ゲートボール(GB)日記

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CLT(Cross Laminated Timber)と騒ぎすぎ

2021年01月08日 | 社会

林業に関心をもって日本の動きを観察しています。戦後植林した木が大木になっていることに注目し、地方が林業復活を重視していることは嬉しいことですが、木材の建造物への活用について単なるヨーロッパの模倣は問題です。

今話題のCLTですが、息せき切って普及を図るべきではないと思います。一番不安な点は接着剤です。現在は有機接着剤が主流ですが、CLTの耐久性がどの程度かはっきりしていません。木と木の間に接着剤が層状に存在しますが、この層で木材や接着剤が劣化すると、層で木材の剥離がおこります。CLTが繰り返し応力を受けていると、接着層の破壊が増えていきます。ある時点で急速に剥離が進み、CLTがばらける恐れがあります。

この接着剤は合板で長い使用実績がありますが、構造用合板でも長い年月がたつと腰が抜けます。たとえば床板はぶかぶかになります。屋根の下地材は腐ってばらけるような状態になります。繰り返し応力、乾燥・吸湿、熱、生物などの悪影響を受けます。木も接着剤も悪影響を受け、劣化します。CLTは合板より厚い板を張り合わせますが、悪影響を受けることは同じです。初期強度、初期寸法安定性は抜群ですが、経時変化がおこります。耐火性も、古くなれば落ちます。

したがって普及を急ぎすぎることは問題です。特に耐久性が要求される巨大あるいは高層建築物への応用は100年計画で考えるべきです。腐った部分は新品に取り換えればいいと言いますが、文化財ならいざ知らず、木造建築物のメンテを楽観視するのは危ないと思います。

50年もすれば建て替えたくなる住宅などの小さな建築物は問題ないと思いますが、CLTは木材を使いすぎだと思います。いかに日本に木が多いと言っても木材の使いすぎはよくないと思います。CLTは厚い集成木材パネルです。建築物の構造はコンクリートパネル構想と同じです。柱がありません。ツーバイフォーの経験から言えば、柱、梁などの枠に合板をはる構造でも力学的にはまったく問題ありません。厚い壁の中まで木材はもったいないことです。内壁は木目を重視するなら、無垢あるいは集成材の柱などと、木目の美しい合板で壁をつくればコストパフォーマンスは大幅によくなります。外壁は、現代では木目を重視する人は多くないと思います。木材は何でも耐候性がないので時と共に薄灰色となり暗い感じになります。塗装することが多いと思います。それなら構造用合板を下地にし、耐火性耐候性の無機質の板をはった方が合理的です。それからパネル構造は日本風木造建築物とはまったく感じが違います。ぼてぼてした感じになります。

という訳で単なるヨーロッパの模倣は感心しません。

CLTについてはちょっと批判的ですが、日本に林業が復活することは大賛成です。木工産業、木造住宅産業などが大発展し、特に木工製品は輸出商品になるといいと思います。日本人はみんな木工大好き人間になるといいと思います。私はこれまでに家は住宅会社に木造住宅(ツーバイフォーと柱など集成材の活用の木造の2軒)を建ててもらいましたが、家具は私の作品だらけです。机も椅子も本箱も、外の大きな縁台もほとんど私の作品です。



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