読書会の課題図書を、少し早く読み終わりました。今回は、『やさしい猫』 中島京子さんの話題作です。
やわらかい語り口で、作品は始まります。母子家庭で育ったわたし。おかあさんのミユキさんがスリランカ出身のクマさんとしりあって、やがて愛情をもち、いっしょに暮らし始めました。しかし、クマさんが、仕事をやめたことを隠していたことで、やっかいなことになります。不法滞在となり、入国管理局に収監されてしまうのです。これが長期にわたり、クマさんが病気にまでなってしまいます。
ほんと、入国管理局、むちゃくちゃ。民主主義社会じゃないの???って腹がたちますよ。
なんとか、出てきてもらって、いっしょに暮らしたいと願い、家族は弁護士をたのみ、裁判をすることにしますが、これがなかなか大変。勝率1%の裁判なんですから。
ほんとわたしは入管のこと、難民のこと、何も知らなかったと思いしらされました。また、裁判ってつらいものなんですね。
厳しい話で内容も濃いのですが、語り口がやわらかなのがすくい。そこが文章のうまさでしょうか。
途中から祈るような気持ちになり、ページをめくっていきます。この家族がいじらしく、自分の親戚かなにかのような気までして、勝訴をねがってやみません。でも現実はほんと、厳しくて、ヒリヒリします。
最後は、長編を読み切ったという思いとともに、感動がひろがり、読書の力を感じる本だと思いました。
また、スリランカの民話、やさしい猫がうまくつかわれていると思いました。
この作品を読めてよかった。長い作品ですが、長さが気にならなく、先が、先が気になって読み終わることができました。
たくさん調べて、勉強して、それを自分の思いの中で反芻して書かれたんだと思います。
中島京子さん、すごい作家だなー。
読書会では、みなさん、どんな感想をもつでしょうか。楽しみです。