いや-、満足。頭をガツンをやられたような作品を読みました。
エミリーロッダの新作です。
わたしのもともとエミリーロッダは大好きで、この前もローワンシリーズを読み返したりしていました。
ドキドキ感をだしてくるところが、たまらない。まさに希代のストーリーテラーですね。
この作品、ストーリーだけでなく、登場人物4人ひとりひとりの造詣もすばらしいんです。描写をたんねんに重ねて、キャラクターを描いています。だから、くっきり自然にそのキャラクターをうけとめられます。そのキャラクターごとの活躍で、最後まで、たどりつけたってところがまたいいですね。
と、ここまで書いて、意味がわかりませんよね。
ストーリーはというと、遠足でバスが故障。迎えの車を待つことになりました。残ることになったメンバーは先生のほか、主人公のコリンをふくめ4人。
近くの荒れ果てた屋敷で、むかえを待つはめに。なのに、むかえのタクシーはなかなかきません。
その家の引き出しにあった一冊の謎めいた本、「彼の名はウォルター」を時間つぶしに読み始めることに。
だが、それを読み始めると、屋敷で奇妙なことがおこりだします。
こわいのに、本の先に気になって先を読みたくなるコリンとタラ。
先生に注意されながらも、夜、懐中電灯で読み続けます。その本の内容は信じられないもので、読み進めるほどに屋敷からはうなり声ガが聞こえ・・・・。
ぜひぜひ、ひきこまれるスリリングな展開を楽しんでください。それぞれの性格をいかした、子どもたちの活躍も味わってください。
こういう「ものがたり」ってタイプの作品がわたしは大好きです。最近、日本の児童文学は社会問題を写し出す鏡みたいな感じで、それも必要だと思うのですが、好みからいうと、もっとものがたり性を、とも思います。
そういっても、自分が書こうとしても、なかなかこれがむずかしい。
ただ、一冊くらい、こういう本を書いてみたいなって気持ちは、今ももっていて、密かにあがいてもいます。
『彼の名はウォルター』、ラノベっぽいファンタジーとはまた、ちょっと違うタイプの作品です。
でも、おすすめ。ものがたり好きの大人に読んでほしいです。
漫画の「王様ランキング」とか好きな人はいいかも、って思います。