はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

今度は鹿児島地区の勉強会です

2010-02-23 19:38:33 | アカショウビンのつぶやき
 毎日新聞投稿欄の愛好者でつくる「毎日ペンクラブ鹿児島」の、鹿児島地区勉強会が開催される。どちらかと言うと、北薩地区の活発な活動にくらべ、勉強会の動きが全然なかった鹿児島地区だったが、ペンクラブ創立10年の記念すべき年に、第1回の勉強会開催となった。運営委員やペンクラブの役員の方々に感謝!

 はがき随筆の体裁(題名 7字以内、本文約250字)の作品を持ち寄り、お互いに批評しあう合評会形式で、平山支局長の講評もあります。
会員以外の方も参加できますので、興味のある方は是非ご参加ください。
問い合わせは高野さん(099-256-0130)です。

場所 鹿児島中央駅、 西口のホテルユニオン
日時 2月27日(日曜) 午前11時から
会費 昼食代を含め  1500円

はがき随筆1月度入選

2010-02-23 17:11:35 | 受賞作品
 はがき随筆1月度の入選作品が決まりました。
▽出水市上知識町、年神貞子さん(73)の「日記」(7日)
▽同市上鯖渕、川頭和子さん(58)の 「雪の日に」(23日)
▽伊佐市大口上町、山室悟入さん(63)の「得度式」(12日)
-の3点です。

 一木法明さんの随筆(1月25日)に、所用で沖縄に行き「ひめゆり平和祈念資料館」での強烈な印象が、脳裏を離れないとありましたが、私も涙で正視できなかった経験があります。毎日の記事に、田中角栄氏が、戦争を知っている世代が指導者である間は、我が国は安全だと言ったとありましたが、ここ数代、戦争を知らない首相が続きます。沖縄も日本もどうなることでしょう。
 入選作を紹介します。
 年神さんの「日記」は、今年は曇天で初日の出は見られなかったが、元日の夜の満月の美しさに、一年の計を誓ったという文章です。内容の意外性とともに、張りつめた印象の残る文章です。
 川頭さんの「雪の日に」は、鹿児島の雪景色に、若いころ越後湯沢や蔵王にスキーに行った時の、温泉のにおいや玉コンニャクのおでんを思い出したという内容です。連想の妙のきいた文章です。まだお若いですから、また蔵王にでも。
 山室さんの「得度式」は、禅寺の得度式で、若い女性の剃髪の瞬間に立ち会った感慨がつづられています。剃髪前にパーマをかけたということですが、このようなまさしく人生に出会う瞬間はなかなかありません。
 次に数編紹介します。畠中大喜さんの「風呂たき」(5日)は、まきで風呂をたくと喜ばれた、子どもの時の記憶の中で、今でも冬場にはまきで沸かして楽しんでいる、という一時の至福の時間が書かれています。本山るみ子さんの「箱根駅伝を見る」(15日)は、箱根駅伝をドラマ化した映画の印象と、実際の駅伝の中継とを重ねて、学生たちの悲喜こもごもに思いをはせた文章です。
 高橋誠さんの「アルミの鍋」(22日)は、父親が戦後、工場で作った溶接された頑丈なアルミの鍋を、母親は捨てられないでいるという内容ですが、どこにもこういう「我が家の遺産」はありますね。吉井三男さんの「どっちもどっち」(3日)は、ご夫婦で物忘れ競争?)をなさっている様子が、軽妙に明るく描かれています。
(日本近代文学会評議員、鹿児島大名誉教授・石田忠彦) 

父の気持ち

2010-02-23 16:37:02 | はがき随筆
 長期休み、家族を連れて家に帰ると、父はうれしさいっぱいの表情。母は60歳で他界。それから父は独り暮らしだった。唯一の楽しみは少々の焼酎。「涼子ちゃんが帰ってきたから、今夜のダイヤメは特別おいしい」。楽しいだんらんのひととき。
 いよいよ任地に帰る私たち一家の見送り。「私は見送りには出ないからね。気をつけて帰れよ」。1人になる事がどんなにか寂しかったのだろう。後ろ髪引かれる思いで任地へ。最後は妻が何カ月も付き添ってくれた。それがせめてもの親孝行。父の年を越して、父の気持ちをしみじみと思う今日このごろ。
  薩摩川内市 新開譲(84) 2010/2/23 毎日新聞鹿児島版掲載

柿の木

2010-02-23 16:28:44 | はがき随筆
 母の作る干し柿を毎年楽しみにしていた。でもいつまでも母を当てに出来ないと12年前、送ってきた干し柿の種を庭に埋めたら運良く発芽し、成長した。
 3年前から実がなり、昨年は大収穫。晩秋、軒下の「柿のれん」が見事だった。干し柿で、試行錯誤しながら柿ようかんを作ってみた。無添加のようかんにするには、レンジで作るとよくできた。訪れた友に出すと甘さ、香り、しっとりした口当たりがよいと褒めてくれた。 
 昨日、柿の根元に収穫のお礼と次の実りを望み施肥した。母の干し柿を私に伝える、いとしい木である。
  出水市 年神貞子(73) 2010/2/22 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はwineさん

歳月の流れ

2010-02-23 16:26:44 | はがき随筆
 正月15日、皮膚科を訪ねた。前から手足のこう薬をもらっていたので「今年もよろしく」とあいさつ。後日、下痢なのにレバーを食べた。すると夜中に下腹がかゆいのでつい、ごしごしとやる。鏡を見ると発しんが腰部いっぱい。即診察。「じんましんです」とのこと。少し安心した。話は思い出になるが、20年前おでこを強打し血流が悪くなり毎日、鼻薬を注入。両乳下から出る液をがんではと心配したが、薬の出口だった。投薬治療で完治した。当時は先生も自分も若かった。改めて感謝を述べる。一瞬やさしい笑顔。歳月の流れは遠い彼方へ……。
  肝付町 鳥取部京子(70) 2010/2/21 毎日新聞鹿児島版掲載

親切な人

2010-02-23 16:17:40 | はがき随筆
 妹があるホームに入居した。面会にゆこうと思い、車を走らせた。初めての場所で途中、道順を聞くため車を止めた所がスーパードラッグの庭。店内に入り訳を話すと、店長さんらしい中年の人が来て紙に丹念に地図を書いてくださる。申し訳ない思いで見ている。目当てになる家、橋、医院、また見通しの悪い交差点は要注意と細かな説明をしながら出来上がった。厚くお礼を言ってから、一枚の地図を頼りに進むとスムーズに目的地に着いた。物騒な世の中だが、こんな親切な人がいる限り、日本の未来はまだまだ捨てたものではないと余韻は残る。
  霧島市 楠元勇一(83) 2010/2/20 毎日新聞鹿児島版掲載


桜島登山

2010-02-23 16:14:38 | はがき随筆
 桜島の爆発が活発化している。このニュースを見るにつけ55年前を思い出す。
 それまで静かだった桜島が突然爆発し負傷者も出た。それは昭和30年10月だった。私はその年の5月、友人と北岳に登った。間近に見る山の荒々しさに驚き、火山灰だらけの「馬の背」ではズルズル滑って難儀した。
 しかし頂上からは錦江湾を隔てて鹿児島市や霧島方面が見え、足元の大きな噴火口跡も一
望でき、すばらしい眺めだった。
 爆発後は登山禁止になった。
 遠い昔、登山できたことは幸運であったと懐かしい思い出になっている。   
  出水市 畠中大喜(73) 2010/2/19 毎日新聞鹿児島版掲載 
写真は茶瓶さん

「私の運動器具」

2010-02-23 14:01:53 | 岩国エッセイサロンより
2010年2月23日 (火)

    岩国市  会 員   林 治子

私の顔を見ると医者は「歩いているかね。あんたには賢い運動器具が付いているのだから頑張りよ」と言う。

 確かに朝夕、犬の散歩を兼ねて毎日1万歩以上歩いている。20キロを超える犬に引っ張られての歩きは、かなりきつい。機械のように調整がきけばいいのだがそれもままならず、私のほうが次第に合わす。お陰で筋力も付いてきた。少々のことでは転ばないようになった。これはやはり感謝すべきことと思う。

 手におやつを持ち、お座りをさせる。「ありがとうね」と言わないうちに飛びついて食べてしまった。しつけは、まだまだ今いちのようだ。
   (2010.02.23 毎日新聞「はがき随筆」掲載)
岩国エッセイサロンより転載
写真はちょびさん提供