改訂しました。
叔 シュク 又部
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上は叔シュク、下は杙くい
解字 金文は、杙くい(下図の杙から木を除いた形)+小(ちいさい)+又(手)」の形。杙くいには古書で樹の意味があり、その果実である梨や堅い核実(木の実)の意味があった。ここでは樹から落ちた小さな実を手で拾う形であるが、金文の意味は人名になっている。また、優秀な質の銅である「淑金シュクキン」の意味がある。篆文は[説文解字]が「拾う也(なり)。汝南ジョナン(河南省の県)では芋を拾い収めるを叔という」とし、拾う意味がある。また草冠をつけた菽シュクは「まめ」の意味であることから、小さな豆や小さな木の実が原義とされる。そこから叔は、小さい末の兄弟の意に仮借カシャ(当て字)された。叔を音符に含む字は、「小さい」「ひかえ目な」イメージを持つ。
意味 (1)おさない。わかい。(2)おとうと。兄弟の序列で上から3番目をいう。上から、伯ハク・仲チュウ・叔シュク・季キと数える。 (3)(父・母の弟と妹)おじ。おば。「叔父おじ」(父の弟)「叔母おば」(母の妹) (4)夫の弟。こじゅうと。 (5)ひろう(叔う)。「九月に苴ショ(麻の実)を叔(ひろ)う」(詩経・豳ヒン風)(6)よい。美しい。(=淑)「叔人シュクジン」「叔金シュクキン」
覚え方 うえ(上)しょう(小)また(又)で、シュク(叔)
イメージ
「兄弟の年少者(仮借)」(叔)
兄弟の年少者であることから「ひかえめな」(淑・寂)
本来の意味の「まめ・ちいさい」(菽・椒・戚・督)
「形声字」(蹙)
音の変化 シュク:叔・菽・淑・蹙 ジャク:寂 ショウ:椒 セキ:戚 トク:督
ひかえめ
淑 シュク・よい・しとやか 氵部
解字 「氵(水=清らか)+叔(ひかえめ)」の会意形声。清らかで控えめなこと。
意味 (1)しとやか(淑やか)。きよらか。品のある。「貞淑テイシュク」「淑女シュクジョ」 (2)よい(淑い)。よいとして慕う。「私淑シシュク」
俶 シュク・テキ イ部
解字 「イ(ひと)+叔(=淑。よい)」の会意形声。立派な人。
意味 (1)よい(俶い)。よくととのう。「俶装シュクソウ」(旅じたくを整える)
寂 ジャク・セキ・さびしい・さびれる・さび 宀部
解字 「宀(いえ)+叔(ひかえめ)」の会意形声。家の中が静かなこと。
意味 (1)さびしい(寂しい)。しずか。「静寂セイジャク」「寂寥セキリョウ」(ものさびしくひっそりと) (2)死ぬこと「入寂ニュウジャク」 (3)[国]さび(寂)。古びて枯れた趣。さびれる(寂れる)。さびしくなる。「町が寂れる」 (4)人名。「寂聴ジャクチョウ」(小説家。瀬戸内寂聴。寂聴は得度したときの法名。旧名は瀬戸内晴美)
まめ・ちいさい
菽 シュク・まめ 艸部
解字 「艸(草)+叔(まめ)」の会意形声。叔は、まめの意だが、兄弟の年少者などの意に仮借カシャされたので、艸をつけて本来の意を表した。
意味 まめ(菽)。豆。まめ類の総称。「菽豆シュクトウ」(まめ)「菽粟シュクゾク」(まめとあわ。人の常食として欠かせないもの)「菽麦シュクバク」(まめとむぎ)「菽麦を弁ぜず」(まめとむぎを区別できない愚か者)
椒 ショウ・はじかみ 木部
山椒の実
解字 「木(き)+叔(ちいさいまめ)」の会意形声。小さく丸い豆のような実をつけるサンショウの木。
意味 はじかみ(椒)。サンショウの古称。さんしょう(山椒)。とげのある落葉低木。実は小粒で丸く食用・香辛料とする。若葉は「木の芽」といい食用とする。「山椒魚サンショウウオ」(山間の渓流や湿地にすむ両生類。体に山椒に似た香りがある種がいる事によるという。古くは椒魚はじかみいおと呼ばれた)「胡椒コショウ」(インド原産の香辛料作物。また、その実を加工した香辛料)
戚 セキ 戈部
解字 「戊(まさかり)+叔の略体(小さい)」の会意形声。小型の儀式用のマサカリ。儀式でつながる親戚をいう。また、同音の惜セキ(いたむ・かなしむ)に通じ、いたむ・うれえる意もある。
意味 (1)おの。まさかり。儀式用のおの型をした木製の武器。 (2)儀式でつながる親戚。みうち。特に女の縁でつながる親戚。「姻戚インセキ」(結婚してできた親類)「外戚ガイセキ」(母方の親類) (3)いたむ(戚む)。うれえる(戚える)。「戚然セキゼン」(つらくかなしいさま)「哀戚アイセキ」(=哀惜)
督 トク・ひきいる 目部
解字 「目(目で視る)+叔(小さい⇒こまかい)」の会意形声。[説文解字注]は「察視(よくみる)也」とあり、よく見て相手のこまかい状況を察すること。その結果をふまえ指導すること。転じて、かしら・おさ、の意味になる。発音は、シュク⇒トクへ変化した。
意味 (1)見張る。ひきいる(督いる)。「監督カントク」 (2)うながす(督す)。せきたてる。「督促トクソク」 (3)かしら。おさ。「総督ソウトク」「提督テイトク」 (4)家をつぐ者。長男。「家督カトク」
覚え方 うえ(上)しょう(小)また(又)め(目)で督トク
形声字
蹙 シュク・せまる 足部
解字 「足(あし)+戚(シュク)」の形声。シュクは蹜シュク(こきざみに歩く・ちぢむ)に通じ、足で歩幅をせばめて歩き、相手との距離を縮めて、せまる意。また、歩幅を縮めて小股にあるく意となる。転じて、顔の皮を縮めてシワをよせる意でも使う。
意味 (1)せまる(蹙る)。近づく。「蹙迫シュクハク」(蹙も迫も、せまる意) (2)ちぢむ。ちぢめる。「蹙蹐シュクセキ」(足を縮めて小股にあるく。ぬきあしさしあし。用心して歩く) (3)しわをよせる。しかめる。「顰蹙ヒンシュク」(顔をしかめる。顰も蹙も、しかめる意)「蹙眉シュクビ」(まゆをひそめる)
<紫色は常用漢字>
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叔 シュク 又部
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上は叔シュク、下は杙くい
解字 金文は、杙くい(下図の杙から木を除いた形)+小(ちいさい)+又(手)」の形。杙くいには古書で樹の意味があり、その果実である梨や堅い核実(木の実)の意味があった。ここでは樹から落ちた小さな実を手で拾う形であるが、金文の意味は人名になっている。また、優秀な質の銅である「淑金シュクキン」の意味がある。篆文は[説文解字]が「拾う也(なり)。汝南ジョナン(河南省の県)では芋を拾い収めるを叔という」とし、拾う意味がある。また草冠をつけた菽シュクは「まめ」の意味であることから、小さな豆や小さな木の実が原義とされる。そこから叔は、小さい末の兄弟の意に仮借カシャ(当て字)された。叔を音符に含む字は、「小さい」「ひかえ目な」イメージを持つ。
意味 (1)おさない。わかい。(2)おとうと。兄弟の序列で上から3番目をいう。上から、伯ハク・仲チュウ・叔シュク・季キと数える。 (3)(父・母の弟と妹)おじ。おば。「叔父おじ」(父の弟)「叔母おば」(母の妹) (4)夫の弟。こじゅうと。 (5)ひろう(叔う)。「九月に苴ショ(麻の実)を叔(ひろ)う」(詩経・豳ヒン風)(6)よい。美しい。(=淑)「叔人シュクジン」「叔金シュクキン」
覚え方 うえ(上)しょう(小)また(又)で、シュク(叔)
イメージ
「兄弟の年少者(仮借)」(叔)
兄弟の年少者であることから「ひかえめな」(淑・寂)
本来の意味の「まめ・ちいさい」(菽・椒・戚・督)
「形声字」(蹙)
音の変化 シュク:叔・菽・淑・蹙 ジャク:寂 ショウ:椒 セキ:戚 トク:督
ひかえめ
淑 シュク・よい・しとやか 氵部
解字 「氵(水=清らか)+叔(ひかえめ)」の会意形声。清らかで控えめなこと。
意味 (1)しとやか(淑やか)。きよらか。品のある。「貞淑テイシュク」「淑女シュクジョ」 (2)よい(淑い)。よいとして慕う。「私淑シシュク」
俶 シュク・テキ イ部
解字 「イ(ひと)+叔(=淑。よい)」の会意形声。立派な人。
意味 (1)よい(俶い)。よくととのう。「俶装シュクソウ」(旅じたくを整える)
寂 ジャク・セキ・さびしい・さびれる・さび 宀部
解字 「宀(いえ)+叔(ひかえめ)」の会意形声。家の中が静かなこと。
意味 (1)さびしい(寂しい)。しずか。「静寂セイジャク」「寂寥セキリョウ」(ものさびしくひっそりと) (2)死ぬこと「入寂ニュウジャク」 (3)[国]さび(寂)。古びて枯れた趣。さびれる(寂れる)。さびしくなる。「町が寂れる」 (4)人名。「寂聴ジャクチョウ」(小説家。瀬戸内寂聴。寂聴は得度したときの法名。旧名は瀬戸内晴美)
まめ・ちいさい
菽 シュク・まめ 艸部
解字 「艸(草)+叔(まめ)」の会意形声。叔は、まめの意だが、兄弟の年少者などの意に仮借カシャされたので、艸をつけて本来の意を表した。
意味 まめ(菽)。豆。まめ類の総称。「菽豆シュクトウ」(まめ)「菽粟シュクゾク」(まめとあわ。人の常食として欠かせないもの)「菽麦シュクバク」(まめとむぎ)「菽麦を弁ぜず」(まめとむぎを区別できない愚か者)
椒 ショウ・はじかみ 木部
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解字 「木(き)+叔(ちいさいまめ)」の会意形声。小さく丸い豆のような実をつけるサンショウの木。
意味 はじかみ(椒)。サンショウの古称。さんしょう(山椒)。とげのある落葉低木。実は小粒で丸く食用・香辛料とする。若葉は「木の芽」といい食用とする。「山椒魚サンショウウオ」(山間の渓流や湿地にすむ両生類。体に山椒に似た香りがある種がいる事によるという。古くは椒魚はじかみいおと呼ばれた)「胡椒コショウ」(インド原産の香辛料作物。また、その実を加工した香辛料)
戚 セキ 戈部
解字 「戊(まさかり)+叔の略体(小さい)」の会意形声。小型の儀式用のマサカリ。儀式でつながる親戚をいう。また、同音の惜セキ(いたむ・かなしむ)に通じ、いたむ・うれえる意もある。
意味 (1)おの。まさかり。儀式用のおの型をした木製の武器。 (2)儀式でつながる親戚。みうち。特に女の縁でつながる親戚。「姻戚インセキ」(結婚してできた親類)「外戚ガイセキ」(母方の親類) (3)いたむ(戚む)。うれえる(戚える)。「戚然セキゼン」(つらくかなしいさま)「哀戚アイセキ」(=哀惜)
督 トク・ひきいる 目部
解字 「目(目で視る)+叔(小さい⇒こまかい)」の会意形声。[説文解字注]は「察視(よくみる)也」とあり、よく見て相手のこまかい状況を察すること。その結果をふまえ指導すること。転じて、かしら・おさ、の意味になる。発音は、シュク⇒トクへ変化した。
意味 (1)見張る。ひきいる(督いる)。「監督カントク」 (2)うながす(督す)。せきたてる。「督促トクソク」 (3)かしら。おさ。「総督ソウトク」「提督テイトク」 (4)家をつぐ者。長男。「家督カトク」
覚え方 うえ(上)しょう(小)また(又)め(目)で督トク
形声字
蹙 シュク・せまる 足部
解字 「足(あし)+戚(シュク)」の形声。シュクは蹜シュク(こきざみに歩く・ちぢむ)に通じ、足で歩幅をせばめて歩き、相手との距離を縮めて、せまる意。また、歩幅を縮めて小股にあるく意となる。転じて、顔の皮を縮めてシワをよせる意でも使う。
意味 (1)せまる(蹙る)。近づく。「蹙迫シュクハク」(蹙も迫も、せまる意) (2)ちぢむ。ちぢめる。「蹙蹐シュクセキ」(足を縮めて小股にあるく。ぬきあしさしあし。用心して歩く) (3)しわをよせる。しかめる。「顰蹙ヒンシュク」(顔をしかめる。顰も蹙も、しかめる意)「蹙眉シュクビ」(まゆをひそめる)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。