共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

経験と感動がたどり着いたひとつの境地~新田五月ガラス展

2016年10月02日 17時08分28秒 | 日記
今日は午後からいいお天気に恵まれました。気温的にはちょっと暑いくらいでしたが、それでも吹く風の中に何処と無く秋を感じることが出来ます。

久しぶりに完全オフだったので、今日はこの時間を活かすべく小田急江の島線の長後駅まで出かけました。この近くのスペース行樹というギャラリーで、現在《新田五月ガラス展‐曙光(しょこう)‐》が開催中です。

淡路島出身の彼女の最初の作品を観たのが2006年、それから彼女が様々な経験を重ねていった中で、徐々にそれが作品に反映されていく様子を今までにも具に拝見して来ました。そんな中でも、今回は彼女なりの一つの到達点に達したような作品が多く見受けられました。

あくまでも個人的意見ですが、今回の展示会で感じたのが、紫の表現の美しさです。



ちょっと分かりにくいかも知れませんが、今回の展示会の作品群の中でも、紫色の作品が今まで以上に多く見受けられたのですが、その紫の深味と鮮やかさが素晴らしいのです。

今までの彼女の作品はピンクやオレンジといった暖色系のものと、対称的にブルーやヴィリジアングリーンのような濃い目の寒色系にハッキリと分かれていた感がありました。そんな中での今回の紫の表現は、透明感のある紫や乳白色の中から透ける紫、艶めく紫から深い紫と多彩で、個人的に突出して見えました。

そして、そんな紫の作品を差し置いて恐らく今回の最高傑作が



まるで澄みきった秋の青空を切り取ってしまったかのようなこの深鉢です。

目の覚めるようなスカイブルーの地に、白玉団子のような柔らかみを湛えた雲が浮かんでいます。雲の縁には作為的に穴が空いていて、それが作品に軽さを演出しています(また、実際に手に持った感じも、この穴の効果なのか見た目以上に軽い感じがしました)。

ギャラリーに窓がないので、照明の中で写真に写すとこんな感じですが、オーナーさんの許可を頂戴してギャラリーの外廊下に持ち出して自然光で見てみると、ガラスという透明感のある素材だからこそ可能な独特の鮮やかさを放ちます。表面は平滑ではなく細かな凹凸があるのですが、その表面が丁寧に磨かれているので当たった光がキラキラと煌めいて、そこに浮かぶ可愛らしい雲が絶妙なアクセントになっています。

因みにこの作品は、私の見ている目の前で買い手がつきました。購入者もほぼ一目惚れだったようでしたか、この作品がどのように飾られるのか見てみたい気もしました。

この展示会は今月9日まで、長後駅近くのギャラリー、スペース行樹で開催されています。興味のある方は、一度足を運んでみて下さい(月曜休廊、11:00~19:00)。
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