それこそ、大昔に読んで、さらに、ちょっと前に講談社文庫で読み、で、今回、トーベ・ヤンソンの絵というのに引かれて、手に取り、訳を見ると村山由佳。ぱらっと開いてみると何かすらっと入ってくる。講談社文庫のも面白かったが、何か頭を使うことが当然のような感じで、キャロルの凄さみたいなものが、注釈と共に入ってきて、それはそれで豊富なのだが、何だかちょっと疲れたという気分があった。
ところが、2006年3月出版のこの本は、小説家としての村山由佳の意図が活かされているというのか、読みやすく、語りの構図がわかりやすく、頭を使わされるより、その飛躍と展開の奇抜さ面白さが直で伝わってきた。アリスの夢が、わくわくと「子供たちの純粋な悲しみをともに悲しみ、彼らの素朴な喜びの中にこそ喜びを見いだすに違いないんだ」として表されている。会話に関西弁が入ったり、語尾が話体になっているところなども現代版なのだ。
それにしても、余計な教訓などないし、論理展開が絶妙かつ逸脱ありだし、答えなき問いが自在に空中に浮かぶし、約束あるボクらの世界が面白く裏切られるし、夢特有の執拗なつながりと奇妙な非連続があるし、楽しい。
特に「くるくるパーティー」「女王様の競技場」「ウミガメフウの話」は好きだ。チェシャ猫のキャラももちろんだけど。
訳者の村山由佳が新訳に挑んだきっかけになったヤンソンの絵は魅力的だ。

ところが、2006年3月出版のこの本は、小説家としての村山由佳の意図が活かされているというのか、読みやすく、語りの構図がわかりやすく、頭を使わされるより、その飛躍と展開の奇抜さ面白さが直で伝わってきた。アリスの夢が、わくわくと「子供たちの純粋な悲しみをともに悲しみ、彼らの素朴な喜びの中にこそ喜びを見いだすに違いないんだ」として表されている。会話に関西弁が入ったり、語尾が話体になっているところなども現代版なのだ。
それにしても、余計な教訓などないし、論理展開が絶妙かつ逸脱ありだし、答えなき問いが自在に空中に浮かぶし、約束あるボクらの世界が面白く裏切られるし、夢特有の執拗なつながりと奇妙な非連続があるし、楽しい。
特に「くるくるパーティー」「女王様の競技場」「ウミガメフウの話」は好きだ。チェシャ猫のキャラももちろんだけど。
訳者の村山由佳が新訳に挑んだきっかけになったヤンソンの絵は魅力的だ。
