今回は或る事情に寄り、テクニクスのステレオ・アンプ(SU-V6X)の故障修理を手掛ける事に成って仕舞いました。現役時代にメーカーのTSSに勤務して居たので若い頃はステレオ・アンプの修理を手掛ける機会も結構有りましたが其れは此の商品等が世に出る前の事で此れ等の機種(主な販売ルートがオーディオ専門店に移行した為に修理体制も大きく変わった。)は殆ど弄った事が無く、私としては此の故障修理を手掛ける前に少し躊躇は有りましたが『まあ~何とか成るだろう?』的に取り掛かりました。
故障症状は此のアンプで音楽を聴いて居た時に『スピーカー寄り一度バリバリ~と大きな音がして20秒後にも同じ音がした後に何かが焼ける様な匂いがして其の後に音が出なく成った様子・・・・・・・』早速アンプの電源を投入すると本来はオペレート・LEDが点滅し十数秒後に遅延リレーが動作すると此のランプが連続点灯に成り其の段階でアンプが正常に動作するのだが、此のセットは電源投入後の遅延リレーの働く事も無くオペレート・LEDの点滅速度が段々と速まり連続点灯には成らない状態で如何やらアンプ回路に対するプロテクト・回路が動作して居る様に思えた。
アンプを点検する為に天板を外したら本体内は綿埃が可也積っていて部品点検が出来ない状態!此れを掃除機で綺麗に吸い取り内部点検が出来る様にするのに20分程掛かった。電源が入る事からヒューズは飛んで居ないし故障が発生した段階の話からアンプの出力段の故障だろうとは思って居たので一寸凝った放熱板を取外し出力段の焼けたと思われる部品の目視点検から始めたら出力トランジスター近くの小さな抵抗の色が変って居たので半田コテで取り外し抵抗値を測定したら矢張り焼き切れた状態であった。
出力段は左右対称な回路なので同じ役目の抵抗値を測定したら330Ωであった。『此れで故障原因は出力トランジスターの不良に保々間違いが無い。』事が解ったので焼けた抵抗が関連するトランジスターを外し片方の出力段のTRの足を基板から完全に離し、故障と思われるTRのバランスやリーク及びショート状態をテスターで比較すると2SC3280の方はB~C間が完全にショート、B~E間は順方向の導通が無し、2SA1301の方はB~C間が完全にショートしていた。
アンプのドライバー段TRも調べたが此方は壊れて居る様な形跡は無かったので『故障原因は尋常でない綿埃に寄る放熱妨害による熱暴走による出力TRの破壊か?』兎に角、部品を交換してみなければ解らないので直ぐにインターネットで部品の手配をしたが部品代は送料を合わせて1600円也、此れで直ってくれれば安い物だが如何なる事やら?何せ配線図も無いので此れ以外にも問題が無い事を祈るばかりである。
部品注文の手配の後に『両出力段のTR(合計4個)を同時交換すべきでだった。』と思ったが後の祭り、此処等辺が実は『修理屋泣かせの判断処』現役時代であれば後々の複雑なトラブルに成る事を考えて躊躇無く交換するのだが個人的な場合は、そう簡単に割り切れず費用の掛からない方法を選んで仕舞ったが結果の方は果たして??