はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

「幼い日のときめき」

2010-02-22 19:36:08 | 岩国エッセイサロンより
2010年2月20日 (土)
    岩国市  会員   中村 美奈恵

 幼いころ、夜中に目が覚めるとミシンの音がした。家計を助けるために母が縫い物をしていたのだ。毎年2月になると、友達の家にはひな人形が飾られた。一度だけお道具に触らせてもらったことがる。その時のときめきを母には言えなかった。

いつか娘が生まれたら……。息子ばかりでは思いもかなわなかった。そんな私の元に京都から人形が届いた。引っ越しで手狭になった方から譲ってもらったのだ。赤い毛氈に一体一体飾り付ける。初めて手にする十二単のおひな様。

あこがれの七段飾りに、幼い日のときめきがよみがえった。
   (2010.02.20 毎日新聞「はがき随筆」掲載)
岩国エッセイサロンより転載