宅地の細分化が進み戸建住宅の密集地ができると、防災上危険ということで町の再開発が行なわれます。
その際の方法が限定的です。
開発業者が中心になって住人を説得し、戸建住宅を取り壊し、戸建住宅数より戸数の多い高層集合住宅を建設し、分譲し、利益を出し、この利益で戸建住宅居住者の住み替え費用を軽減します。
これは古い戸建住宅を耐震性、耐火性のある近代建築に換える方法として現実的ですが、新しくできた高層集合住宅での生活が楽しいかどうかが問題です。
住宅密度が上がります。
密度が上がりすぎると町の人間関係は希薄になります。
生活の場の人工空間度、生活の単調度は確実に上がります。
エレベーター、廊下は、長く、狭苦しく、玄関も中も画一的です。
上、両横、下の4方向で隣家と接しています。
大地から遠く、入れば閉じ込められた感じがする空間です。
開放的な空があると言ってもそこは自由に行けない空間です。
上の方に住む人は落ちる不安を感じるでしょう。
下の方に住む人は、暗さと狭苦しさと上から押さえられている雰囲気と何か物が落ちてくる不安を感じるでしょう。
高層集合住宅が地震や火災に強いかは何とも言えません。
上の方に住む人は逃げ場がない不安を感じます。
下の方に住む人は上から押しつぶされる不安を感じます。
高層集合住宅が古くなると大変です。
全体の修理も建て替えも、居住者全員で相談して決めなければなりません。
売ろうと思ったら意外に資産価値が低いことに悩まされるでしょう。
住宅密集地問題が高層集合住宅の建設で解決できるかは疑問です。
所詮よくないものはよくないものを生むのではないでしょうか。
つまり根本問題は宅地の細分化にあります。
防災上危険になるほど住宅が密集することにあります。
都市といえども住宅密度の上限を真剣に考えた方がいいと思います。