甘いみつの詰まった手紙の束は、赤と緑のリボンで結ばれている。遠く海を渡って届いた2人の恋文である。電話さえなかった時代に唯一、文だけがときめきの時間だった。そんな思いをいつまでも引きずって半世紀。古風だが懐かしい。
今は携帯電話の時代。昔はロマンチックだったのかもしれない。だが「どげんかせんと」というように目の前に現れた手紙の束を簡単に捨てるには忍びない。こっそり開いて甘いみつでもなめてみようかと私の心はためらう。いやまだ若い70代ではないかと独り言。今しばらく思い出と同居することにしよう。
鹿児島市 竹之内美知子(74) 2008/10/8 毎日新聞鹿児島版掲載
今は携帯電話の時代。昔はロマンチックだったのかもしれない。だが「どげんかせんと」というように目の前に現れた手紙の束を簡単に捨てるには忍びない。こっそり開いて甘いみつでもなめてみようかと私の心はためらう。いやまだ若い70代ではないかと独り言。今しばらく思い出と同居することにしよう。
鹿児島市 竹之内美知子(74) 2008/10/8 毎日新聞鹿児島版掲載