今日は久々にオーケストラの練習に参加するために、錦糸町へ出てきました。久しぶりの都内に出てきたのですが、やはり東京は神奈川県より1〜2℃気温が高い気がしてなりません…。
今回出演する墨田区交響楽団の定期公演のプログラムは
◎序曲《美しきメルジーネの物語》
(メンデルスゾーン)
◎バレエ音楽《プロメテウスの創造物》より抜粋(ベートーヴェン)
◎交響曲第1番ハ長調
(ベートーヴェン)
という、なかなか通好みなラインナップです。中でもメンデルスゾーンは、私も初めて演奏する曲です。
《美しきメルジーネの物語》は中世フランスに伝わる『メリュジーヌ伝説』を起源としているようですが、この伝説をもとにした様々な話のバリエーションはフランス以外のヨーロッパ各地にも存在しているようです。そして1833年にこの伝説をもとにした歌劇を観たメンデルスゾーンが深く感じ入って自身で演奏会用序曲を書いてみようと思いついて、この曲が誕生したといいます。
ただ、実際にメンデルスゾーンが観たというオペラの筋は伝説のストーリーをかなり大幅に改変したもので、そのあらすじは…
海の妖精メルジーネが人間の騎士ルーシグナンに恋をして、神様に頼んで結ばれるように計らってもらう。ただし、
「結婚してから十日間は、本当の姿を見られてはならない」
という条件を出される。
無事にルーシグナンと結ばれたメルジーネだったが、神様に出された条件を満たす前の九日目に海の精という正体を見られてしまう。しかし、最後は無事に宿命から救われて幸福な結末を迎える。
…という、ハッピーエンド版人魚姫のようなものです。
木管楽器と弦楽器による海のさざ波を思わせるような音形で始まるこの曲は、やがて不穏な嵐が吹き荒れたり収まったりを繰り返すように進んでいきます。そして最後には再びさざ波となって、静かに終わっていきます。
波を表現する場面が多いこの曲では、弦楽器の各パートが終始うねるようなアルペジオを演奏し、それらが重なり合って綾織のように展開していきます。このような音形はスメタナの交響詩《モルダウ》にも登場しますが、専ら第2ヴァイオリンやヴィオラ、チェロがそれを受け持つことになるため非常に疲れるのです…。
今回はそうした疲れる曲の後に更にベートーヴェンが2曲も続くので、ペース配分が大変です。明日は前半のプログラムで電池切れになってしまわないよう、気をつけようと思います…。
そんなわけで、今日はメンデルスゾーンの序曲《美しきメルジーネの物語》をお聴きいただきたいと思います。パーヴォ・ヤルヴィ指揮、フランクフルト放送交響楽団による演奏で、メンデルスゾーンならではの詩情豊かな響きをお楽しみください。