百花園の花の姿もすっかり影を潜め
冬枯れが進んでいました。
そんな中でわずかに残っていた実が
かつての華やかなころを偲ばせてくれます。
用事があって屋上へ行ったら遥かに富士が見えました、
前日の大雨が空気をきれいにしてくれたのでしょう。
♪ あ~たまをビルの上に出し・・・
以前はもっと見えたんだけどどんどん新しいビルが建つから。
さて百花園では、
枯れてしまった植物の実がわずかに残っていました。
ヌバタマ(射干玉)、ヒオウギの種子で万葉集などに多く見られます。
「居明かして 君をば待たむぬばたまの 我が黒髪に霜は降るとも」・・・柿本人麻呂
ツルウメモドキの種子。
小さな木しかないのでなかなか見られません、
残っていたのが不思議なくらい。
ムラサキシキブの実。
勝手知ったる百花園、どこかに残っているはずと
さんざん探した結果やっとこれだけ見つけました。
不思議なことに万葉集にも百人一首にもこれを謳った歌はないようです
そこで紫式部本人が詠んだ歌を。
「めぐりあひて 見しやそれともわかぬ間に 雲がくれにし夜半の月かな」
マユミの実、
実が割れて中から真っ赤に輝く種子が見られるはずなんだけど
タイミングが悪かったのかな。
枯芙蓉。
フヨウの花のあと、侘び寂びの世界の主役で
俳句に茶花にその姿はたくさん見られます。
「こまやかな 老妓の化粧 枯芙蓉」・・・ 佐藤良子
ワレモコウが半ば枯れそうになりながらも健気にも残っていました、
順光で見るとあまりにもかわいそうなのでせめてもと逆光で。
「吾も亦(また) 紅(くれない)なりとひそやかに」・・・虚子
サネカズラの実。
入り口近くにあって全く日が当たらないところ、
一応撮ってはみたけど見られたもんじゃない。
たびたび行ってみたけどまだ日が当たらない、
帰りがけになってやっとわずかに日が当たってきた。
やっぱり日が当たるってことはいいね、
赤い実が太陽のように輝いてきた。
「核葛(さねかずら) のちも逢ふやと夢のみに
祈誓(うけひ)わたりて年は経(へ)につつ」 ・・・柿本人麻呂
勝手知ったる、、、っていいね、
何がどこにあるのかちゃんと分かっている。
この辺にあるはずだ、懐かしい実家に帰ってきたみたいです。
data: EOS70D/EF70-200 1:2.8。 撮影 12月2日 向島百花園