共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

ペルゴレージ…ではなく、アレッサンドロ・スカルラッティの《スターバト・マーテル》

2016年03月21日 20時22分01秒 | 音楽
昨日はお彼岸の御中日でしたが、この時期はキリスト教会で、カトリックでは四旬節、聖公会では大斎節、プロテスタント会派では受難節にあたります。お彼岸は一週間程度ですが、四旬節は所謂「灰の水曜日」から始まって復活祭前の聖土曜日までの46日間にも及びます。

この時期にカトリック教会で歌われるのが、磔刑に処されたイエスの死を嘆く聖母マリアの姿を詠った「スターバト・マーテル(悲しみに暮れる聖母は涙に咽びて)」です。

我が子の死を悼む聖母の悲しみを詠ったこのラテン語の詩には、歴代様々な作曲家が旋律を捧げてきました。一番有名なのは夭折の天才ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージの作品ですが、実はこの作品には先達がいます。それが、555曲ものチェンバロのためのソナタを作曲したドメニコ・スカルラッティの父親のアレッサンドロ・スカルラッティの「スターバト・マーテル」です。

ナポリ総督宮廷楽長を勤めたアレッサンドロ・スカルラッティは特に長編オペラに様々な作品を残しましたが、教会音楽の分野にもいくつか作品を残しました。そのひとつが「スターバト・マーテル」です。これはナポリ在住の貴族集団「悲しみの聖母騎士団」から委嘱されたものでした。そして、後に同団体がスカルラッティの作品に代わる新たな「スターバト・マーテル」を委嘱したのがペルゴレージでした。

そんな名作をこの世に遺す切欠とも言うべき作品を是非知って頂きたいと思い、動画を転載しました。ヴィオラがいない以外はペルゴレージ作品と同じ小編成による静謐な響きを御堪能下さい。

Alessandro Scarlatti - Stabat Mater
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