禾カが部首になる常用漢字23字を追加しました。
禾 カ・ワ・いね・のぎ 禾部
解字 甲骨と金文は穀物が実った形で、穂が垂れている状態を表している。篆文以降は実の表現が消え現代字の禾の形になった。イネ科(イネ・ムギ・アワなど主要な穀物の意を表す。
意味 (1)穀物の総称。穀物。「禾穀カコク」(穀物の総称。また、イネ)「禾稼カカ」(穀物) (2)穀物の名。漢代以前は粟(あわ)を言い、のち稲(いね)をさす。「禾穎カエイ」(イネの穂)「禾菽カシュク」(稲とまめ)「禾黍カショ」(稲ときび)「禾苗カビョウ」(①稲の苗、②穀物の苗) 「禾本科カホンカ」(イネ科の旧称イネ・ムギ・アワなど主要な穀物を含む) (3)わら。穀類の茎。「禾稈カカン」(わら) (4)[国]のぎ(禾)。のげ。穀物の穂の先にある毛。
参考 禾は部首「禾のぎ・のぎへん」になる。主に漢字の左辺(偏)に付いて、穀物に関する意味を表す。常用漢字は23字、約14,300字を収録する『新漢語林』には、150字が収録されている。
部首「禾のぎ・のぎへん」の常用漢字 23字
移イ・うつる(禾+多の会意)
穏[穩]オン・おだやか(禾+音符「㥯オン」)
科カ(斗+音符「禾カ」)
稼カ・かせぐ(禾+音符「家カ」)
穫カク・とりいれる(禾+音符「蒦カク」)
稽ケイ・かんがえる(禾+「尤+旨」の会意)
稿コウ(禾+音符「高コウ」)
穀コク(禾+音符「㱿カク」)
私シ・わたし(禾+ムの会意)
秀シュウ・ひいでる(禾+乃の会意)
秋シュウ・あき(禾+火の会意)
種シュ・たね(禾+音符「重ジュウ」)
称[稱]ショウ・となえる(禾+音符「爯ショウ(尓)」)
穂[穗]スイ・ほ(禾+音符「惠ケイ」)
税ゼイ(禾+音符「兌エツ」)
積セキ・つむ(禾+音符「責セキ」)
租ソ・みつぎ(禾+音符「且ソ」)
稚チ・いとけない(禾+隹の会意)
秩チツ(禾+音符「失シツ」)
程テイ・ほど(禾+音符「呈テイ」)
稲トウ・いね(禾+音符「舀ヨウ」)
秘ヒ・ひめる(禾+音符「必ヒツ」)
秒ビョウ(禾+音符「少ショウ」)
イメージ
「イネ科の穀物」(禾・科・蝌・龢)
「同音代替(カ)」(和)
音の変化 カ:禾・科・蝌 ワ:和・龢
イネ科の穀物
科 カ・しな 斗部
解字 「斗(ます)+禾(イネ科の穀物)」の会意形声。収穫した穀物を枡ではかること。はかって収納する際に仕分ける意。転じて等級をつける意となる。禾カが発音を表すので音符、したがって部首は斗だが、多くの辞典は部首を禾にしている。(この場合、禾は音符で、かつ部首となる)
意味 (1)はかる(量る)。(2)しな(科)。等級。区分。分類や部門。「文科ブンカ」「理科リカ」 (3)官吏登用試験の科目。「科挙カキョ」(4)法律の条文。転じて、のり、おきて。「罪科ザイカ」「金科玉条キンカギョクヨウ」(科条(法律の条文)を金や玉のように大切にすること。この上なく大切にして従うきまり)「科料カリヨウ」(罪の代金)(5)[国]とが(科)。あやまち。欠点。
蝌 カ 虫部
解字 「虫(むし。両生類)+科(斗ではかる)」の会意形声。科は斗(ます・ひしゃく)で禾(穀物)をはかる意だが、ここでは斗(ひしゃく)の意か。ひしゃくのように頭が大きく尾が細長いオタマジャクシをいう。
意味 「蝌蚪カト」(蝌も蚪も、おたまじゃくしの意)に使われる字。蛙の幼生。「蝌蚪文字カトモジ」(中国古代の篆文以前の竹簡文字の一種。先が太く尻が細い、おたまじゃくしのような字形から)
龢 カ・ワ・ととのう 龠部
解字 「龠ヤク(ふえ)+禾(稔った穀物)」の会意形声。龠ヤクは吹き口が三つ並んだ縦笛。稔った穀物の収穫に際し、ふえを中心とする楽器を演奏して神に感謝すること。農耕儀礼にともなう演奏を示す字と考えられるが、①楽器の音がととのう・調和する、②音楽を聞いて心がやわらぐ意となる。和の古字とされ、現在、ととのう・なごむ意は和の字を使う。
意味 (1)龢(ととの)う。楽音がととのう。(2)やわらぐ。なごむ。
和 ワ・オ・カ・やわらぐ・やわらげる・なごむ ・なごやか 口部
解字 篆文は咊で「口(口にいれる。たべる)+禾(こくもつ・食料)」の会意形声。穀物(主食)をたべること。穀物が十分にあり食べてお腹がみたされると、人々は穏やかで争いがない意。隷書から口と禾が入れ替わった和になった。また、龢ワ・カ(楽音がととのう)に通じ、ととのう・調和する意となる。発音は呉音がワ、漢音がカ、唐音がオ。日本ではほとんどワの発音になっている。
意味 (1)やわらぐ(和らぐ)。おだやか。なごむ(和む)。なごやか(和やか)「和気ワキ」「温和オンワ」 (2)争いを治める。「和解ワカイ」「和平ワヘイ」 (3)ととのう。「和音ワオン」「調和チョウワ」 (4)あわさる。たす。「総和ソウワ」「混和コンワ」 (5)日本。日本の意味で使われていた倭ワを同音の和に変えた。「和文ワブン」「大和やまと」(日本および今の奈良県を表す旧国名) (6)「和尚ワジョウ・カショウ・オショウ」とは、修行を積んで一人前として認められた僧侶の意。奈良時代以前に創建の法隆寺や東大寺では呉音で「ワジョウ」と言う(鑑真和上ガンジンワジョウ)。平安時代以降の真言宗・天台宗の寺院では漢音で「カショウ」と言い、中国の北宋(日本の鎌倉時代初期)から伝来した禅宗寺院では唐音で「オショウ」と言う。
年 ネン <穀物のみのり>
年 ネン・とし 干部
解字 「禾(穂が実ってたれたイネ等)+人」の会意。人が実った穀物を頭上にのせている形(あるいは肩にかつぐ形)で、穀物を収穫して運んでいるさま。穀物がみのる意を表わす。また、穀物の収穫は甲骨文字の使用された殷では年に一度であるので一年の意となる。篆文で人の下部に一(一度の意か)をつけた形から現在の字が出来あがった。
意味 (1)みのる。穀物のみのり。「祈年祭キネンサイ」(五穀豊穣などを祈る祭り) (2)とし(年)。一年。「年俸ネンポウ」「新年シンネン」 (3)よわい。年齢。「老年ロウネン」「少年ショウネン」
穆 ボク <穀物の穂が実ってふくらんだ形>
穆 ボク・モク 禾部
解字 甲骨文は穀物を表す禾カの穂が実ってたれているさまの象形。金文で穂が実ってふくらんださまを強調するため彡が付いた。篆文で禾が分離し、ふくらんだ実のかたちが「白+小+彡」に変化した穆となった。内に実り外にその様子が表れるかたちで、内に充実したもののある美しさをいう。
意味 (1)まこと。てあつい。つつしむ。うやうやしい。うるわしい。「穆穆ボクボク」(うるわしく立派なさま)「穆然ボクゼン」(つつしんで深く思うさま) (2)やわらぐ。おだやか。「穆如清風」(やわら(穆)ぎて清風の如し。清風のようにおだやかだ)」 (3)人名。「穆王ボクオウ」(西周第5代の王)「穆天子伝ボクテンシデン」(穆王の旅の物語) (4)音訳字。「珠穆朗瑪峰チョモランマホウ」(エベレスト山。チョモランマはチベット語の音訳)
<紫色は常用漢字>
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禾 カ・ワ・いね・のぎ 禾部
解字 甲骨と金文は穀物が実った形で、穂が垂れている状態を表している。篆文以降は実の表現が消え現代字の禾の形になった。イネ科(イネ・ムギ・アワなど主要な穀物の意を表す。
意味 (1)穀物の総称。穀物。「禾穀カコク」(穀物の総称。また、イネ)「禾稼カカ」(穀物) (2)穀物の名。漢代以前は粟(あわ)を言い、のち稲(いね)をさす。「禾穎カエイ」(イネの穂)「禾菽カシュク」(稲とまめ)「禾黍カショ」(稲ときび)「禾苗カビョウ」(①稲の苗、②穀物の苗) 「禾本科カホンカ」(イネ科の旧称イネ・ムギ・アワなど主要な穀物を含む) (3)わら。穀類の茎。「禾稈カカン」(わら) (4)[国]のぎ(禾)。のげ。穀物の穂の先にある毛。
参考 禾は部首「禾のぎ・のぎへん」になる。主に漢字の左辺(偏)に付いて、穀物に関する意味を表す。常用漢字は23字、約14,300字を収録する『新漢語林』には、150字が収録されている。
部首「禾のぎ・のぎへん」の常用漢字 23字
移イ・うつる(禾+多の会意)
穏[穩]オン・おだやか(禾+音符「㥯オン」)
科カ(斗+音符「禾カ」)
稼カ・かせぐ(禾+音符「家カ」)
穫カク・とりいれる(禾+音符「蒦カク」)
稽ケイ・かんがえる(禾+「尤+旨」の会意)
稿コウ(禾+音符「高コウ」)
穀コク(禾+音符「㱿カク」)
私シ・わたし(禾+ムの会意)
秀シュウ・ひいでる(禾+乃の会意)
秋シュウ・あき(禾+火の会意)
種シュ・たね(禾+音符「重ジュウ」)
称[稱]ショウ・となえる(禾+音符「爯ショウ(尓)」)
穂[穗]スイ・ほ(禾+音符「惠ケイ」)
税ゼイ(禾+音符「兌エツ」)
積セキ・つむ(禾+音符「責セキ」)
租ソ・みつぎ(禾+音符「且ソ」)
稚チ・いとけない(禾+隹の会意)
秩チツ(禾+音符「失シツ」)
程テイ・ほど(禾+音符「呈テイ」)
稲トウ・いね(禾+音符「舀ヨウ」)
秘ヒ・ひめる(禾+音符「必ヒツ」)
秒ビョウ(禾+音符「少ショウ」)
イメージ
「イネ科の穀物」(禾・科・蝌・龢)
「同音代替(カ)」(和)
音の変化 カ:禾・科・蝌 ワ:和・龢
イネ科の穀物
科 カ・しな 斗部
解字 「斗(ます)+禾(イネ科の穀物)」の会意形声。収穫した穀物を枡ではかること。はかって収納する際に仕分ける意。転じて等級をつける意となる。禾カが発音を表すので音符、したがって部首は斗だが、多くの辞典は部首を禾にしている。(この場合、禾は音符で、かつ部首となる)
意味 (1)はかる(量る)。(2)しな(科)。等級。区分。分類や部門。「文科ブンカ」「理科リカ」 (3)官吏登用試験の科目。「科挙カキョ」(4)法律の条文。転じて、のり、おきて。「罪科ザイカ」「金科玉条キンカギョクヨウ」(科条(法律の条文)を金や玉のように大切にすること。この上なく大切にして従うきまり)「科料カリヨウ」(罪の代金)(5)[国]とが(科)。あやまち。欠点。
蝌 カ 虫部
解字 「虫(むし。両生類)+科(斗ではかる)」の会意形声。科は斗(ます・ひしゃく)で禾(穀物)をはかる意だが、ここでは斗(ひしゃく)の意か。ひしゃくのように頭が大きく尾が細長いオタマジャクシをいう。
意味 「蝌蚪カト」(蝌も蚪も、おたまじゃくしの意)に使われる字。蛙の幼生。「蝌蚪文字カトモジ」(中国古代の篆文以前の竹簡文字の一種。先が太く尻が細い、おたまじゃくしのような字形から)
龢 カ・ワ・ととのう 龠部
解字 「龠ヤク(ふえ)+禾(稔った穀物)」の会意形声。龠ヤクは吹き口が三つ並んだ縦笛。稔った穀物の収穫に際し、ふえを中心とする楽器を演奏して神に感謝すること。農耕儀礼にともなう演奏を示す字と考えられるが、①楽器の音がととのう・調和する、②音楽を聞いて心がやわらぐ意となる。和の古字とされ、現在、ととのう・なごむ意は和の字を使う。
意味 (1)龢(ととの)う。楽音がととのう。(2)やわらぐ。なごむ。
和 ワ・オ・カ・やわらぐ・やわらげる・なごむ ・なごやか 口部
解字 篆文は咊で「口(口にいれる。たべる)+禾(こくもつ・食料)」の会意形声。穀物(主食)をたべること。穀物が十分にあり食べてお腹がみたされると、人々は穏やかで争いがない意。隷書から口と禾が入れ替わった和になった。また、龢ワ・カ(楽音がととのう)に通じ、ととのう・調和する意となる。発音は呉音がワ、漢音がカ、唐音がオ。日本ではほとんどワの発音になっている。
意味 (1)やわらぐ(和らぐ)。おだやか。なごむ(和む)。なごやか(和やか)「和気ワキ」「温和オンワ」 (2)争いを治める。「和解ワカイ」「和平ワヘイ」 (3)ととのう。「和音ワオン」「調和チョウワ」 (4)あわさる。たす。「総和ソウワ」「混和コンワ」 (5)日本。日本の意味で使われていた倭ワを同音の和に変えた。「和文ワブン」「大和やまと」(日本および今の奈良県を表す旧国名) (6)「和尚ワジョウ・カショウ・オショウ」とは、修行を積んで一人前として認められた僧侶の意。奈良時代以前に創建の法隆寺や東大寺では呉音で「ワジョウ」と言う(鑑真和上ガンジンワジョウ)。平安時代以降の真言宗・天台宗の寺院では漢音で「カショウ」と言い、中国の北宋(日本の鎌倉時代初期)から伝来した禅宗寺院では唐音で「オショウ」と言う。
年 ネン <穀物のみのり>
年 ネン・とし 干部
解字 「禾(穂が実ってたれたイネ等)+人」の会意。人が実った穀物を頭上にのせている形(あるいは肩にかつぐ形)で、穀物を収穫して運んでいるさま。穀物がみのる意を表わす。また、穀物の収穫は甲骨文字の使用された殷では年に一度であるので一年の意となる。篆文で人の下部に一(一度の意か)をつけた形から現在の字が出来あがった。
意味 (1)みのる。穀物のみのり。「祈年祭キネンサイ」(五穀豊穣などを祈る祭り) (2)とし(年)。一年。「年俸ネンポウ」「新年シンネン」 (3)よわい。年齢。「老年ロウネン」「少年ショウネン」
穆 ボク <穀物の穂が実ってふくらんだ形>
穆 ボク・モク 禾部
解字 甲骨文は穀物を表す禾カの穂が実ってたれているさまの象形。金文で穂が実ってふくらんださまを強調するため彡が付いた。篆文で禾が分離し、ふくらんだ実のかたちが「白+小+彡」に変化した穆となった。内に実り外にその様子が表れるかたちで、内に充実したもののある美しさをいう。
意味 (1)まこと。てあつい。つつしむ。うやうやしい。うるわしい。「穆穆ボクボク」(うるわしく立派なさま)「穆然ボクゼン」(つつしんで深く思うさま) (2)やわらぐ。おだやか。「穆如清風」(やわら(穆)ぎて清風の如し。清風のようにおだやかだ)」 (3)人名。「穆王ボクオウ」(西周第5代の王)「穆天子伝ボクテンシデン」(穆王の旅の物語) (4)音訳字。「珠穆朗瑪峰チョモランマホウ」(エベレスト山。チョモランマはチベット語の音訳)
<紫色は常用漢字>
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