共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

ハイドンの『じゃない』セレナーデ

2023年04月24日 18時00分18秒 | 音楽
今日も、天気予報で言われていた程には気温が上がりませんでした。しまいかけていた薄手の長袖シャツは、今日も活躍することとなりました。

さて、今度音楽教室の生徒が《ハイドンのセレナーデ》にとりかかることになりました。この曲は



一度聴いたらすぐに覚えてしまう愛らしいメロディで有名ですが、元々は



ハイドン作とされる《6つの弦楽四重奏曲集 作品3》の中にある第5番ヘ長調の第2楽章の第1ヴァイオリンパートを単独で取り出したものです。

ハイドン作とされる…と書きましたが、実はこの《6つの弦楽四重奏曲集 作品3》はハイドン作ではありません。実はこの曲を書いたのはローマン・ホフシュテッター(1742〜1815)という、アマチュア作曲家でもあったオーストリアのベネディクト会の修道士です。

ホフシュテッターはハイドンの熱心な信奉者で、ハイドンの音楽様式に倣って自らも作曲を行いました。その中で特に《6つの弦楽四重奏曲集 作品3》は長らくハイドンの作品と見なされていましたが、現在ではホフシュテッターの作品であることが明らかになっていて、ハイドンの作品目録からは除外されています。

それでも《弦楽四重奏曲 ヘ長調 作品3-5》の第2楽章(アンダンテ・カンタービレ)は単独で長らく『ハイドンのセレナーデ』の名で親しまれてきてしまったため、今日でも呼び名にねじれ現象が起こっています。まぁ、かつてハイドン作と言わしめたほどの愛らしいメロディを生み出したホフシュテッターの手腕は評価に値するものと言えるでしょう。

そんなわけで、今日はその『ハイドンのセレナーデ』を第2楽章にもつ《弦楽四重奏曲 ヘ長調 作品3-5》をお聴きいただきたいと思います。プロ・アルテ弦楽四重奏団による、1933年の録音でお楽しみください。

因みに、今日4月24日はホフシュテッターの誕生日だそうです。

Alles Gute zum Geburtstag!
(お誕生日おめでとうございます)



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