赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

『迷いクジラの子守歌』 安東みきえ

2016-03-31 08:48:21 | その他
都内の桜は今日、満開でしょうか? うちのほうは、2日ほど遅い感じです。
牧野節子さんが、『水晶玉を見つめるな!』の感想をブログ 牧野節子の部屋に書いてくれました。ありがとうございます。

さて、そんな春のよき日にすばらしい新刊を読みました。安東みきえさんの『迷いクジラの子守歌』です。

さて、読んでいて、なんかひさびさに、打ちのめされた感じがしました。
私は安房直子さんの作品が好きだったのですが、これはそれに近い感じがします。
7つの短編のアンソロジーですが、読み終わるのが残念で、一日、ひとつと決めて読み進めました。

空を飛びたいトビウオ、いつか竜になると信じているタツノオトシゴ。
これが、過不足なくぴったりの言葉で語られています。海のない山梨県に住んでいた安東さんですが、実は海に住んでいたんじゃないかと思うほど。

それに海の生き物の知識も豊富。ネンブツタイという鯛がいて、赤ちゃんを口にいれて育てていて、たまに食べてしまうこともある、なんて、全く知りませんでした。

「海の花」という作品の一節。
ーー愛する者を持つことは、つらさを引き受けることでもあったのです。

また、「小さな奇跡」
ーー海を前にすると、人は気持ちを開きます。
  凪いだ日にはおだやかな心もちになり、荒れた日には胸もざわつきます。
  そんな想いは寄せる波がひきとります。
  想いは水と砂に磨かれて結晶となり、貝たちがひろい集めます。
  だから、貝は殻の中に物語をかくしています。

ああーー、この作品たちに出会えてよかった。読み手がそう想う作品を書けるって、幸せなことですね。

さて、これからは花の季節。
プランターのパンジーを飾ってみました。まねき猫は、廣嶋玲子さんが『産経の賞』をもらった時に、つくってくれたものです。元気がでない時は、いつもながめている猫たちです。