朝日新聞 2015年1月31日10時56分
全国の大学が研究用として収集・保管してきたアイヌ民族の遺骨を集めて慰霊施設を作るとする政府の方針について、アイヌ民族と支援者が30日、「遺骨は先祖の集落(コタン)に返すべきで、集約はアイヌ民族の人権を侵害している」として、日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。
申し立てをしたのは、浦幌アイヌ協会会長の差間(さしま)正樹さん(64)らアイヌ民族13人と支援者の計21人。記者会見した差間さんは「大学にあった(先祖の)骨を見た時、すぐに返してあげたい、何とか地元で安らかに眠って欲しいと思った」と先祖への思いを語った。
遺骨は戦前から戦後にかけて人類学者が研究用に収集したもので、今も北大や東大など12大学に約1600体が保管されている。政府の計画では、アイヌ民族博物館などの施設がある北海道白老(しらおい)町にアイヌ文化の復興拠点として「民族共生の象徴となる空間(象徴空間)」を作り、その一角に各大学の遺骨を集めて尊厳のある慰霊をするという。
これに対し、アイヌ民族にはコタンで先祖を慰霊する風習があるといい、差間さんらは「多くの遺骨は収集された地域が分かっており、各コタンに返すべきだ」と訴えている。政府は遺骨の継承者であるかを証明できれば返還に応じる方針だが、そもそも身元が判明しているのは23体しかない。
差間さんは「先祖の遺骨を勝手に持って行ったうえ、返すという時に『本当に先祖か証明しろ』というのは大きな民族差別ととらえている」とも話した。
一方、慰霊施設への集約を歓迎するアイヌ民族もいる。阿部一司・北海道アイヌ協会副理事長は「大学がどんな状況で保管しているか分からない。北大だって1984年に納骨堂ができる以前は実験室の片隅に置いていた。大学にあるよりは、慰霊施設にある方がいい。コタンが残っている所は少なく、コタンに返すのは難しい」と話す。
内閣官房アイヌ総合政策室は「コメントは差し控えたいが、地域返還については検討中であり、関係者の意見をよく聞きたい」としている。
http://www.asahi.com/articles/ASH1Z4R1VH1ZIIPE00Z.html
全国の大学が研究用として収集・保管してきたアイヌ民族の遺骨を集めて慰霊施設を作るとする政府の方針について、アイヌ民族と支援者が30日、「遺骨は先祖の集落(コタン)に返すべきで、集約はアイヌ民族の人権を侵害している」として、日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。
申し立てをしたのは、浦幌アイヌ協会会長の差間(さしま)正樹さん(64)らアイヌ民族13人と支援者の計21人。記者会見した差間さんは「大学にあった(先祖の)骨を見た時、すぐに返してあげたい、何とか地元で安らかに眠って欲しいと思った」と先祖への思いを語った。
遺骨は戦前から戦後にかけて人類学者が研究用に収集したもので、今も北大や東大など12大学に約1600体が保管されている。政府の計画では、アイヌ民族博物館などの施設がある北海道白老(しらおい)町にアイヌ文化の復興拠点として「民族共生の象徴となる空間(象徴空間)」を作り、その一角に各大学の遺骨を集めて尊厳のある慰霊をするという。
これに対し、アイヌ民族にはコタンで先祖を慰霊する風習があるといい、差間さんらは「多くの遺骨は収集された地域が分かっており、各コタンに返すべきだ」と訴えている。政府は遺骨の継承者であるかを証明できれば返還に応じる方針だが、そもそも身元が判明しているのは23体しかない。
差間さんは「先祖の遺骨を勝手に持って行ったうえ、返すという時に『本当に先祖か証明しろ』というのは大きな民族差別ととらえている」とも話した。
一方、慰霊施設への集約を歓迎するアイヌ民族もいる。阿部一司・北海道アイヌ協会副理事長は「大学がどんな状況で保管しているか分からない。北大だって1984年に納骨堂ができる以前は実験室の片隅に置いていた。大学にあるよりは、慰霊施設にある方がいい。コタンが残っている所は少なく、コタンに返すのは難しい」と話す。
内閣官房アイヌ総合政策室は「コメントは差し控えたいが、地域返還については検討中であり、関係者の意見をよく聞きたい」としている。
http://www.asahi.com/articles/ASH1Z4R1VH1ZIIPE00Z.html