コスモスの花が揺れる昼下がり。私は団地の道を歩いていた。あるマンションの前にさしかかった時、1階の駐車場から婦人と男の子が飛び出してきて、外の階段を上がっていった。
歩き方がいやに不自然だったので、何事だろうと暗い駐車場に入ってみた。見ると何台かの車の奥に、1人の少女が壁に向かって目隠しをしている。なあんだ隠れんぼかと私は、そーっと少女の後ろに寄って小さな声で「2人とも階段を上がったよ」と教えて駐車場を出た。
「キャー、キャー」という笑い声を背中に聞いて、私は一人ほくそ笑みバス停へと急いだ。
鹿児島市 高野幸祐(75) 2008/10/16 毎日新聞鹿児島版掲載
歩き方がいやに不自然だったので、何事だろうと暗い駐車場に入ってみた。見ると何台かの車の奥に、1人の少女が壁に向かって目隠しをしている。なあんだ隠れんぼかと私は、そーっと少女の後ろに寄って小さな声で「2人とも階段を上がったよ」と教えて駐車場を出た。
「キャー、キャー」という笑い声を背中に聞いて、私は一人ほくそ笑みバス停へと急いだ。
鹿児島市 高野幸祐(75) 2008/10/16 毎日新聞鹿児島版掲載