止 シ・とまる・とめる 止部
足裏をかたどると甲骨文字の止になる(ネットから・現在なし)。
解字 足うらの形の象形。甲骨文字第1字は足の指を三本に簡略化し、親指をまげて延長し足裏を区切る線とした形。甲骨文第2字は親指の線が途中でとまった。この形が金文にひきつがれ、さらに足うらを区切る左の曲線がみじかくなり右方向へ延長された。篆文まで同じ形がつづき、楷書は下の線が独立して伸びた止になった。なお、上の写真右図の親指が左に出た「あし」は歩ホ(あしが交互に出る)などで使われる。
意味は、あし・あしあとの意。また、あしあとが残ることから、とどまる、さらに転じて、とまる意を表わす。止は部首の止部となるが、音符としても用いられる。止は単独では、「とまる」意に用いられるが、足の形であるため音符では、歩く・走るなど「足の動作」を表わす意味でも用いられる。
意味 (1)あし。あしあと。(2)とまる(止まる)。とどまる(止まる)。「静止セイシ」「停止テイシ」(3)とめる(止める)。とどめる(止める)。「制止セイシ」「抑止ヨクシ」(4)やめる(止める)。やむ(止む)。禁ずる。「中止チュウシ」「禁止キンシ」(5)さす(止す)。途中でやめる。「読み止しの本」
参考 止は部首「止とまる」となる。止は足あとの形であり部首になるとき、ほとんどが足で移動する・すすむ意味を持つ。常用漢字で6字、約14,600字を収録する『新漢語林』では21字が止部に収録されている。止部の主な字は以下のとおり。
常用漢字 6字
止シ・とまる(部首)
歳サイ・とし(止を含む会意)
正セイ・ただしい(一+止の会意)
武ブ(止+戈の会意)
歩ホ・あるく(止+止の会意)
歴レキ・へる(止+音符「厤レキ」)
常用漢字以外の主な字
此シ・これ(止+ヒの会意)
歪ワイ・ゆがむ(正+不の会意)がある。
以上の字は、歪以外のすべてが音符となる。
イメージ
「あし・あしあと」(止・址・趾)
「とまる・とめる」(祉・肯・凪・渋)
「あしの動き」(奔・徙)
「つま先立ちする」(企)
音の変化 シ:止・址・趾・祉・徙 ジュウ:渋 ホン:奔 キ:企 コウ:肯 なぎ:凪
あし・あしあと
址 シ・あと 土部
解字 「土(つち)+止(あしあと)」の会意形声。土の上に残るあしあと。転じて、地上にのこる建物のあとなどをいう。
解字 あと(址)。残っているあと。「城址ジョウシ」(城あと=城跡ジョウセキ)「基址キシ」(基礎のあと。土台)
趾 シ・あし・あと 足部
解字 「足(あし)+止(あし)」の会意形声。止(あし)の意味を、さらに足をつけて表した字。また、あしあとの意ともなる。
意味 (1)あし(趾)。「趾踵シショウ」(足のかかと)「拇趾ボシ」(足のおやゆび=母趾)「外反母趾ガイハンボシ」(足のおやゆびの先が人差しゆび(第2趾)のほうに「くの字」に曲がり(外反)、つけ根の関節が痛む症状)「玉趾ギョクシ」(他人の足の尊敬語。おみあし) (2)あと(趾)。「遺趾イシ」(昔の建物などのあと) (3)地名。「交趾コウシ・コーチ」(ベトナム北部のトンキン・ハノイ地方の古名)
とまる・とめる
祉 シ・さいわい ネ部
解字 「ネ(=示。神の祭壇)+止(足をとめる)」 の会意形声。神が足を止めて福を与えること。
意味 さいわい(祉)。神より受ける幸せ。「祉福シフク」(神から受けた幸せ)「福祉フクシ」(幸福:公共サービスによる生活の安定)
肯 コウ・うなずく 月部にく
解字 「止(とまる)+月(きんにく)」 の会意。筋肉が骨について止まっているところ。この肉は腱肉ケンニクで、肯とは骨と腱肉とがつながっている部分をいう。物事の急所・要点の意。また、刃物でここを切ると簡単に肉を切り離せることから、うまくいく・よしの意となる。
「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」 より
意味 (1)骨に筋肉がついているところ(=肯綮)。物事の急所・要点。「肯綮コウケイ」(物事の急所・要所)(2)よしとする。うなずく(肯く)。うべなう(肯う)。がえんじる(肯じる)。がえんずる(肯ずる)。「肯定コウテイ」(3)あえて。すすんで~する。
凪 <国字> なぎ 几部
解字 「几(風の略体)+止(とまる)」 の会意。風が止まること。
意味 なぎ(凪)。なぐ(凪ぐ)。風がやんで波がおだやかになること。「夕凪ゆうなぎ」「朝凪あさなぎ」
渋[澁] ジュウ・しぶ・しぶい・しぶる 氵部
解字 旧字は、「氵(みず)+歮(とまる足三つ)」の会意。止まる意の足三つをおき、水がうまく流れずとどまる意。新字体は、旧字の澁⇒渋に変化した。
意味 (1)しぶる(渋る)。とどこおる。「渋滞ジュウタイ」(2)しぶい(渋い)。かきしぶ。「渋味しぶみ」「渋柿しぶがき」(3)苦々しいさま。「渋面ジュウメン」
あしの動き
奔 ホン・はしる 大部
解字 金文は、「大(走るひと)+止三つ(足の動作)」の会意。足早に走る意。止三つは篆文で屮が三つ、旧字で十が三つになり、新字体で卉に変化した奔になった。
意味 (1)はしる(奔る)。勢いよく駆ける。「奔走ホンソウ」「狂奔キョウホン」(2)勢いがよい。「奔流ホンリュウ」(3)思うままにする。「奔放ホンポウ」
徙 シ・うつる 彳部
解字 「彳(ゆく)+止(足の動作)+龰(=止。あしの動作)」の会意形声。止(足の動作)を二つ重ね、あるく意、それに彳(ゆく)をつけ、あるいてゆくこと。うつる意となる。
意味 (1)うつる(徙る)。すぎる。「徙移シイ」(うつる)「徙居シキョ」(居をうつす) (2)さまよう。「徙椅シイ」(さまよう)「徙靡シビ」(なびきゆれる)
参考 「竹+徙」の簁シは、竹でできた網目を通過させて、網目より小さいものをえり分ける道具で、篩シ(ふるい)と通用する。
つま先立する
企 キ・くわだてる 人部
解字 「人(ひと)+止(つま先立する)」の会意。甲骨文・金文は「横に向けたあし+人」の形。踵(かかと)をあげて立つ人を表しており、つま先立ちして遠くを望む形。そこから先を見る意となり企てる意となる。
意味 (1)くわだてる(企てる)。事をはじめる。「企画キカク」「企図キト」(2)たくらむ(企む)。悪事をくわだてる。「謀反ムホンを企(たくら)む」(3)あこがれる。待ち望む。「企及キキュウ」(あこがれて追いつく)
<紫色は常用漢字>
参考 歯シも止の音符字です。音符「歯シ」へ
歯[齒] シ・は 歯部
解字 甲骨文は口のなかに生えている前歯の象形。篆文以降に発音を表す「止シ」がついた形。新字体は、旧字の齒⇒歯に変化 した。
意味 (1)は(歯)。「門歯モンシ」(前歯)「歯牙シガ」(歯と牙きば)「歯牙にもかけない」(問題にしない。相手にしない)(2)年齢。よわい(歯)。とし。「年歯ネンシ」(よわい)
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足裏をかたどると甲骨文字の止になる(ネットから・現在なし)。
解字 足うらの形の象形。甲骨文字第1字は足の指を三本に簡略化し、親指をまげて延長し足裏を区切る線とした形。甲骨文第2字は親指の線が途中でとまった。この形が金文にひきつがれ、さらに足うらを区切る左の曲線がみじかくなり右方向へ延長された。篆文まで同じ形がつづき、楷書は下の線が独立して伸びた止になった。なお、上の写真右図の親指が左に出た「あし」は歩ホ(あしが交互に出る)などで使われる。
意味は、あし・あしあとの意。また、あしあとが残ることから、とどまる、さらに転じて、とまる意を表わす。止は部首の止部となるが、音符としても用いられる。止は単独では、「とまる」意に用いられるが、足の形であるため音符では、歩く・走るなど「足の動作」を表わす意味でも用いられる。
意味 (1)あし。あしあと。(2)とまる(止まる)。とどまる(止まる)。「静止セイシ」「停止テイシ」(3)とめる(止める)。とどめる(止める)。「制止セイシ」「抑止ヨクシ」(4)やめる(止める)。やむ(止む)。禁ずる。「中止チュウシ」「禁止キンシ」(5)さす(止す)。途中でやめる。「読み止しの本」
参考 止は部首「止とまる」となる。止は足あとの形であり部首になるとき、ほとんどが足で移動する・すすむ意味を持つ。常用漢字で6字、約14,600字を収録する『新漢語林』では21字が止部に収録されている。止部の主な字は以下のとおり。
常用漢字 6字
止シ・とまる(部首)
歳サイ・とし(止を含む会意)
正セイ・ただしい(一+止の会意)
武ブ(止+戈の会意)
歩ホ・あるく(止+止の会意)
歴レキ・へる(止+音符「厤レキ」)
常用漢字以外の主な字
此シ・これ(止+ヒの会意)
歪ワイ・ゆがむ(正+不の会意)がある。
以上の字は、歪以外のすべてが音符となる。
イメージ
「あし・あしあと」(止・址・趾)
「とまる・とめる」(祉・肯・凪・渋)
「あしの動き」(奔・徙)
「つま先立ちする」(企)
音の変化 シ:止・址・趾・祉・徙 ジュウ:渋 ホン:奔 キ:企 コウ:肯 なぎ:凪
あし・あしあと
址 シ・あと 土部
解字 「土(つち)+止(あしあと)」の会意形声。土の上に残るあしあと。転じて、地上にのこる建物のあとなどをいう。
解字 あと(址)。残っているあと。「城址ジョウシ」(城あと=城跡ジョウセキ)「基址キシ」(基礎のあと。土台)
趾 シ・あし・あと 足部
解字 「足(あし)+止(あし)」の会意形声。止(あし)の意味を、さらに足をつけて表した字。また、あしあとの意ともなる。
意味 (1)あし(趾)。「趾踵シショウ」(足のかかと)「拇趾ボシ」(足のおやゆび=母趾)「外反母趾ガイハンボシ」(足のおやゆびの先が人差しゆび(第2趾)のほうに「くの字」に曲がり(外反)、つけ根の関節が痛む症状)「玉趾ギョクシ」(他人の足の尊敬語。おみあし) (2)あと(趾)。「遺趾イシ」(昔の建物などのあと) (3)地名。「交趾コウシ・コーチ」(ベトナム北部のトンキン・ハノイ地方の古名)
とまる・とめる
祉 シ・さいわい ネ部
解字 「ネ(=示。神の祭壇)+止(足をとめる)」 の会意形声。神が足を止めて福を与えること。
意味 さいわい(祉)。神より受ける幸せ。「祉福シフク」(神から受けた幸せ)「福祉フクシ」(幸福:公共サービスによる生活の安定)
肯 コウ・うなずく 月部にく
解字 「止(とまる)+月(きんにく)」 の会意。筋肉が骨について止まっているところ。この肉は腱肉ケンニクで、肯とは骨と腱肉とがつながっている部分をいう。物事の急所・要点の意。また、刃物でここを切ると簡単に肉を切り離せることから、うまくいく・よしの意となる。
「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」 より
意味 (1)骨に筋肉がついているところ(=肯綮)。物事の急所・要点。「肯綮コウケイ」(物事の急所・要所)(2)よしとする。うなずく(肯く)。うべなう(肯う)。がえんじる(肯じる)。がえんずる(肯ずる)。「肯定コウテイ」(3)あえて。すすんで~する。
凪 <国字> なぎ 几部
解字 「几(風の略体)+止(とまる)」 の会意。風が止まること。
意味 なぎ(凪)。なぐ(凪ぐ)。風がやんで波がおだやかになること。「夕凪ゆうなぎ」「朝凪あさなぎ」
渋[澁] ジュウ・しぶ・しぶい・しぶる 氵部
解字 旧字は、「氵(みず)+歮(とまる足三つ)」の会意。止まる意の足三つをおき、水がうまく流れずとどまる意。新字体は、旧字の澁⇒渋に変化した。
意味 (1)しぶる(渋る)。とどこおる。「渋滞ジュウタイ」(2)しぶい(渋い)。かきしぶ。「渋味しぶみ」「渋柿しぶがき」(3)苦々しいさま。「渋面ジュウメン」
あしの動き
奔 ホン・はしる 大部
解字 金文は、「大(走るひと)+止三つ(足の動作)」の会意。足早に走る意。止三つは篆文で屮が三つ、旧字で十が三つになり、新字体で卉に変化した奔になった。
意味 (1)はしる(奔る)。勢いよく駆ける。「奔走ホンソウ」「狂奔キョウホン」(2)勢いがよい。「奔流ホンリュウ」(3)思うままにする。「奔放ホンポウ」
徙 シ・うつる 彳部
解字 「彳(ゆく)+止(足の動作)+龰(=止。あしの動作)」の会意形声。止(足の動作)を二つ重ね、あるく意、それに彳(ゆく)をつけ、あるいてゆくこと。うつる意となる。
意味 (1)うつる(徙る)。すぎる。「徙移シイ」(うつる)「徙居シキョ」(居をうつす) (2)さまよう。「徙椅シイ」(さまよう)「徙靡シビ」(なびきゆれる)
参考 「竹+徙」の簁シは、竹でできた網目を通過させて、網目より小さいものをえり分ける道具で、篩シ(ふるい)と通用する。
つま先立する
企 キ・くわだてる 人部
解字 「人(ひと)+止(つま先立する)」の会意。甲骨文・金文は「横に向けたあし+人」の形。踵(かかと)をあげて立つ人を表しており、つま先立ちして遠くを望む形。そこから先を見る意となり企てる意となる。
意味 (1)くわだてる(企てる)。事をはじめる。「企画キカク」「企図キト」(2)たくらむ(企む)。悪事をくわだてる。「謀反ムホンを企(たくら)む」(3)あこがれる。待ち望む。「企及キキュウ」(あこがれて追いつく)
<紫色は常用漢字>
参考 歯シも止の音符字です。音符「歯シ」へ
歯[齒] シ・は 歯部
解字 甲骨文は口のなかに生えている前歯の象形。篆文以降に発音を表す「止シ」がついた形。新字体は、旧字の齒⇒歯に変化 した。
意味 (1)は(歯)。「門歯モンシ」(前歯)「歯牙シガ」(歯と牙きば)「歯牙にもかけない」(問題にしない。相手にしない)(2)年齢。よわい(歯)。とし。「年歯ネンシ」(よわい)
バックナンバーの検索方法
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