共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

秀逸

2012年09月10日 20時10分41秒 | 日記
先日、厚木の《cafeあつめ木》で見せて頂いて、ものすごく面白かった本を購入しました。平凡社から出版された、こうの史代《ぼおるぺん古事記(一)天の巻》という漫画です。今年は奈良時代に《古事記》が編纂されて1300年目の節目の年に当たるため《古事記》に関連した本が多数刊行されていますが、本書もそんな中の一つと言えるでしょう。

《古事記》と聞くと、何やらそれだけで「難しそう…っていうかムリ!」と投げてしまいがちですが、要するに何もないところからどうやって日本の風土が出来上がっていったか…ということを描いた、1300年前の人々によって作られた壮大な神話スペクタクルです。そしてこの本では、その内容が逐一漫画で描かれているので、よくも悪くも奇想天外な神々達の物語が楽しめます。

因みにこの漫画、タイトルにもありますが、何と作画から背景、本文にルビ振り仮名に至るまで、脚注以外は全てボールペンのみで書かれています。その細かさとこだわりたるや驚異的という表現では表しきれない、もはや『病気』の域に達しております(何という言い草…)。

失礼ながら『病気』と申し上げたのには理由があります。特に、いわゆる天地創造の場面を描いた最初の5ページくらいは、ふつうならスクリーントーンを使って表現するであろうところですが、そこに至るまでボールペンで細かく細かく手描きされているというこだわりようなのです!しかも、何と巻頭に《古事記》の万葉仮名の原文が、これまた手書きで、必要なところまで全文記載されているのであります!!

ひとつだけ注意点。漫画として非常に楽しいのですが、他の《古事記》に関しての書籍と違って、この本では文章が現代語に訳されず、漢字仮名まじりながら原文のまま載っていますので、最初御覧になるとびっくりw(゜o゜)wされるかも知れません。ただ、一応キーワードには脚注がありますし、そうは言っても日本語で書いてあるわけですから、だいたい中学の古文を読むくらいの労力と思って下さればよろしいかと思います。

とにかく奈良の古人が考え出した、ギリシャ神話の神々に負けるとも劣らない日本創世の神々のぶっ飛んだハチャメチャっぷりと人間臭さに、思わずニヤニヤしてしまいます。ストーリーを御存知の方は勿論、《古事記》って何だろう?と思っていらっしゃるような方にもお勧めしたい1冊です。
コメント (2)
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