火星への道

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REMSとRADの競演=気圧と放射線の関係

2012-11-16 23:46:12 | MSL

Curiosity関連のmedia teleconference が11月15日11時 PST(11月16日4時 JST) に開催されましたが、SAMによる5回目のスクープの固体サンプルの分析結果の発表はありませんでした。
SAMでは、"Rocknest"での5回目のスクープサンプルをSol93に引き続いてSol96にも再度分析を開始したとのことです。
Sol93(11月9日-10日 JST)、Sol96(11月12日-13日 JST)

今回のmedia teleconference は、REMSとRADの測定結果の発表でしたね。
8月22日の当ブログ「BOOMは?」でREMSの2つのBOOMのどちらかが壊れているのでは?と心配しましたが、無事活躍しているようです。
media teleconference の主な内容が11月15日付(PST)のWhat'sNewに紹介されています。

REMSは、風速/風向、気圧、相対湿度、気温、地熱および紫外線の6つの測定をします。
今回は、そのうちの風向、風速、気圧、気温、紫外線について注目しています。

その結果、東から西への風が確認されました。
これは、当初予想された南から北への風とは、相反する結果でした。

下の画像は、南東に面しているGaleクレーターの斜位像です。時刻は、現地時間で正午です。
×印がCuriosityの場所です。
昼間、風は、赤い矢によって示されるようにクレーターの外に、そして黄色の矢によって示されるように山を上へ流れます。
青い矢は、クレーターの底に沿って流れています。Curiosityのいる場所がクレーターの底に近いので、Curiosityから上に上がるように見えています。
CuriosityのREMSは、こういった風の混ざり合わさったものを測定しているようです。


下図は、Sol31とSol93の1日の気圧の変化です。
Sol31は、Ls=168°で地球の暦にすると9月8日頃となります。南半球では、菜の花の時期でしょうか?
Sol93は、Ls≒203°で地球の暦にすると10月16日頃となります。南半球では、桜が終わって夏へ向かう時期ですね。
気温の上昇によって二酸化炭素は南極冠から蒸気して大気へ拡散します。
毎年、大気はこの結果により約30パーセント程度増減します。
下図のカーブは、午前7時近くのピークと午後4時近くの最小と約10パーセントの強い変化を示しています。
この気圧のサイクルは、「上昇気流」によって引き起こされます。
それは、太陽が地面と空気を暖めることによって駆動された火星の大気中の全球的規模圧縮波です。

下図は、Curiosityが火星で活動を開始した最初の12週の内でREMSによって21回観測されたつむじ風の通過による気圧低下を示す中の1例です。
Sol75の火星時間で午前11時直後の気圧低下(青線)とローバー正面での風向(緑線)の測定結果です。
気圧が下がった数秒以内に風向が変化しているのがわかると思います。
(Curiosityはこの時、西を向いており、90°は、北から来る風となります。)
火星の他の多くの場所でダストデビルの軌跡や影が周回機によって確認されています。
REMSは、ダストデビルの通過を観測しています。しかしながら、Curiosityは、ダストデビルを見つけていません。
研究者は、ダストを巻き上げないつむじ風の可能性を検討しているそうです。

下図は、火星の「上昇気流」、火星の表面での気圧の大きな日変化の原因である気象現象を説明します。
日光は、火星の表面および大気を熱し、その結果空気を上方へと拡大させます。
その結果、日中に気圧の減少を測定し、引き続いて、夜、圧力の増加を測定します。
気圧の増加および減少の正確なタイミングは、惑星の地表の形、および大気中のダストの量を含む多くの他の要因と同様に大気が日光に反応する時間によって影響を受けます。
地球での気象学が活かせるのでしょうね。

下図は、CuriosityのRADによってSol10(9月15日)からSol60(10月6日)の50Solの間測定されたグラフです。
荷電粒子の線量率は、シリコン検出器を使用して測定され、黒で示されます。
線量率(荷電粒子と中性粒子の両方からの)の合計は、プラスチック・シンチレータを使用して測定され、赤で示されます。
変化が毎日、そしてさらにより長い時間スケール上で生じます。
日変化は火星大気の厚さによって動きます。
より長期的な変化は、火星の近くの惑星間空間の中でガスとプラズマの構造によって動くように見えます。
これは、太陽圏と呼ばれる構造で、太陽に磁気的に結び付けられ、約27日の周期で太陽と一緒に回転します。
この太陽圏の構造の密度は、おおよそ27日間の周期に応じて変わり、火星大気が遮蔽を提供するのとほとんど同じ方法で、太陽系の外側から来る銀河宇宙線から保護してくれます。

下図は、Curiosityによって測定された放射線および気圧の日変化を示します。
圧力が上昇すると、放射線量の合計は減少します。
すなわち、大気がより厚い場合、火星の外部からの放射線をより有効に遮蔽します。
赤線は、荷電粒子とニュートロンの両方からの放射線の線量率の合計を示します。
青いドットは、気圧を示します。
Sol21からSol26まで5つのSolの測定です。(8月26日〜9月1日に相当します。)

放射線量は任意の単位で与えられてます。絶対放射線量の校正は、進行中とのことです。

コメント
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