西日本新聞 2025/1/4 14:30
西日本新聞社は今年も、九州の地域文化に貢献する展覧会や舞台などの芸術分野、スポーツなどさまざまな主催事業を展開します。
九州国立博物館の開館20周年事業として、1月21日より「はにわ」を開催。7月から九州全県ゆかりの国宝が集結する「九州の国宝 きゅーはくのたから」、10月からは「法然と極楽浄土」なども開かれます。
福岡市博物館では暮らしの中で息づく日用品の中に美を見つける展覧会「民藝(みんげい)」、福岡市美術館では「トムとジェリー展」など、いろいろな世代に愛され、話題を呼ぶ展覧会を開催します。
舞台・芸術関係では、デビュー50周年を迎える千住真理子さんのバイオリン・リサイタルを4月に福岡シンフォニーホールで、5月には宝塚歌劇団による公演を福岡サンパレスで開催。金鷲旗・玉竜旗高校柔剣道大会などのスポーツ事業にも積極的に取り組みます。
特別展「はにわ」
兄弟5体がそろい踏み
▼1月21日(火)~5月11日(日)
▼九州国立博物館
埴輪(はにわ)とは王の墓である古墳に並べられた素焼きの造形。始まりは今から1750年ほど前にさかのぼる。古墳時代の350年間、国内各地で時期や地域ごとに個性豊かな埴輪が作られ、王をとりまく人々や当時の生活の様子を今に伝えている。
最高傑作といえる「埴輪 挂甲(けいこう)の武人」(群馬県太田市飯塚町出土、6世紀)が国宝に指定されてから昨年50周年を迎え、さらに九州国立博物館が今年開館20周年となることを記念して、全国各地から約120件のえりすぐりの至宝が集結する。
米シアトルからも「挂甲の武人」が“里帰り”。「兄弟」と称される5体が勢ぞろいする。ほかにユーモラスな「踊る人々」や「乳飲み児(ご)を抱く女子」、馬形、猿形、犬形の埴輪も展示される。会場内は一部を除いて、展示品の写真撮影ができる。
特別展「九州の国宝 きゅーはくのたから」
開館20周年 名品一堂に
▼7月5日(土)~8月31日(日)
▼九州国立博物館
九州国立博物館(きゅーはく)20周年の節目にあたる記念特別展は「宝」に光を当てる。収蔵品からえりすぐった名品や、九州・沖縄にゆかりのある国宝を紹介する。
同館は、文化交流の舞台となった九州で「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」というコンセプトのもと、独自の取り組みを行っている。特別展では、この20年で収集した1万8000件余りのコレクションの中から、「男神坐像(だんしんざぞう)(重要文化財)、女神坐像(じょしんざぞう)」などの代表的な所蔵品を取り上げる。
ほかに展示される国宝は、平安時代後期の作で福岡藩主・黒田家伝来の「太刀(たち) 銘安家(めいやすいえ)」(京都国立博物館蔵)や色鮮やかな琉球国王尚家の「白地牡丹尾長鳥流水菖蒲文様紅型木綿衣裳(しろじぼたんおながどりりゅうすいしょうぶもんようびんがたもめんいしょう)」(那覇市歴史博物館蔵)、宮地嶽古墳(福岡県福津市)出土の「金銅製壺鐙(こんどうせいつぼあぶみ)」(宮地嶽神社蔵)など。
民藝 MINGEI -美は暮らしのなかにある
手仕事の技術 慈しむ
▼2月8日(土)~4月6日(日)
約100年前に思想家・柳宗悦が説いた民衆的工芸「民藝」。日々の生活の中にある美を慈しみ、素材や作り手に思いを寄せるコンセプトに沿って、暮らしで用いられてきた品々約150件を展示する。産地の作り手と受け継がれている手仕事も紹介する。
美しさに機能性を備えた江戸時代の刺し子の着物や、大胆な模様が印象的なアイヌの衣装、愛らしい英国のスリップウェアの皿などの名品がずらり。小鹿田焼(大分県)など国内五つの産地の作品も展示し、制作風景を映像で伝える。柳が1941年に日本民藝館(東京・目黒)で開いた「生活展」も再現する。
また、現在の「民藝」ブームをけん引してきたMOGI Folk Artディレクターのテリー・エリスさん、北村恵子さんによるインスタレーションを展開。国内外職人の特設ショップも設ける。
誕生85周年記念 トムとジェリー展
君が笑うと、僕も笑っちゃう
▼1月25日(土)~3月20日(木・祝)
▼福岡市美術館
1940年にウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラが世に送り出したアニメーション「トムとジェリー」。今年は誕生から85周年。ふたりの楽しい日々には日常を笑いにあふれたものに変えるヒントがたくさん隠れている。歴代の作品と共にふたりの関係性や仲間たちを紹介する。ユニークなオブジェや撮影スポットでは、トムとジェリーの日常を“体験”できる。展覧会オリジナルアイテムを含む多数のグッズも販売される。
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