漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

解字「后コウ」<きみ・きさき> と 「垢コウ」「詬コウ」「逅コウ」

2023年03月22日 | 漢字の音符
  后の解字を改めました。
 コウ・ゴ・きさき・のち  口部 hòu

解字 金文は「人の変形+口(くち)」で、命令を発する人の形。王である「きみ」の意味を表す。また、代々の直系の王をいうことから、次の王を生む后(きさき)の意ともなり、現在ではこの意味が主流となった。字形は篆文を経て現代字は后となった。また、同音の後コウ・ゴ(のち)に通じ、のち・あとの意もある。
意味 (1)[往時の用法]きみ(后)。皇君。天子。「后王コウオウ」(天子。君主) (2)きさき(后)。天皇の妻。「皇后コウゴウ」「后妃コウヒ」(きさき。后も妃も、きさきの意)「皇太后コウタイゴウ」(先帝の皇后) (3)地の神。「后土コウド」 (4)のち(后)。あと。「午后ゴゴ

イメージ 
 「きみ・きさき」
(后)
 「形声字」(垢・詬・逅)
音の変化  コウ:后・垢・詬・逅

形声字
 コウ・ク・あか  土部 gòu
解字 「土(つち)+后(コウ)」の形声。コウは厚コウ(あつい)に通じ、厚くつもった土ぼこりの意。ひろく、あか・よごれを表す。なお、[説文解字]は「濁る也(なり)」とあり、発音字典の[正韻]は「塵滓ジンシ(ちりとかす)也(なり)」とする。また、よごれることから、体面をけがす意ともなる。
意味 (1)あか(垢)。土ぼこりや、ちりのたまったもの。よごれ。ほこり・ちり。「垢脂コウシ」(汗やあぶらのよごれ)「歯垢シコウ」(歯のあか) (2)けがれ。「垢離コリ」(水を浴びて心身のけがれをとり去る)「無垢ムク」(けがれのない。うぶな) (3)はじ。はずかしめ。「垢辱コウジョク」(はずかしめ)
 コウ  言部 gòu
解字 「言(ことば)+后(=垢。はずかしめ)」の形声。言葉ではずかしめること。
意味 はずかしめる(詬める)。ののしる。はじ(詬)。「詬罵コウバ」(ののしりはずかしめる)「詬恥コウチ」(詬も恥も、はじの意)
 コウ  辶部 hòu
解字 「辶(ゆく)+后(コウ)」の形声。コウは遘コウ(あう・であう)に通じ、あうこと。
意味 あう。めぐりあう。「邂逅カイコウ」(思いがけなく出会うこと)
<紫色は常用漢字>

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