11月2日のJPLのWhat'sNewでSAMによる大気分析結果が発表されました。
11月2日10時 PDT(3日2時 JST)のmedia teleconferenceで発表と質疑を見ることができます。
測定場所は、Galeクレーター内"Rocknest" (東経 137.42°、南緯 4.49°)で、南半球の早春の時期となります。
地球の10月中旬に相当するかと。
SAMへ大気が吸引され、 四重極質量分析計(QMS:Quadrupole Mass Spectrometer)と 波長可変レーザー分光(TLS:Tunable Laser Spectrometer)の2つの分析器にて測定しました。
下図の左側は、TLSによる測定結果でアルゴン-40がアルゴン-36の2,000倍多く存在することが確認されました。
下図の右側は、地球で発見された火星由来の隕石の断面です。黒い部分にガスが残っていました。
この隕石に閉じ込められていたガスの組成と今回の分析結果が一致したとのことです。
また、二酸化炭素の放射性同位体も左のチャートに表示されています。二酸化炭素-44が一番多く存在していることが分かります。
二酸化炭素の中の炭素が重い同位体が理論値よりも5%増加していることが確認されました。
重い同位体が残る傾向が確認されましたので、今後データーを蓄積することで大気の散逸のメカニズム解明に繋がるものと期待してます。
下図は、QMSによる測定結果です。
今後、定期的に分析を実施することで大気成分の季節変動を捉える計画です。
今回の結果でメタンの測定は、出来ませんでしたがガスクロマトグラフ(GC:Gas Chromatograph)がまだ活躍していませんので、期待したいですね。
次は、SAMによる固体サンプルの分析が実施されます。楽しみ~
下図は、火星における揮発性物質の存在と移動の様子を示しています。
火星等の惑星において、これらの揮発性分子は、火山の噴煙によって大気の中へ地殻および惑星内部から放出されます。
火星では、二酸化炭素の多くの量が、季節変動によって極氷冠と大気の間を移動しています。
そして、軽い分子ほど大気から宇宙空間へと散逸して、その結果、より重い分子が残るわけです。
Curiosityがいろいろな年代の岩石に閉じ込められているガス組成を分析することで大気の変化を読み取ることが出来るはずです。
下図は、メタンの生成と喪失を示しています。
地質学的に生成したものか?微生物の生命活動によるものか?はたまた、火星外からもたらされたものなのか?
メタンは、紫外線によって分解されますので、メタンの存在は、現在も生命活動がある可能性を示唆しています。