官職名) (4)つつしむ(欽む)。「欽明文思キンメイブンシ」(つつしみ深く、道理に明るく、文を理解し、思慮深い。古代の聖王・尭ギョウをほめたたえた語。[書経・尭典])
<紫色は常用漢字>
参考 金は部首「金きん」になる。字の偏(左)に付き、常用漢字で33字ある。
常用漢字
金キン・かね (部首) 33字
鋭エイ・するどい(金+音符「兌エイ」
鉛エン・なまり(金+音符「㕣エン」)
鍋カ・なべ(金+音符「咼カ」)
鑑カン・かんがみる(金+音符「監カン」)
鏡キョウ・かがみ(金+音符「竟キョウ」)
錦キン・にしき(「金+帛」、金は部首で音符)
銀ギン(金+音符「艮コン」)
鍵ケン・かぎ(金+音符「建ケン」)
錮コ(金+音符「固コ」)
鉱コウ(金+音符「広コウ」)
鋼コウ・はがね(金+音符「岡コウ」)
鎖サ・くさり(金+音符「𧴪サ」)
錯サク(金+音符「昔セキ」)
銃ジュウ(金+音符「充ジュウ」)
鐘ショウ・かね(金+音符「童ドウ」)
錠ジョウ(金+音符「定テイ」)
針シン・はり(金+音符「十ジュウ」)
銭[錢]セン・ぜに(金+音符「戔セン」)
鍛タン・きたえる(金+音符「段ダン」」
鋳チュウ・いる(金+音符「寿ジュ」)
釣チョウ・つる(金+音符「勺シャク」)
鎮チン・しずめる(金+音符「真シン」)
鉄テツ(「金+失シツ」の会意
銅ドウ(金+音符「同ドウ」)
鈍ドン・にぶい(金+音符「屯トン」)
鉢ハチ(「金+本ホン」の会意
釜フ・かま(金+音符「父フ」)
銘メイ・しるす(金+音符「名メイ」)
鈴レイ・すず(金+音符「令レイ」)
鎌レン・かま(金+音符「兼ケン」)
錬レン・ねる「金+音符「柬カン」
録ロク・しるす「金+音符「彔ロク」」
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