先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

ホリッパ、踊りの輪広がる 末広小運動会でアイヌ文化を伝承

2017-06-13 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2017/6/12配信

学年ごとの輪をつくりホリッパを踊る=11日、末広小グラウンド
 千歳市内の多くの小学校で運動会が開かれた11日、末広小学校(若命泰寛校長)では、毎年の運動会で恒例の全校種目となっているアイヌの輪踊り「ホリッパ」が行われた。全校児童527人に保護者や地域住民らを加えた総勢1000人以上が校庭に幾つもの踊りの輪を描いた。
 同校は千歳アイヌ協会、千歳アイヌ文化伝承保存会の協力の下、さまざまな体験を通じたアイヌ文化学習に力を入れており、その象徴であるアイヌの伝統家屋「チセ」が校内に造られてから今年で20年目となる。
 運動会の全校種目としてホリッパを踊るのは今年で6回目となった。
 朝からぐずつきがちの空の中で各種競技を進行していたが、ホリッパが始まるころには青空が広がり、児童と保護者がグラウンド中央に集まった。
 千歳アイヌ協会、千歳アイヌ文化伝承保存会の会員らが民族衣装姿で踊り、それを囲んで六つの踊りの輪ができた。児童会書記局の児童も子供用の民族衣装をまとい、6年生たちは刺しゅう入りの鉢巻き「マタンプシ」を巻いた。
 演壇上で踊りの輪の中心になった同保存会の石辺勝行会長は「末広小運動会でのホリッパは今の6年生が1年生の時に始まった。卒業してもこうして、ここで踊ったことをいつまでも忘れないでいてもらいたい」と語った。
 6年生の田中春美さんは「これからももっと多くの人にホリッパに参加してもらいたい」と期待し、同じく西川隼斗君は「とてもすてきな行事だから、後輩たちに受け継いでいってほしい」と声を弾ませた。
 今年度赴任した若命校長は「スケールの大きさに驚いた。地域に根差す学校教育は非常に大切なこと」と話した。
https://www.tomamin.co.jp/news/area1/11487/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シニッカ・ランゲラン『The Magical Forest』 ノルウェーのフォーク歌手、天と地を繋ぐものテーマに描く世界共通の思想

2017-06-13 | アイヌ民族関連
Mikiki-2017.06.12 interview & text:坂本信

(C)Dag Alveng/ECM Records
フォークシンガーの目で見る世界共通の思想
 ノルウェー南東部のヘードマルク県には、デンマークの支配下にあった17世紀に隣国フィンランドから移住してきたフィン人の子孫が居住する、フィンスコーゲンという地域がある。このフィンスコーゲンを拠点に活動するフォークシンガーのシニッカ・ランゲランが、新作『The Magical Forest』を引っ提げて3月に来日した。フィン人の血を受け継ぐ彼女が歌の伴奏やソロ演奏で使用しているカンテレも、フィンランドの伝統楽器である。彼女の作品は、フィンランドのカレワラ叙事詩をはじめとする、ルーン文字で記された北欧の古い伝説に基づくものが多いが、新作はaxis mundiすなわち天と地、現世と来世いったふたつの世界をつなぐものがテーマの中心となっている。
 ピアノとギターを弾き、現代のフォークソングを歌っていた彼女がカンテレと出会ったのは、20歳の時だった。「当時のフィンランドでは、カンテレは廃れた楽器ということで誰も興味を持っていませんでしたが、カレワラ叙事詩にカンテレの起源についての話が出て来たりして、興味を持っていろいろと読んでいるうちに、ルーンの歌が北欧のもっと広い地域に伝わっていることを知りました。ルーンの歌は必ずしもルーン文字とは関係無く、“歌う呪術”という共通性のほうが重要です。ノルウェーに住むサーミ人のヨイクもルーンの歌の一種で、呪術的な意味合いを持っています」
 新作には、中世の声楽曲やそのスタイルを取り入れたオリジナル曲による作品を発表しているトリオ・ミディーヴァルが参加し、ランゲランの音楽との高い親和性を示している。「イングリア(現在のサンクトペレルブルクを中心とする地域)の女性が歌うルーンの歌にはブルガリアの合唱に似た響きがあって、その要素を取り入れたいと思ったんです。それで、民謡をテーマにしたアルバム『Folk Songs』も発表している彼女たちに協力してもらうことにしました」
 日本人として興味深いのは《Kamui》で、これは子熊をいけにえにするアイヌの儀式を題材にしている。「初来日の時に行った札幌で儀式の映画を観て感動したんです。それで、一般論として人間が犠牲を捧げる必然性について深く考え、これはaxis mundiのひとつのヴァリエーションではないかと思ってこの曲を書きました。オスロで開催された教会音楽祭で演奏したら、キリスト教の司祭が、犠牲を捧げる儀式の起源がわかったと言ってくれたのは印象的でしたね」
 ランゲランの音楽は、ルーンの歌やアイヌの儀式に影響の残るアニミズムがキリスト教以前の世界共通の信仰だったことを、現代人に思い出させてくれる。
SINIKKA LANGELAND The Magical Forest ECM(2016)
https://www.youtube.com/watch?v=1ljNPUXhB5g (動画)
http://mikiki.tokyo.jp/articles/-/14326

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする