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<はなし抄>踏みにじられる悔しさ 最も冷たい差別は無関心 アイヌ文化活動アドバイザー・原田公久枝さん

2025-02-13 | アイヌ民族関連

 

斉藤千絵 有料記事

北海道新聞 2025年2月12日 10:27(2月12日 14:39更新)

はらだ・きくえ 1967年、十勝管内芽室町生まれ。札幌市在住。十勝のアイヌ民族の伝統的な歌や踊りを伝承する女性グループ「フンペシスターズ」のメンバー、2020年に創刊したウェブ上のフリーペーパー「RUYKA ITAK(ルイカ イタク)」代表。アイヌ民族文化財団のアイヌ文化活動アドバイザー。(◆「イタク」の「ク」は小さい字)

■1月10日、美唄中で開かれたアイヌ民族文化財団主催の「学校教育におけるアイヌ文化に関する講習会」から

 2019年に施行されたアイヌ施策推進法は「アイヌの伝統や文化を尊重し、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活できる社会の実現」を目的としています。

 しかし、アイヌ民族の伝統と文化は100年以上、和人によって破壊し尽くされてきました。いまだに差別もなくなりません。今更、民族としての誇りと言われても、どこから湧いてこさせることができるのかというのが、私の正直な実感です。

 私がアイヌという言葉に〝出合った〟のは、小学校に入学してすぐでした。大勢の人がいる環境に驚いて熱を出して学校を休み、翌日、登校すると、同級生に嫌な言い方で「アイヌ」と言われました。私は母に連れられて5歳から踊りを習っていましたが、それがアイヌの踊りとは知らなかったし、自分が和人と呼ばれる日本人と違うとは思っていませんでした。

 ただ毎日毎日、執拗(しつよう)に繰り返されるいじめに、私はアイヌという何か汚くて嫌なものなんだろうと思うようになっていきました。

 いじめにはパターンがありました。リーダー格の男子が暴言を吐き、子分が小突き、見ている女子が「汚いから触るんじゃないよ」と笑う。抵抗すると長引くから静かにしているけれど、あまりにしつこくて年に何回か爆発して対抗したり、大声を出したりしていました。すると、普段は見て見ぬふりの先生が私を怒るのです。

 街で買い物をして、店に歓迎されたこともほぼない。小学3年の時、運動会のために靴を買いに行き、試し履きしていいかと店主に聞くと、「アイヌが履いた汚い靴、誰が買うか」と吐き捨てられました。2キロ以上の道を歩いて帰り、定規で自分の足を測って同じ店に戻って買いました。

 家が貧しく、ノートを買ってもらえなかったので、新聞の折り込みチラシの裏にその日あった嫌なことを書きなぐりました。そうして自分の気持ちを吐き出さないと、気が狂うと思ったのです。

 中学に入学してすぐに、人権に関する作文募集の案内を先生にもらい、人権の意味を辞書で引きました。そこで初めて、私が受けてきたことは人権侵害だったと気づきました。原稿用紙8枚に一気に書き上げた「差別」という作文は、人権擁護委員会のコンクールで最優秀賞に選ばれました。

 その後、さまざまなメディアの記者が学校や家に取材に来ました。「差別に負けない」という見出しの記事が出ると、「負けないならもっと差別してもいいべ」と、いじめはひどくなりました。

 この国は昔から政策的にアイヌを差別してきました。国がアイヌに開墾させた土地は本州から渡ってきた人より狭く、農地に適さない荒野で、維持できなければ取り上げられました。学校では日本人化を進め、言葉も文化も慣習も奪われた。

 私たちは1997年まで「旧土人」でした。想像してみてください。自分が30歳まで国から旧土人と言われて生きることを。

 私自身、その日を生き抜くのに必死でした。中卒で働き、パートやアルバイトで食いつないで、60歳を目前にした今もそんな生活を続けています。私は悔しいのです。アイヌとして生まれただけで、差別され、人生を踏みにじられて。一体、こんな思いをしなければならないほどの何を私がしたというのでしょう。

 和人の中にも貧しい人はいると言う人もいますが、前提となる背景が違うことを理解してほしい。恨み言を言っても始まらないと、ウタリ(同胞)にたしなめられることもあります。でも本当にたしなめられるべきは、無関心という最も冷たい差別をしている人たちではないでしょうか。

 アイヌ語には「天から役目なしに降ろされたものはひとつもない」ということわざがあります。差別というあの作文を書いた時から、草の根でもアイヌの現状をお話しすることが、私の役割だと思っています。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1122141/


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アイヌ文様の 手芸品を紹介 フッチコラチ作品展

2025-02-13 | アイヌ民族関連

 

苫小牧民報 2025年2月12日

会員の力作が並ぶ会場

白老町のアイヌ文様刺しゅうサークル「フッチコラチ」(岡田育子代表)の作品展が27日まで、町末広町のしらおいイオル事務所チキ...

会員登録”必要

https://www.tomamin.co.jp/archives/127566


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「沖縄と日本」ポジショナリティの視点から 16日、沖国大でシンポ 入場無料 宜野湾 沖縄 

2025-02-13 | 先住民族関連

 

琉球新報 2025年02月12日 13:14

沖縄国際大学=2014年(資料写真)

 シンポジウム「ポジショナリティの視点からみる沖縄と日本」が16日午後1時(開演は30分前)から、宜野湾市の沖縄国際大学5号館ビル1階5106教室で開かれる。入場無料。「ポジショナリティ」とは、集団間に存在する力関係とそれがもたらす不平等や格差の状態が、個人間の関係やコミュニケーションに影響したり、繰り返されたりする様子を分析する視点。

 シンポジウムではこの「ポジショナリティ」の視点から、米軍基地をめぐる日本と沖縄との権力関係、沖縄における育児をめぐるジェンダー間の問題、先住民族をめぐる日本の「多文化社会化」の問題について報告し、議論や意見交流を深めていく。基調講演は池田緑大妻女子大准教授。桃原一彦沖縄国際大教授、知念ウシ沖縄国際大非常勤講師、高橋哲也東京大名誉教授、仁科薫大妻女子大研究員、辻康夫北海道大教授が登壇し報告する。

注:辻康夫氏の「辻」は一点シンニョウ

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https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-3957557.html


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ブロンコススターのリースウォルシュが先住民族のマオリオールスターの未来を計量している

2025-02-13 | 先住民族関連

 

Njpw Funj2月 11, 2025   健三樋熊 

リース・ウォルシュ 彼のNRLのキャリアの早い段階でめまいのある高さにすでに到達しており、 マルーン ブリスベンのグランドファイナルに並んでいます。

22歳の彼はすでに原産地レベルで紹介されており、彼が将来有名なオーストラリアの有名な緑と金を着る可能性が高いです。

しかし、1つのジレンマがあります ブロンコス スーパースターは、代表的なアリーナに関してはまだ把握する必要があります。

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毎年恒例のAll Stars Clashが迫っているため、Walshは両方のチームの資格があるにもかかわらず、その特定のフィクスチャでまだマークを付けていません。

2024年シーズン中のリースウォルシュ。 ゲッティ

Nineの今後のシーズン初演 マーリーと私、3月2日にリリースされるウィズの子供は、スポーツの毎年シーズンの開幕戦でマオリと先住民の文化を代表することを選ぶのは「難しい」ことを認めました。

「私は今それを経験している」とウォルシュは言った。

「正直に言って、私は真剣です – ただ選ぶだけです。

「あなたはあなたの家族の反対側を一種のように感じているように感じます。

「しかし、私が何をしても、私は彼らが皆誇りに思うだろうと知っています。」

ゲーム全体にオールスターの両側に資格がある選手がたくさんいます。ベテランセンターのデーンガガイは、彼のキャリアの中で両方のジャージを引っ張っています。

ウォルシュは交互のアイデアを浮かび上がらせましたが、それでも頭痛を引き起こします。

「最初に誰に行きますか?最初にマオリでプレーしたら、怒っている男の子がいるので、私は(digりのために)選ばれることはないかもしれません」と彼は言いました。

「その周りに良いチャットがあり、それをやった男の子がいます。

「ギャグや誰かの耳に入って、彼がどのように感じているかを見る必要があるかもしれません。」

フルバックは、オープニングラウンドでルースターズを獲得する前に、2月22日にブリスベンの2回目のプレシーズントライアルでプレーする予定です。

https://www.njpwfun.com/スポーツ/117074/ブロンコススターのリースウォルシュが先住民族/


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若者がモクチャウの梅の花の画像でソーシャルネットワークを「カバー」

2025-02-13 | 先住民族関連

 

VIETNAM.VN 12/02/2025 Báo Tiền Phong

TPO - モクチャウは、自然を愛し、北部の典型的な花の季節の美しさを楽しみたい人にとって理想的な目的地です。特に、毎年1月と2月の梅の季節には、山腹が真っ白に覆われ、魅惑的な景色が広がります。

モックチャウ高原は、丘陵地帯に白く咲き誇る梅の花の季節の美しい写真を若者たちが次々とシェアし、ソーシャルネットワーキングプラットフォームで注目を集めている。美しい自然の景色と新鮮な空気により、モクチャウは旅行や写真愛好家にとって魅力的な目的地となっています。ビデオ: ヴー・ミン・ヒエン

モクチャウは高地特有の地形を持ち、雄大な自然空間を提供しているだけでなく、先住民族の文化を体験するのに理想的な場所でもあります。写真: ヴー・ミン・ヒエン

https://www.vietnam.vn/ja/gioi-tre-phu-trang-mang-xa-hoi-bang-hinh-anh-hoa-man-moc-chau


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SBS Examines: 「盗まれた世代(Stolen Generations)」を知っていますか?

2025-02-13 | 先住民族関連

 

SBS 12 February 2025 1:28pm

オーストラリアでは1800年代半ばから1970年代まで、同化政策の一環として、先住民の子どもたちは、強制的に家族から引き離されていました。子どもたちには何が起きていたのでしょうか。そして、現在も続く影響とは何でしょうか。

注意: 痛ましい内容が含まれます。

今から17年前、2008年の2月13日、当時のケビン・ラッド首相が、盗まれた世代(ストールン・ジェネレーション)に対して、国として正式に謝罪しました。

アンティー・ロレイン(Aunty Lorraine)は4歳のとき、ニューサウスウェールズ州北西部にあるブリュワリナ・ミッション(Brewarrina Mission)から、「盗まれ」ました。

姉妹とともに悪名高き収容施設 Cootamundra Domestic Training Home for Aboriginal Girls に入れられ、10年を過ごしました。

「到着すると、その時来ていた服が何であれ、燃やすために脱がされました。そして私たちに薬品を使って害虫を駆除しました。髪の毛は剃られ、労働と宗教、そしてベッドが与えられました」(アンティー・ロレイン)。

「白人のようにふるまうことを忘れると、自動的に罰を受けました。白人になることがマントラでした。白人のように話し、白人のような格好をし、白人のように行動する」

「自分たちが先住民であることについて話すことすらできませんでした。4歳のときにそのように洗脳されれば、先住民であることを忘れ、白人のやり方を覚えるようになります」。

Aunty Lorraine Peeters at the Cootamundra Girls Home. Source: Supplied / The Peeters Family

2008年、アンティー・ロレインはキャンベラの国会議事堂で、当時のケビン・ラッド首相が国として盗まれた世代に謝罪するのを聞きました。

アンティー・ロレインはこの日、ケビン・ラッド首相と自由党の代表に、新しい関係に向けた希望のシンボルとして、先住民のグラス・クーラモン(glass Coolamon)を渡しました。盗まれた世代の生存者の団体からその役に選ばれました。

「この日のことは忘れません」と、アンティー・ロレインは語ります。

「私が得たものは、私への謝罪ではありません、私の両親への謝罪です」。

ヤウルの女性で、盗まれた世代の生存者のための全国組織 Healing Foundation のCEOを務めるシャナン・ドッドソン氏は、ラッド首相による国としての謝罪は、極めて重要な瞬間だったと語ります。

「Bringing Them Home Report(報告書)を除き、生存者の苦しみや彼らの経験を認める、最初の公かつ全国的な動きでした」。

もっと聞く

「国会への先住民の声」めぐる国民投票、浮かび上がる日豪の歴史とコミュニティーの多様性

SBS Examines の今回のエピソードでは、「盗まれた世代」に対する国からの謝罪(National Apology)を振り返り、オーストラアの歴史にある影の部分を取り上げました。

このエピソードを聞いて、あなたやあなたの知っている人が苦痛を感じたときは、ライフライン13 11 14 または、先住民とトレス海峡諸島民のクライシスサポート、13 92 76 (13YARN)に電話してください。日本語の通訳が必要な方は、無料の電話通訳サービスTIS 13 14 50 に電話し、「ジャパニーズ・プリーズ」と伝えて電話をかけてもらいましょう。

https://www.sbs.com.au/language/japanese/ja/podcast-episode/what-were-the-stolen-generations/cwb4ihxbd


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【山口敏太郎の現代妖怪図鑑225】山の幸を授けてくれる「さかぶ」

2025-02-13 | アイヌ民族関連

 

東スポ 2025年2月12日 11:30 山口敏太郎

 オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第225回は「さかぶ」だ。

「山の神がさかぶ声」という言葉がある。これはベテランのマタギにしか聞こえないものであり、新人のマタギには全く聞こえない。このさかぶ声が聞こえた場合、その聞こえた方角には、獲物がたくさん潜んでいるという。山の神が山の幸を授けてくれたのだ。

 また、現役ベテランマタギ以外にも山の神がさかぶ声は聞こえるらしく、山の神の導きにより大量の獲物を取ったマタギたちが地元の村に帰還した時にすでに宴会の準備がされていることがある。これは、山の神の声が麓の村までも聞こえていたからだそうである。

 マタギという言葉はもともとはアイヌ語であるらしく、冬に仕事をするものというような意味があるそうだ。アイヌ語とも共通する言葉が多く、水をワッカ、イヌをセタ、大きいをポロという。マタギの先祖がアイヌなのか、マタギが成立した以降にアイヌの影響を受けたのか、まだ定かではない。

 他にも「山が笑う」という言葉がある。これは春先に多くの植物が芽吹くことを指している。だが、山が笑う時は、すぐさま山を下りたほうがいいと言われる。また「山が鳴く」という言葉もある。これは地震の前触れとかであり、山全体が共鳴するものである。

https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/333817


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【男性が選ぶ】名前がかっこいい「宮城県の市町村」ランキングTOP30! 第1位は「蔵王町」【2025年最新調査結果】

2025-02-13 | アイヌ民族関連

 

ねとらぼ 2025/02/12 20:15(公開)

全国各地の市町村名には、土地の歴史や文化、自然などが反映されているケースが多くあります。地名を見て、その響きの美しさや漢字の組み合わせから「かっこいい」と感じられることもあるのではないでしょうか。

 そこで、ねとらぼでは、アンケートサイト「ボイスノート」の協力のもと、全国の男性を対象に「名前がかっこいい宮城県の市町村」というテーマでアンケート調査を実施しました。

 多くの男性から名前がかっこいいと支持を集めたのは、宮城県のどの市町村名だったのでしょうか。さっそくランキングを見ていきましょう!

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

【男性が選ぶ】名前がかっこいい「宮城県の市町村」ランキング

第2位:気仙沼市

 第2位は、得票率10.2%の「気仙沼市」でした。宮城県の北東端に位置する気仙沼市(けせんぬまし)は、豊かな自然環境に恵まれた港町です。世界三大漁場に数えられる「三陸沖」に面しており、カツオやサンマなどのさまざまな魚が水揚げされています。

 地名の気仙沼の由来には、アイヌ語で「最南端の港」や「静かな海」などを意味する「ケセモイ」「ケセムイ」から来ている説をはじめ、諸説あるようです。

第1位:蔵王町

 第1位は、得票率11.5%の「蔵王町」でした。宮城県の南西部に位置する蔵王町(ざおうまち)は、町域の約60%を山林や原野が占める、豊かな自然に恵まれたエリアです。エメラルドグリーンが特徴的な火口湖「御釜」や、限られた地域でしか見られない「樹氷」など、美しい観光スポットが点在しています。

 蔵王連峰の一部を有していることから、地名からも山々の雄大なイメージを抱かせるほか、漢字の組み合わせから感じられる力強さなども支持を集めた理由ではないでしょうか。

 ランキングの全順位は、以下からご覧ください!

つづく

https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/3160279/


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日本のメーカーは最下層に(PR TIMES)

2025-02-13 | 先住民族関連

 

毎日新聞 2025/2/12 14:54(最終更新 2/12 14:54)

2025年版自動車産業の環境・人権への影響評価を発表

(東京、日本)本日発表されたリード・ザ・チャージ(Lead the Charge)の第3回年次「自動車産業の環境・人権への影響評価ランキング(リーダーボード)」において、トヨタ、日産自動車、本田技研工業(Honda)は、18のグローバル自動車メーカーの中で特に進展が遅れていることが明らかとなった。本ランキングは、自動車メーカーが電気自動車(EV)への移行に伴う公正で持続可能かつ化石燃料に依存しないサプライチェーンの構築に向けた取り組みを評価するものである。今年、日本の自動車メーカーはいずれも、気候と環境の部門において大幅な向上が見られず、気候対策に後れを取っている企業という位置づけが一層強まっている。

今年の分析では、一部の自動車メーカーが特定の分野で進展を見せたものの、業界全体としては進捗が遅く、サプライチェーン全体における環境・人権への影響は未だ大きな課題があることが明らかとなった。3年連続で、いずれの自動車メーカーも総合スコア50%を超えることができず、全体の平均スコアもわずか22%にとどまっている。

トヨタ、日産自動車、本田技研工業(Honda)の日本勢3社は最も低い評価を受け、スコアの上昇幅も最小にとどまった。トヨタとHondaは人権デュー・ディリジェンスの面では一定の進展を見せたものの、いずれの企業もサプライチェーンの持続可能性や脱炭素化のスコアを向上させることはできなかった。特にトヨタは、2023年以降に評価された企業の中で、この分野のスコアが一切向上していない唯一の企業となっている。

この包括的な分析では、1,584のデータポイントを基に、88の指標に沿って各社のサプライチェーンにおける気候、環境、人権への取り組みを評価している。ランキングの評価は、企業の取締役会レベルで承認された公開情報を基に分析を行っている。なお、本分析に反映された企業の情報開示の締切日は、2024年7月1日である。

今年のリーダーボードでは、テスラ、フォード、メルセデス・ベンツの3社が僅差で上位争いを繰り広げた。最終的にテスラが首位となり、フォードを0.5ポイント、メルセデス・ベンツを1.4ポイント上回る結果となった。テスラは、サプライチェーンの詳細なマッピング情報や鉱業サプライヤーとの直接調達契約の開示など、透明性向上の取り組みを進めおり、鋼材、アルミニウム、バッテリーのサプライチェーンに関するスコープ3排出量を詳細に開示している唯一のメーカーである。しかし、総合スコアは43%にとどまり、鋼材・アルミニウムの脱炭素化、労働者の権利といった分野では依然として課題が残っている。

アースワークス(Earthworks)の暫定採掘共同ディレクター、エレン・ムーア氏は次のように述べた。

今年のランキング結果は明確である。一部の自動車メーカーが強固な方針やコミットメントを掲げているが、実施段階で大きく遅れを取っている。しかし、改善は可能である。他社の成功事例から学び、各指標におけるベストプラクティスを取り入れることで、公正なサプライチェーン、責任ある調達、そして公正な移行を実現できる

主な評価結果(ランキングはこちら

- ボルボは最も大きく前進し、総合スコアが9ポイント上昇した。 全8区分のうち7つでパフォーマンスを改善し、特に気候および環境の部門では最大のスコア向上を記録した。現在、ボルボのスコアは業界平均の2倍以上に達している。

- テスラは首位であるものの、その立場は不安定である。 同社の政策チームの取り組みにより、2024年の気候対策のロビー活動が好意的に評価され、今年のスコア向上の大きな要因となった。しかし、最近の報道ではテスラが米国でのEV税額控除の廃止を支持していることが指摘されており、こうした好意的な評価を維持できなければ、来年トップの座を失う恐れがある。

- フォードは、人権および責任ある調達の部門で3年連続の最高評価を獲得した。 一方、メルセデス・ベンツは、リーダーボードの全8区分でトップ5入りした唯一の自動車メーカーとなった。

- 中国の吉利汽車(Geely)は2年連続で大幅なスコア向上を達成し、サプライチェーンの持続可能性や責任ある調達の面での前進が際立った。また、起亜自動車(Kia)とフォルクスワーゲンも大きなスコア改善を果たしている。

今年のリーダーボードでは、自動車のサプライチェーンの持続可能性に関するいくつかの重要な傾向が浮き彫りになった。 特に、鋼材・アルミニウムの脱炭素化に関しては、憂慮すべき状況を示している。昨年、多くの自動車メーカーが大きな前進を遂げたものの、今年はほぼ停滞しているのが実情である。鋼材・アルミニウムはEVのサプライチェーン全体の排出量の約50%を占めており、自動車業界はこれらの材料の主要な消費者となっている。

スティールウォッチのアジア担当、ロジャー・スミスは次のように述べた。

石炭を使わずに高品質な鉄鋼を生産する技術はすでに確立されている。しかし、需要が高まらなければ、日本製鉄のような企業は石炭拡張計画の見直しが急務だとは考えないだろう。日本企業がわずかな排出削減で乗り切れると考えているかもしれないが、リーダーボードは、実際には自動車メーカーも鉄鋼メーカーも競争相手に大きく後れを取るリスクを抱えていることを示している

また、パブリックシチズン(Public Citizen)の気候プログラムのシニア・サプライチェーン・キャンペーナー、カーリー・オボス氏は次のように述べた。

自動車業界が、温室効果ガスを排出しない鋼材・アルミニウムの確保に向けた進展をほとんど見せていないのは、非常に憂慮すべき状況である。鋼材・アルミニウムの製造は、世界の温室効果ガス排出量の約10%を占めており、自動車メーカーが行動しない理由はない。もはや生ぬるい対応ではなく、低排出サプライチェーンの実現に向けた真のコミットメントが求められている

ソリューションズ・フォー・アワー・クライメート(Solutions for Our Climate)のグリーンスチール担当、ヘザー・リー氏は次のように述べた。

現代自動車グループは、自動車メーカーと鉄鋼メーカーの両方を抱える企業グループとして、特に鉄鋼生産においてサプライチェーンの脱炭素化を推進する大きな可能性を持っている。しかし、この分野で明確な進展が見られないのは非常に残念である。現代自動車の将来的な競争力を確保するためにも、現代製鉄はサプライチェーンのクリーン化を進め、グリーンスチールの生産を加速させる必要がある

一方、先住民族の権利に関しては業界全体でほぼ2年間ほとんど進展が見られなかったものの、昨年はこの問題への関心が高まりつつある兆しが見られた。複数の企業が新たなコミットメントを発表し、既存の取り組みを強化する動きが見られた。しかし、全体の平均スコアはわずか6%にとどまり、この分野は依然として最も低い評価を受けている。

サージ・コーリション(SIRGE Coalition)のエグゼクティブ・ディレクター、ガリーナ・アンガロワ氏は次のように述べた。

先住民族の権利を尊重するための方針を採用し始めた企業が複数あることを評価し、これらの方針がサプライチェーン全体で確実に実施されることを期待する。しかし、業界全体では依然として先住民族の基本的権利が軽視されている現状を深く懸念している。すべての自動車メーカーは、単なる認識の段階を超え、これらの権利を守るための具体的な行動を直ちに起こす必要がある

今年の評価結果は、サプライチェーンの持続可能性やデュー・ディリジェンス、EV製造に関して企業のパフォーマンス向上を促してきた政策立案者や規制当局にとって、励みとなるメッセージとなった。特に、今年最も大きな進展が見られたのは、欧州バッテリー規則や企業サステナビリティ・デューディリジェンス指令(CSDDD)など、最近承認された政策や規制によって重点的に取り組まれてきた分野である。これは、現在弱体化の危機にあるCSDDDをはじめとするEUの厳格な説明責任に関する法律が、いかに重要であるかを改めて示している。こうした措置が損なわれれば、これまでの前進が失われ、変革への有望な道筋が断たれる恐れがある。

T&Eの原材料担当、フランツィスカ・グルーニング氏は次のように述べた。

今年のリーダーボードの結果は、自動車メーカーがEUの先進的な法律のもとで、持続可能なサプライチェーンの取り組みをどのように進めているかを示している。欧州バッテリー規則は、持続可能な供給網に向けた確かな道筋を示しており、CSDDDのような法律も、これまでの重要な進展を損なわないよう、現状のまま維持される必要がある

全体的な進展は遅いものの、今年の結果からは業界がより良い成果を達成できる可能性も見えてくる。指標の半数以上は、少なくとも1社が完全に満たしており、各社が異なる分野で最も優れた競合他社の取り組みを取り入れれば、スコアを70%以上に引き上げることができる。先進企業のベストプラクティスを他の企業が採用すれば、大きな改善の余地がある。

シエラクラブ(Sierra Club)のClean Transportation for All campaignのディレクター、キャサリン・ガルシア氏は次のように述べた。

リーダーボードは、自動車業界が不可避なEV移行に向けて投資を進める中で、サプライチェーンのクリーン化にどれだけ取り組んでいるかを問うものであるが、各社にはまだ多くの課題が残されていることが明らかである。現在、自動車の排出基準によって、スコアカードの上位企業ではEV市場の拡大が進んでいる。しかし今回も、世界最大の自動車メーカーであるトヨタがランキングの最下層となり、スコアカードの初版から一切改善が見られていない。気候危機の最悪の事態を防ぐためには、すべての自動車メーカーがEV生産のスピードを加速させる必要がある。時間は限られている

リード・ザ・チャージ(Lead the Charge)について

リード・ザ・チャージは、公正で持続可能、かつ化石燃料に依存しない自動車のサプライチェーンの実現を目指す、地域、国、世界の多様なアドボカシーパートナーのネットワークである。メンバーは、気候変動、環境正義、人権、先住民族の権利、重工業、ESGなど幅広い分野の専門知識を持ち、様々な地域や課題に取り組んでいる。

スティールウォッチ(SteelWatch)について

スティールウォッチは、鉄鋼セクターにおける気候変動対策を促進することを目的とし、2023年7月に設立された国際NGO。「ゼロエミッション経済を支え、そして環境や地域が栄え、労働者が生き生きと暮らすことを可能にする鉄鋼産業」をビジョンに掲げている。

https://mainichi.jp/articles/20250212/pr2/00m/020/402000c


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