はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

歓喜の歌♪♪

2010-12-05 22:50:53 | アカショウビンのつぶやき
 「かのや第九演奏会」終わりました。
歓喜にひたっています。
地元「かのやオーケストラ」と一緒に歌えたことも更に大きな喜びでした。

抱き合おう、諸人(もろびと)よ!
この口づけを全世界に!
兄弟よ、この星空の上に
父なる神が住んでおられるに違いない

と、高らかに歌いました。

八十路に近い私がステージに立てたことが夢のようです。
挑戦はしたいけど、ついていけないときは、潔く諦めよう…これが1年前の私でした。

ドイツ語の歌詞が覚えられない、CDを聞いてもさっぱり分からないと、
何回挫折しかかったことか…。

Y先生に勧められ、信愛コーラス全員で挑戦したことも大きな励みでした。

Y先生は、かのやオーケストラのヴィオラ奏者。
ご自分の練習をしながら、いつになっても成長しない私たちを励まし背中を押し続けてくださったのです。

初めて第九に挑戦された、かのやオーケストラの皆さんにも心から感謝。

来年も歌いたいなーとつぶやいている、アカショウビンです。

「隣の棟上げ」

2010-12-05 22:48:55 | 女の気持ち/男の気持ち
2010年12月 5日 (日)
岩国市  会 員   片山 清勝

 隣の空き地で棟上げが始まった。レッカー車のアームが伸び、太い棟木が揺れながらゆっくりつり上げられる。上で待つ2人のとび職がそれに手をかけ、掛け矢を使ってほぞに打ち込む。交互に打ち下ろされる掛け矢はコーン、コーンと乾いた心地よい音をたてる。終わり近くなると2人が同時に掛け矢をたたく。
「よっしゃ」の声で棟木が収まる。声のたびにたたずまいが締まるのが分かる。
 その様子を夫婦と娘さんだろうか、腰をおろしてじっと見守っている。組み終わるたびホッとする3人の表情が何ともいえない。
 ふと我が家を新築した十数年前を思い出した。 仕事帰りに誰もいない建築現場を毎日訪ねては、その日の作業を確かめ、昨日と違ったところを家で待つ妻に話す。妻もそれで安心していた。
 子どものころ、家の建築現場は散らかっている木切れを使って遊べる楽しい場所だった。カンナからヒュルルと飛び出す薄く長い削りくずを手品のように見つめた。大工の技の極みということは後になって知った。最近は加工された木材が持ち込まれる。建築現場もシートで囲まれ、中の様子が見えないのは寂しい。
 家を成すには大変な苦労が伴う。しかし、新しいものが出来上がる楽しみがあるから頑張れる。見上げながらうなずく建主に、かつての自分が重なる。
 新しい隣人が越してくるのは、いつだろうか。
  (2010.12.05 毎日新聞「男の気持ち」掲載) 




「アメちゃん」

2010-12-05 22:43:56 | 岩国エッセイサロンより
2010年12月 3日 (金)
   岩国市  会 員   樽本 久美

テレビで「大阪人はアメを持っているが、東京人は持っていない」という面白い話を聞いた。たくさんしゃべった後にアメをなめる方法と、しゃべらないためにアメを□に入れる方法があると言っていた。また、他人とのコミュニケーションの一つとしてアメを使うとも。
 私もバッグには何種類かのアメが入っている。これからの季節、アメが大活躍してくれる。せきをしている人にあげたら大変喜ばれたこともあった。これからもアメを大切にして多くの人に優しく接していきたい。一番あげなくてはいけない人は亭主かな?
  (2010.12.03 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載



オンブバッタ

2010-12-05 22:33:47 | 女の気持ち/男の気持ち


 夏場に勢いよく伸びた菜園の雑草を抜きとり、耕運機で耕したあと白菜を丁寧に植えておいた。
 久しぶりに様子を見に出ると、大きくなり始めた葉が穴だらけになっている。あんのじょう、大小のアオムシがとりついている。「ごめんな」とつぶやきながら1匹ずつ取り除いた。
 そのとき、葉の陰からバッタがはい出してきた。見ると2匹がセットのオンブバッタだ。体長4㌢くらいのメスの上に、体長2.5㌢ほどのオスがちゃっかりと乗っかっている。白菜にとってはこれも害虫には違いないが、アオムシと同じように踏みつぶすことができない。見るからに固いきずなで結ばれたカップルに見えるからであろう。
 それにしてもオンブバッタのオスは、なんとも安易な生き方を選んだものだ。エサはメスが探してくれるし、そこへ行くにもメスにしがみ付いておけばいい。すべてメスに頼って生きている。まさにヒモのような生き方だ。
 そんなことを考えていると、近頃の私も何やらオンブバッタに似ていないとも言えないと思えてきた。退職後は稼ぎはなく、買い物から調理まで三食すべて奥さん任せ。出かける時に車に乗せてもらうこともある。ほとんどのことは任せきりで、出番といえば、めったにない力仕事と枝切りなどの高所作業くらいだ。
 オンブバッタの姿に、ちょっぴり自分の最近の暮らしぶりが重なった。
  山口県 岩国市 沖 義照
   (2010.12.03 毎日新聞「男の気持ち」掲載)写真は沖さん提供

刈り田の雀

2010-12-05 22:18:22 | はがき随筆
 バスの窓から刈り田に目をやる。雀の大群が見える。命の源のエサの米をついばんでいる。実るまで八十八の手間暇がかかる農作業だ。
 実る頃は敵。防護策に案山子、光るテープ、石炭缶の道具を使い追い払う。この頃の雀は憎らしい。雀と人の関係は「ギブ・アンド・テイク」。チュン、チュン、チッ、チッと聡明な声を奏でる。人の心を和ませ、癒してくれる。小さい鳥で親しみ深い。生き物同士、時には敵でも、時には味方。愛きょうを振りまく。印象的な雀の群れ。黄金色の夕暮れ、田園風景に風情が漂った。 
  姶良市 堀美代子 2010/12/5 毎日新聞鹿児島版掲載

10次案までか

2010-12-05 22:11:59 | はがき随筆
 1次案を娘に頼む。スムーズに打つ。私は1行打つ。30分もパソコン相手に悪戦苦闘する。雲泥の差である。会議で活用する時がきた。カラープリントも整然と美しい。手書きは払いのけられていく。個性もあって良いのになあと思う。
 検討した結果「山場が見えてこない」で2次案づくり。着手してもOKがでない。今、3次案も修正して4次案づくり。修正に修正の連続。修正する度に生徒が見えてくる。
 10次案作りを覚悟に取り組む。修正、修正の経験を積む。OK後、自分が自分でないのではないか。新たな誕生か。
  出水市 岩田昭治 2010/12/4 毎日新聞鹿児島版掲載

百箇日

2010-12-05 22:05:31 | はがき随筆
 末妹の連れ合いが百箇日を迎えた。当座は葬儀など後始末に負われて涙している間はなかった。落ち着いて一人になって改めて悲しみにひたっている。
 見合いでゴールインし40年足らず。後半は高鍋、島原、別府、熊本など2年ごとに移り住んだ。定年退職して先祖伝来の地に新居を構えた。これから第2の人生を楽しむ時に天国へ旅立った。娘3人はすでに嫁いで、孫は10人いる。妹はまだ自分自身の年金はもらえない。夫の分まで長生きして、すべての孫が家庭をもつまて見守るだろう。納骨の墓前で思うことだった。
  出水市 田頭行堂 2010/12/3 毎日新聞鹿児島版掲載

親子リレー

2010-12-05 21:59:46 | はがき随筆
 今年も運動会のシーズンが過ぎ去った。思い出すのは、小学校の親子リレー。いろいろな組み合わせがあって親1人、子1人でも出られるものだった。
 毎年、出たいなと言いながら娘が上級生になったらと思っているうちに、親の私が年齢を重ねることに気づかず、ついに実現しなかった。ところが、この親子リレーに、体の不自由なA君一家は毎年出場されていた。
 順位に関係なく懸命に走られる家族を、皆の拍手が温かく包んで盛り上がったものだった。
 その度に前向きなA君のご両親に敬服したりした。あの頃の空を思い出すきょうこの頃。
  霧島市 口町円子 2010/12/2 毎日新聞鹿児島版掲載

イライラの原因

2010-12-05 21:53:53 | はがき随筆
 最近、考えられない事件が多い。子が親を殺す。親が亡くなっても葬式もせず、火葬もせず放置する。誰でも良かったと言って、無差別に殺人事件を起こしたリする。訳はイライラしたからという。要因を考えてみる時に、思い当たるのはテレビである。番組によっては、核心部分になるとコマーシャルがはいる。ここはと思っている時に中断する。イライラするのが日常の中にある。商業主義だから、視聴率の高い時にアピールするのが当たり前であるが、中断が多すぎる。
 節度ある番組を見たいものである。
  出水市 御領満 2010/12/1 毎日新聞鹿児島版掲載