はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

さくら

2006-04-02 19:59:45 | アカショウビンのつぶやき
4月2日 
 すべて伐られ整地された市役所の駐車場にたった1本だけ残された桜。毎年健気に花を咲かせ、殺風景な駐車場を春爛漫の景色に変えてくれる。
 朝からの激しい春の嵐に必死に耐えている姿がいたいたしい。ようやく雨がやんだのでライトを提げて見に行った。5分咲きの花はしっかり咲いていた。「よくがんばったね」と声を掛ける。
 車椅子の義母と夫、桜吹雪の中でおにぎりを食べたのは何年前だろう。あれが三人の最期のお花見だった。降りしきる桜の花びらの華やさと共に思い出す。

怨憎会苦

2006-04-02 16:32:36 | はがき随筆
 「四苦八苦」という言葉がある。これは人間が生きていく上で一度は会わなくてはならない八つの苦しみのことである。その中で「愛別離苦」という苦しみを受けて悲しんでいる人もあれば、逆に怨(うら)んだり憎しんだりしなくてはならない「怨憎会苦(おんぞうえく)」の苦しみと遭って悲しんでいる人も周りには多い。何かの利害や意見の違いによって、急に気まずくなって悩んでいるんでいるという体験談など、ストーブを囲んでの談義は尽きることがない。やがて、聞いていた1人が「自分が変われば相手も変わる」の発言に一同大いにうなずいた。
   志布志市志布志町 一木法明(70)  2006.4.2掲載